【再掲】「汽子だけのコンコオス」&メンバーシップ特典記事「真闇、はるりんどう、マルロASMR台本」
こんばんわです。
先日汽子の短いお話を書いたときに
「汽子だけのコンコオスという話はよく書けた気がする」と思い出し。
読み返してみたら実際よろしい感じに思えましたので、本日はそちら、再掲してみたいと思います。
これははっきりとしたイメージソースがあって
曲先・詞先という言葉を真似るなら
(念の為、ボーカル曲において、メロディーが先で作詞が後なのが「曲先」その逆が「詞先」となります)
『絵先』で書き上げたお話です。
では早速再掲してまります。
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『汽子だけのコンコオス』
「!」
足音。汽子のマスタアの。
ごく平然と、汽子の隣に腰掛けてくださいます。
「制服、汚れてしまいますわよ? マスタア。
たいへん残念なことに、もうお掃除の手も行き届いていない様子ですので」
当然といえば当然です。
もう新駅舎も出来上がり、この旧駅舎は取り壊しを待つだけなのですから。
「……そうですわね。最後にもう一度見ておきたいって思いましたの。
このコンコオスには、たくさんの思い出がこもっていますから…………まぁ!」
ああ、マスタアったら。
なんていう頭でっかち、どこまで野暮天なのでしょう。
「確かに、おっしゃるとおりですわ。
コンコオスの、元々の詠語の意味を考えるなら」
汽子はもともと河邊(こうべ)のこ。
最低限の詠会話のためのデエタでしたら、いまも消さずに残してあります。
「接頭辞のCon──集合する、と、course──経路、のあわさった言葉。
複数の経路が集合する場所というのが、本来の意味ですものね」
鉄道における経路はもちろん、線路です。
「たくさんのプラットホオムから、それぞれの線路が伸びていく。
その全てを束ねる改札広場こそが、ですので、本来の意味でのコンコオス」
ああ、マスタアの目の嬉しげなこと。
出来のよい生徒を見守る教師のまなざしのようですわ!
……本当は、汽子の方がマスタアよりも、ずっとずうっとおねえさんなのですけれど。
「マスタアに連れていっていただきましたわよね?
1番線から13番線までを平面にずらりと並べる、全盛期の帝鉄・上埜駅のあの改札広場。
コンコオスとはこれですのね、と、汽子、いまも鮮やかに覚えてますの」
はじめての帝都。河邊より、もっと大きく華やかな街。
マスタアのお仕事のお供での、短い滞在でしたけれども──ああ、本当に楽しかった!
「けれども、ね? 汽子のマスタア。
一面一線、たったひとつのプラットホオムに単線だけを走らせているこの駅の改札前──
改札広場ともいえないような小さな小さな空間も、汽子にとっては、間違いの無いコンコオスですの」
名護鉄に売却されて。前のマスターに捨てられて。
新しいマスターが待っていると告げられてひとり列車にゆすられて、やっとたどり着いたこの駅で。この改札で。
「マスタアと汽子が、はじめて出会った場所なのですから。
マスタアと汽子、ふたつの経路が、ひとつに集った場所なのですから」
ああ、とマスタアが頷きます。あたたかに、満足そうに微笑んで。
頭でっかちで野暮天で、どこまでだって優しい優しい、マスタアが。
「ですからここは、コンコオスです」
少しだけ、マスタアに身体を預けます。
声が、気持ちが。ぬくもりからも、きっと伝わってほしくって。
「とても大事な──汽子だけの、コンコオス」
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――今後はこんな感じで、cien/fantiaに書いていた短いお話も折をみてこちらで再掲できれば――と思いますので、
再掲して欲しいお話ある方は、メンバーシップ掲示板の当該記事にリプいただけましたら幸いです
(そちらにすでにある過去話再掲リクも順次消化してまいりますので、今少しお時間ください!)
で、本日のメンバーシップ特典記事も、掲示板リクエストでいただきました
「真闇、はるりんどう、マルロのASMR台本」とさせていただければと思います。
かなりのボリュームとなりますので、お時間あるときにでもちょこちょこご確認いただければと思います。
メンバーシップ掲示板の方、リプいただけたら確実にチェックしますので、メンバーの方はお気軽にです!
&掲示板もっと活性化できればと思いますので、その辺に関するご要望やご意見などもしございましたら
あたりにリプライいただけますと幸いです。
よろしくおねがいいたします。
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