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3分で読めるレイルロオドのお話「20とハチロク」&WEBTOON作品 レヱル・ロマネスク0 第20話「幸福なみくろ」ネーム&字コンテ(全
10月も10日になったというのに、まだ日中は汗ばんだりもいたしますね(@埼玉)
あさって、12日の25:00からは
東京MX様で
TVアニメ『レヱル・ロマネスク2』の第二話が放送されます。
第二話からは早速「音探し」――つまりはフィールドレコーディングが開始されてまいります。
第一話のヒキで、ノワールと海が行動を開始している、ということが紹介されておりましたが、
果たしてどちらが、どんな録音を見せてくれるのか。
どうぞご期待いただけましたら幸いです。
また、「第一話視聴できなかった!」という方におかれましては
わずか198円でアニメ第一話のmp4が付随してくる上に、
かにこ(CV.田中理恵さん)との癒やしのひとときもご堪能いただけます
『蓄音レヱル かにこ』
の方、どうぞチェックいただけましたらと思います。
さてさて。
こちらでは「音」は一切使えないので、その分も画面に工夫を凝らしていかねばな
WEBTOON作品、『レヱル・ロマネスク0』。
ネーム&字コンテの方、
第20話『幸福なみくろ』の一式が揃いましたので、一気に公開いたします。
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どうぞご笑覧いただけましたら幸いです。
20話、というのはちょっとした区切りの数でございますので、本日の短いお話しは「20」をテーマにしてみたいかと思います。
登場するレイルロオドはハチロク。
タイトルは「20とハチロク」でございます。
■ハチロク■
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御一夜鉄道8620専用レイルロオド
人間社会の風習にわりと興味があるが、
いままで質問できるような機会もなかった。
■「20とハチロク」■
///
「うふふふふっ」
「どうしたハチロク、ご機嫌だな」
「まぁ」
"心外です"と言わんばかりの声とまなざし。
と、いうことはご機嫌の理由は、僕にも関係しているのだろうか。
「………………すまん、まったく思いつけない」
「――それは甚だ残念です」
うつむき、言って。
ハチロクはじとっとした目で僕を見上げる。
「本日がわたくしと双鉄様と8620との、営業運転開始以来、記念すべき20回目の乗務でございますのに」
「うむ?」
100回とかならまぁわかるが――20?
というか……
「10回のときは特段何もなかったではないか」
「10はだって、区切りがいいというだけで、特別な数字ではないではございませんか」
「うむむ?」
全くわからん。
10と20、何がそんなに違うというのか……
「人間のみなさまは、20で成人になられるというではございませんか」
「ああ!」
なるほど、その視点なら、たしかに20は大きな区切りだ。
成人するし、酒とタバコも解禁されるし、選挙権も与えられる。
もっとも僕は酒も弱いしタバコも吸わぬ。
選挙権も18歳にまで引き下げられることが検討されているとも聞くが――
「ならば僕の乗務も、これで一人前というわけか」
「あら」
さぁどうでしょう、と態度が雄弁に告げてくる。
「20になったらその瞬間、双鉄様は一人前になられたのでしたか?」
「いや――」
そう問われれば、苦笑し赤面するしかない。
「”大人である”と社会に言われるようになった……
ただそれだけであったように思えるな。
一人前など――まだまだ遥かに到達できない領域だ」
「乗務20回目も、まぁそのようなものであるかと存じます」
「!」
機関士として、僕は未熟だ。一人前など程遠い。
日々姫も凪も、習熟度が僕を上回るものとも思えない。
が、そうだと僕らが自覚しようとお構いなしに――
「”プロである”と、社会に思われるようになっているのだな。
恐らくすでに、僕たちチームは」
「で、ございます。そうした意味では、
本日は成人式的なものではないか、と」
「なるほどなぁ」
そう言われれば気が引き締まる。
むろん、いままで緩んでいたつもりも無いのだが――
「駆け出しだから、と……そうした甘えは、
心のどこかに、もってしまっていたかもしれん」
「でしたら、本日を境にその甘えはお捨てください」
「うむ」
大人になるとはそういうことだ。
社会によって認められ、自動になれるものではなくて――
「かくあらんと自覚して。かくありたしと背伸びして。
繕った見栄と体裁に、なんとか自分を近づけていく」
日々姫の前で、凪やふかみの前で常にしていること。
それを仕事で――全てのお客様の前でも、徹底していく。
「できると思う……ではなく、やらねばならんのだな。
それが、鉄道員としての使命だろうから」
「左様でございます。双鉄様」
にっこり、ハチロクが笑ってくれる。
なんの含意も感じられない、実に嬉しげな顔をして。
「そうとご自覚くださったのなら、
本日は、とてもよい記念日となりました」
「うむ」
気づかせてもらえてありがたい――
というか、言い訳じみた甘えがきっと、
いままでの僕のどこかに滲んでしまっていたのだろう。
「記念日であるというのなら……
というか、今日の気持ちを忘れぬために、
日々姫も……ああいや」
日々姫は凪と交代交代。
まだ20度目の乗務を迎えてはいない。
「僕とお前と8620。揃って記念写真を撮るか」
「まぁ、よろしいのでございますか?」
「うむ。スマホの待ち受けにでもしよう」
そうすれば、否が応でも頻繁に見る。
今日の学びを忘れぬためは、良い方策だ。
「あ……でしたら、その――わたくしもそのようにいたしましょうかと」
頬を嬉しげなバラ色に染め、ハチロクも喜んでくれている。
ならば初心忘るるべからずと、よりいっそうに心がけよう。
;おしまい
///
いかがでしょうか?
この作品もまだまだ理想の”大人”を目指し続けねばなWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク』0。
どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。
よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。
(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)
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『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。
どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。