青春18きっぷよ永遠に
2010年2月10日(水曜日)、JRグループは青春18きっぷの発売を発表した。青春18きっぷはJR企画乗車券の定番として知られている。
2009年以前と異なるのは、冬季に発売するかどうかが未定であることだ。JRグループは詳細が決定次第、発表するとあるが、現在までそのようなプレスリリースがない。もし、詳細が決まらなければ、冬季は「発売なし」となり、2011年春季以降の発売も危ぶまれる。
青春18きっぷは、国鉄時代の1982年3月1日(月曜日)、春休みシーズンに合わせてか、「青春18のびのびきっぷ」として誕生。きっぷは1日限り有効が3枚、2日間有効が1枚の合計4枚を8000円で販売した。7月20日(火曜日)も夏期用が発売され、1日限り有効の赤券が4枚、2日間有効の青券が1枚という内容で、10000円に“値上げ”した(当時の国鉄は、値上げを繰り返していた)。ちなみに冬季は発売されていない。
1983年2月20日(日曜日)発売分から、現在の「青春18きっぷ」に改称。1984年7月20日(金曜日)発売分から、すべて1日有効の5枚1組に変更され、1995年度冬期発売分まで続いた。値段は1986年12月10日(水曜日)発売分から11000円、1989年7月1日(土曜日)発売分から11300円に値上げしている。このうち、後者は4月1日(土曜日)に消費税がスタートしたため、3%を上乗せした。
1996年春期以降、5枚1組から5人1日分または1人5日分1枚という現在の様式に変更され、1997年4月1日(火曜日)に消費税率を5%に改定したため、夏季以降は11500円に値上げした。
私が初めて青春18きっぷを使ったのは、1998年3月29日(日曜日)で、 “日帰り試運転”だった。東京から113系の快速〈アクティー〉熱海行きに乗り、御殿場線と伊東線を全線完乗した。
その後、JR東海373系の快速〈ムーンライトながら〉大垣行きに乗り、本格的な泊まりがけの旅に出た。このきっぷのおかげで、2010年3月22日(月曜日・春分の日)にJR東日本岩泉線岩泉でJR旅客鉄道完全制覇を達成することができた。
青春18きっぷは不動の人気を確立したが、その一方で、それをベースにした応用の企画乗車券が生み出された。
代表的なものを挙げると、JR北海道とJR東日本が共同開発した「北海道&東日本パス」(2024年春期は大人11330円、小児5660円)は、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行などでも利用ができる。また、快速〈ミッドナイト〉の代替という位置づけなのか、急行〈はまなす〉の自由席ができる。のちに青森―函館間の自由席特急券を購入すれば、特急〈白鳥〉〈スーパー白鳥〉もできるよう、柔軟な対応をした。
北海道新幹線の開業に伴い、急行〈はまなす〉、特急〈白鳥〉〈スーパー白鳥〉が廃止されると、新青森―新函館北斗間は新幹線特定特急券等を購入すれば利用できるようになったほか、一部の日を除き、北海道新幹線、JR北海道の自由席が1日乗り放題の「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」(大人6110円、子供半額)を発売した。
しかし、2024年春期は特急〈北斗〉〈とかち〉〈おおぞら〉〈すずらん〉が全車指定席化されたため、発売がなく、打ち切りの可能性がある。
このきっぷの1番嬉しいところは、青春18きっぷの弱点である自動改札機に入れられること。ただし、1枚につき5日間連続使用が条件なので、人によっては過酷かもしれない。
JR九州は、ほかの鉄道事業者とタッグを組み、2009年秋季に旅名人の九州満喫きっぷを販売したところ、好評だったようで、2010年は4月1日(木曜日)から2011年3月31日(木曜日)まで、1年間も販売するという手に出た。「普通列車、快速の普通車自由席乗り放題」という青春18きっぷのルールを活かしつつ、特典をプラスすることで、人々のココロをつかみつつある。しかし、こういった施策が青春18きっぷを苦しめることになってしまったのだろうか?
2010年度冬期の青春18きっぷが発売未定になっているのは、2010年12月4日(土曜日)に東北新幹線が全通するからであろう。これにより、東北本線八戸―青森間は、青い森鉄道に転換され、八戸線、大湊線は“孤島”と化してしまう。おそらく、JR東日本は若干の値上げを覚悟の上、青い森鉄道八戸―青森間も青春18きっぷでも利用できるようにしたいのだろう。このほか、北陸新幹線金沢延伸、北海道新幹線が開業すると、並行在来線は第3セクター鉄道に転換されるため、青春18きっぷエリアが狭まってしまう。
青春18きっぷエリアを狭めているのは、利用区間だけではない。
夜行列車の削減が一段と進み、臨時快速〈ミッドナイト〉〈ムーンライト九州〉〈ムーンライト山陽〉〈ムーンライト高知〉〈ムーンライト松山〉〈ムーンライト八重垣〉が斬り捨てられ、快速〈ムーンライトながら〉〈ムーンライトえちご〉が臨時運行に格下げとなった。しかも、青春18きっぷシーズン中は、全日運行されるわけではない。もし、2010年度冬季の青春18きっぷが発売しない場合は、臨時快速〈ムーンライトながら〉〈ムーンライトえちご〉を運行しないのかもしれない。
青春18きっぷの行方が気になるが、2024年度夏期以降については、JRグループのプレスリリースを待つことにしよう。
※Railway Blogより転載。一部加筆・修正しています。