いるかいるか
『こげに贅沢な電車がいるか!』
「っ!!!?」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。
夢――もちろん、夢に決まっとる。
ロールアウトしてからいるか、もう何十年も稼働しとるし。
「……起きんと」
放漫経営。贅沢三昧。
批判はほんに正当やった。
実際問題不渡りが出て――
今日の住民投票で、不要いう結果がでちょんなら……
いるかの金比羅電鉄は、廃線されてしまうきに。
「そげに重要な投票前に、いるかが何を話せばいいんか……」
頼まれたけん、引き受けた。
引き受けたけど――不安がきっと、夢にでよった。
贅沢な電車はいらん。
やけど、日常をささえる電車は、いる。
皆にわかってもらえるか、わかってもらえる話をできるか――
いるかにはまるで自信がないきに。
「って!? もうこげな時間!? 目覚まし――いややん! 壊れちょるん!?」
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