3分で読めるレイルロオドのお話「ハロ2の思い出」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第20話シーン2ネーム+字コンテ
10月ですね。
ということは本年も、10月、11月、12月の三ヶ月で終わってしまう、ということです。
幸いにしてまもなく、10/5 25:00からは東京MXさまで
TVアニメ『レヱル・ロマネスク2』の放送が開始され。
12/21には『レヱル・ロマネスクOrigin』の発売が予定されているわけですけれど。
あくる年にどんな展開があるか、少なくともわたくしはまったく把握しておりませんので、
あくる時にはなんらかの展開をできますようにと、
『レヱル・ロマネスク0』の字コンテ&ネームの方、粛々と作成し、またクオリティアップを計って行きたく存じます。
先日から公開しております第20話「幸福なみくろ」のネーム&字コンテ。
シーン1
に続きまして、本日はシーン2
https://note.com/railroma/n/nc82d833e4085
を公開させていただきます。
みくろの応援の気持ち。
まっすぐに受け取れるあたり、さすがハチロクは姉の貫禄でございましょうか。
というか、レヱル・ロマネスク世界間登場済みのレイルロオドたち。
「近い姉妹」(車番1番違い等)のコンビはいまのとこ存在しておりませんね。
近い姉妹になると共感等々になんらかの影響あるのか。
それとも特段の変化ないのか。
その辺、わたくしも気になるところでございますので、機会つくれればいつか書いてみたいな、と思います。
そんなこんなで本日は『姉妹』をテーマに書いてみたいと思います。
タイトルは「ハロ2の思い出」。
登場するレイルロオドは、ハチロクです。
どなたにも無償でお読みいただけるお話といたしますので、どうぞご笑覧のほどたまわれましたら幸いです。
■ハチロク■
旧帝鉄8620形トップナンバーレイルロオド。
トップナンバーのなんたるかを非常に良く承知している。
■れいな■
御一夜鉄道キハ07s専用レイルロオド。
旧所属であった硬上鉱山鉄道時代に姉妹機はいたのだが、
ほとんど交流がなかった。
■「ハロ2の思い出」■
(あらすじ)
みかん鉄道でのお仕事から帰ってくるなり
れいなはハチロクに尋ねます。
「ハチロクさんの、すぐ下の妹さんってどんなこでしたか」と。
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「ハチロクさんの、すぐ下の妹さんってどんなこでしたかぁ?」
みかん鉄道から戻ってくるなり、れいなが出し抜けに聞いてきます。
あるいは紅さんあたりから、妹さんの思い出話でも聞いてきたのでございましょうか?
「左様、ですね」
わたくしのすぐ下の妹、ハロ2。
思い出すなら記憶回路がチリリ、と痛む気がします。
けれど、けれどもわたくしは――
その痛みさえ愛おしく、今ともなれば感じるのです。
「ハロ2は、わたくしとそっくりでした。
というか、完全な同一仕様で作られたレイルロオドでございました」
同じ、帝鉄旺宮レイルロオド工機部製。
まったく同じロオルアウト日。
「わ。ふたごさんだったんですねぇ」
「あ――」
いままで全く意識したこともございませんでしたが――
同じ母体、同じロオルアウト日、同じ仕様なのですから……
「なるほど、たしかに双子でしたね」
けれど、わたくしはトップナンバー機。
ハロ2は、単なる量産型のうちの一機と扱われました。
「けれどあの子……ハロ2は、わたくしより遥かに優秀なレイルロオドでした」
その能力のすべてをひたすらにひたむきに、運輸の第一の使命――安全を果たすためだけに注ぎ続けた。
ハロ2は、そういうレイルロオドだったのです。
「運用もわたくしと同じだったのです。
帝央区に所属し、東峡道をずっとずうっと走り続けて」
ずっと、ずうっと。
一緒にいることが当然で。
当然ですので――それが特別なことなのだと、わたくしは全く思えずにおりました。
空気が、水が、石炭が。
いつだって必要な場にあるのと、まったく変わらぬ感覚で。
「そのずうっとが続くものだと――わたくしは、思い込んでしまっていたのです」
「あ」
れいなは、とても賢いレイルロオドです。
「ええ、左様ですれいな」
いまの会話の流れから、その先を悟れてしまうほど。
「わたくしの起こしてしまったあの日の事故が、ずっとを終わらせてしまったのです」
事故機のわたくしは当然として――無事故、無故障を貫き続けた、ハロ2のレールまで、唐突に。
「どうして、そんな」
「完全な同一仕様で。わたくしは――意図的にであれ――脱線転覆事故を起こしてしまったからです」
「ああ」
脱線転覆を起こしたものと、車両、レイルロオドとも完全に同一仕様。ゆえに危険と見なされた――
ハロ2にとって、それは文字通りのとばっちりでしかなかったのです。
「けれど、それでも――あの子は言ってくれました」
「なんて、言ってくれたんですかぁ?」
「『お姉様の選択は最善でした』と」
事故は不可避のものだったと。
わたくしの意図的脱線転覆が、より大きな被害を防ぐため、唯一取り得る手段だったと――
ハロ2だけは。
はっきりとそうわたくしに伝えてくれたのです。
「ハロ2はそのまま、入換専用機にまわされてしまったそうです」
再び目覚めたそのあとで、わたくしはハロ2と8621の車歴を調べました。
入換でもなお、無事故、無故障。
それを最後まで貫き通して――
「わたくしが眠りについている間に。あの子は静かに、廃車・解体されていったそうです」
「……そうなんですねぇ」
広報、宣伝。
光があたる場所を走ったその影を、あの子はずっと、誠実に走り続けてくれました。
それゆえに、誰も語ることがないハロ2。
だからこそ、わたくしはあの子を語りたい。
「……わたくしが思い浮かべる、鉄路に見えざることなき機影は」
申し訳ないとは思いませぬ。
わたくしがあの子を誇りと感じるように――あの子もまさしく、わたくしを誇ってくれたのですから。
「いつでもハロ2の。8621の機影なのです」
;おしまい
///
いかがでしょうか?
名前しか出てこないハロ2。
姿が出てくることは今後も無いであろうハロ2。
ハチロクに一番近い妹のことはいつか書きたいとは思っていたので、
この機会にさささと書かせていただきました。
この短いお話が支線であるなら、
本線となります『レヱル・ロマネスク0』の過去話。
無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。
よろしければどうぞご笑覧ください。
(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)
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『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。
どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。
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