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3分で読めるレイルロオドのお話「西瓜が重ねる音風景」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第19話シーン4ネーム&字コンテ
先日、12月21日発売予定の『レヱル・ロマネスクOrigin』
の予約が開始されました。
わたくし個人が思いつく範囲内でのざっと見た感じのみで恐縮ですが、
Amazon
エビテン
メロンブックス
ソフマップ
とらのあな
ヨドバシカメラ
ビックカメラ
ALICE NET
各店舗様では予約お取り扱いすでにはじまっておりますようですので、お好みの店舗様の検索窓から
レヱル・ロマネスクOrigin
入力で、ぜひぜひご予約ご検討いただけますと幸いです。
なお、PS4版、Switch版がございますので、機種間違いなどないように、くれぐれもお気をつけください。
10/5 25:00~の東京MX様にてTVアニメ『レヱル・ロマネスク2』の放送
もじわじわと近づいてまいりましたので、できうるかぎり広報告知のお手伝いもがんばらねば! と感じております。
いまやってるWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の第19話の全字コンテ&ネーム公開がまとまりましたら、
また新規レイルロオドの「レイルロオド・マニアックス」書く予定ですので、どうぞいましばらくお待ちください。
ということで、先日公開の第19話「動物園のレイルロオド」のシーン3
に続きまして、本日はシーン4を公開させていただきます。
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みくろの願い、ハチロクの願い。
それらは果たしてずれなく重なり合うものかどうか――
どうぞ続きをご期待いただけますと、とても幸いに存じます。
ということで、本日の短いお話は『重なり』をテーマに書いてみたいかなと思います。
誰で書いてもそれぞれの表情が出てきそうなお話ですが、今回は西瓜で書いてみたいかと。
タイトルは『西瓜が重ねる音風景』です。
どなたにも無料でお楽しみいただけるお話となりますので、よろしければどうぞ御確認ください。
■西瓜■
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仲国国鉄東富4 2000専用レイルロオド。
音に関する造詣が深い。
双鉄たちの仲国視察においてはガイド役を務めた。
■「西瓜が重ねる音風景」■
(あらすじ)
双鉄たちの仲国視察中のとある夜。
西瓜は、一人ひたすら筆を走らせている
日々姫を見つけ、声をかけます。
///
「日々姫女士?」
「…………」
聞こえていない、のでしょうか?
お邪魔をするのは全く西瓜の本意ではないのですけれど――
「日々姫女士!」
「わ!? びっくりした!!」
ようやく日々姫女士がスケッチブックから目を離し、
こちらへと振り返ってくださいます。
「……北琴駅の夜景ですか」
「ん。駅は軍事施設扱いで写真とったらいけないって習ったけんね。
ホテルの窓から、こっそり、あっさり」
「……」
スケッチも恐らく見つかってしまえば問題になる行為です。
ならば西瓜は、日々姫女士が他の誰にもみつからぬよう、
上手に立ち回らなければなりません。
「北琴の夜景に、日々姫女士は描く価値を感じられたのですか?」
「そりゃもう、もちろん、ばりばりに」
返事しながら、もう手の動きは再開されています。
薄い青が、幾度も幾度も塗り重ねられ、うつの間に闇の色へと近づきます。
「大都市の夜景など、どこも似たようなものかと思いますが」
「その大都市の夜景そのものがまず珍しかとよ。
わたし、御一夜を出てもせいぜいが八ツ城くらいまでしかいかんもん」
「そうでしたか」
「帝央とか、真宿とか、もちろん映像では知っとるばってん、
実物は迫力が違うっていうか……ううん、それだけじゃなく」
「なく?」
「『大都市』がもし、全部似たようなものだとしても。
それをどぎゃん紙に描くかで、やっぱり風合いは違うでしょお?
その……ゆーたら下地感みたいなものがさ――うん、やっぱり北琴、仲国らしい印象っていうか」
「それは――」
スケッチブックの中の暗色が濃くなるほどに、光り輝く北琴駅は、いっそう美しく際立ちます。
その美しさは――なるほど、たしかに帝央駅ともウラジオストーク駅とも、まるで異なる風合いをもっていると感じられます。
「建築そのもののデザインに、仲国らしさがあるっていうのももちろん大きかって思うばってん、
それだけじゃなく――」
日々姫女士のスケッチの中の人々は文字通りの群衆です。
個々が細かく描かれているわけではなく、ただ色づいた太い線たちの置き重なりで――!
「音」
「え?」
「風合いをつくるひとつは、あるいは音なのかもしれないと、西瓜はたったいま感じました」
「音」
日々姫女士が手を止め息を潜めます。
ホテルの高さとガラス越し――それでもぼんやり伝わってきていたざわめきが、少し、輪郭を強めます。
「……確かに、音かも。人の音。仲国語、わたしはさーーーっぱり意味わからんけど」
手が、今一度動き出します。
群衆を作る線、線、線――ああ、西瓜は間違って捉えていました。
それは大雑把な線と色とでありながら、やはり、描写されている人です。
「『仲国の響き』って感じ、受けるけん」
「はい。日々姫女士がそうお感じであることを、西瓜はお手元のスケッチを拝見し、感じ取ったように思います」
「って、スケッチ!? スケッチには音やら響き、描けんでしょー」
「いいえ」
人を表す、さまざまな色の太い線。
直立し、曲がり、重なりあっているそれは、たしかに動き、ざわめきを西瓜に感じさせます。
「日々姫女士は、描いていらっしゃるかと」
「えへへっ!」
にっこり、日々姫女士が笑顔の花を咲かせます。
「音の専門家の西瓜ちゃんにそぎゃんいってもらえると、ちょー自信になる!」
そうしてしゅっと、緑と紺との二本線を雑踏の一角に――!
「私の絵から、音を聞き取ってくれてありがとう!」
「いえ、日々姫女士。西瓜こそ」
肩が触れ合うその程度、重なりあってる緑と紺。
そこから西瓜は、重なりあって響き合う、声を確かに聞きよります。
「描いていただけましたことへと、感謝極まるばかりです」
;おしまい
///
――いかがでしょうか?
西瓜の登場は果たしてあるのか!? なWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。
無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。
よろしければどうぞご笑覧ください。
(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)
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『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。
どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。