3分で読めるレイルロオドのお話「しろがねだけのおねえさま」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第20話シーン3ネーム+字コンテ
本日、10/4です。
ということは、明日。
10/5 25:00から東京MXさまで
TVアニメ『レヱル・ロマネスク2』
の放送が開始されるということになります。
何度かお話しているのですが、今作は「音」をテーマとする作品となります。
より具体的には、フィールドレコーディング(野外録音)をモチーフとする、恐らくは稀有な作品です。
そのことを強調するために。
あるいはその魅力をお伝えするために。
第一話から、あらけんさん&わたくしチームでの録音物の中でベストと思われる音を、惜しまずご紹介させていただいております。
それが果たして貴方の鼓膜を心地よく揺らす音になりますかどうか、
そして貴方の心に心地よくしみる物語となりますかどうか。
今のわたくしは、ただただご視聴とご判断とを待つことしかできません。
のですが、もしよろしければ第一話。
どうぞご覧&お聴きいただけましたら、とても嬉しく存じます。
さて。
そのような日でも、わたくしのやることはかわりません。
つまりは『レヱル・ロマネスク0』の字コンテ&ネーム作成と、その公開でございます。
本日は、前日公開の第20話「幸福なみくろ」のネーム&字コンテ。
シーン2
に続きましてのシーン3を公開させていただきます。
動物園へ戻ろうとハチロクを誘うみくろ。
はたして戻った先でなにが待っているのか――
どうぞご期待いただけましたら嬉しいです。
で。
みくろはハチロクを「おねえさま」と呼びますので。
本日の短いお話は「おねえさま」をテーマに書いてみたいと思います。
タイトルは
「しろがねだけのおねえさま」
登場するレイルロオドは、りいことしろがね――なわけもなく、
当然、ランとしろがねです。
どなたにでも無償でお読みいただけるお話となりますので、
もしよろしければどうぞ、ご笑覧ください。
■しろがね■
關門鉄道EF10 23専用レイルロオド。
海底トンネル輸送のスペシャリスト。
第一回レイルロオドサミットを通じ、ランと親しくなった。
■ラン■
高嵜鉄道D51 840専用レイルロオド。
旧帝鉄時代から「プリンス・オブ・レイルロオド」の二つ名を轟かせる、レイルロオド界1・2を争う大スタア。
第一回レイルロオドサミットを通じ、しろがねと親しくなった。
■「しろがねだけのおねえさま」■
(あらすじ)
みくろとハチロクの会話を見かけて以降、
ランを「おねえさま」と呼んでみたくて仕方ないしろがね。
その気持ちを知らず、ランは「悩みでもあるのかな?」と声をかけます。
///
「なにか悩みでもあるのかな? レディしろがね」
「! ランさん」
しろがね、ため息でもついてしまっていたのでしょうか?
ランさんの綺麗なお顔がいつの間にかすぐそばにあって、少しドキっとさせられます。
「いえ、悩みという分類にはきっと当てはまらないかと」
「悩みではない、ため息の原因?」
ははぁん? と小首をかしげて見せる。
そんな仕草も――いえ、どんな仕草だって絵になりますから、ランさんは本当に素敵です。
「もしかして、恋とか?」
「とも違います」
恋を、しろがねは知りません。
けれど――
それでもきっと、これは恋ではないでしょう。
身を焦がす、狂う、というほどに強い焦燥感はなく。
けれどもいつでも、オイルがにじみだすように、じわりじわりと――
「ああ、これは欲望です。とても単純で、つまらない欲望」
「へぇえ! レディ・しろがねが何かを欲しがるだなんて珍しい!」
思わず溢れたささやきを、ランさんは聞き逃さずに、むしろ大喜びしてくれます。
「もしもよかったらランにきかせてくれないか?
もしも力になれるようなら」
「力になれるに決まっています。
ランさんしか力になることができない――これはそういう欲望です」
「そうなのか! なら、叶えるさ!!」
「!」
欲望の中身が何かを確かめようともせず、ランさんは晴れやかに断言します。
ああ、だから――
しろがねの中でこの欲望が、ぶくぶく膨れてしまったのです。
「しろがねは」
自分に約束、昔、しました。
いつでもランさんは、まっすぐしろがねに向き合ってくれるから――
しろがねもランさんに、いつでもまっすぐ向き合おうって。
「ランさんを、『おねえさま』って呼んでみたんです」
「ひえっ!?」
珍しい声。
見たこともない表情。
ランさんは――動揺しながら、照れてます。
「な、なぜランなんだい? ランといったら――自分でいうのはさすがに口はぼったいけどね?
『プリンス・オブ・レイルロオドなんだよ? むしろ、どちらかといえばおにいさま』」
「じゃ、ないです。しろがねはちゃんと知ってますから」
「知ってる――何をだい?」
「ランさんが、誰より素敵な女の子なことです」
「女の子!」
驚かれるなら、実例で証明する他ありません。
「ランさんは小さなお花が大好きです。道端に咲いてるお花、良く嬉しそうにスマホで撮ってます」
「!」
「レースとかフリル、大好きなことも知ってます。絶対試着しないけど、素敵なドレスとかあると、チラ見して嬉しそうなお顔しますし」
「!!」
「それになにより、マイロードさんとご一緒の」
「わかった! というか、約束だしね。呼んでいいとも、レディ・しろがねの好きなように」
「わかりました。呼びますね、けど」
潔すぎるランさんだから、しろがねだって大事にします。
ランさんが作り上げてきた『プリンス』のイメージ――それを汚したくなんてありません。
「けど?」
「ふたりきりのときだけ。誰にも内緒で呼ばせてください」
「あ」
「ランおねえさま。――しろがねだけの、おねえさま」
;おしまい
///
いかがでしょうか?
しろがねとランらしいお話が書けたかなぁ、とわたくしとしては思います。
ところでわたくしてきに一番入れ違いミスタイプし易いの
「すずしろ」と「しろがね」だったりするのですが――みなさまはいかがでしょうか?
さて、ランとしろがねの登場があるのかどうか、
いまの時点ではわたくし自身にもまったく不明な
『レヱル・ロマネスク0』の過去話。
無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。
よろしければどうぞご笑覧ください。
(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)
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『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。
どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。