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WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第38話 ネーム(全)&3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクの雷雨夜話」

一昨日の埼玉県狭山市は雷がヤバぅございました。

雷を伴うゲリラ豪雨は15分程度で収まったのですが。
その後一時間くらいの長きにわたり、稲光と雷鳴とが走り/響きつづけたのです。

折悪しく奥さんとあかちゃんがおんぶ紐でお出かけしており
「稲光走ってる最中に傘さして帰宅するのは危ない」
と、わたくしお迎えの車を走らせました。

「車や建物の中は落雷に対しての安全地帯」であるという知識を有していたからです。

のですが、帰宅後
(その知識は果たしてただしかったのだろうか?)という疑念にかられ、あれこれ調べてみたところ、大変に面白いサイトを発見いたしました。

雷に関するライブラリ的なサイト――その名も「雷ぶらり」です。

同サイトの「屋外での避難行動」のページを確認すると

わたくしの上記知識は「概ね正しい」という範疇にあるように感じられました。

ただし

・オープンカーのように内部がむき出しになっている車は安全ではない

・(避雷設備の無い)東屋や掘っ立て小屋、テント内はかなり危険

――であるらしく、そこに関してははわたくし、まったく知識を有しておりませんでした。

建物や車の中が安全であるのは

「金属やカーボンなどの電気を流しやすい物体でしっかりと囲まれており、落雷の電流はこの導体部分を伝って大地にながれるので、内部は安全に保たれる」

という理由からなのだそうです。

ので、電線の下も、「電線が落雷の電流を引き受けてくれやすい」という理由で、屋外では最も安全性の高い場所となりそうです。

逆に高い木の下は「電気を流しにくい性質をもっている木に落雷が直撃した場合、その近くにある導体である『人体』に落雷電流が飛び移るケースが多い」ため、大変危険となるそうです。

ので、

「雷雨のときはできるだけ、しっかりとした建物の中に避難する」

「それが困難なときは、電線の下で姿勢を低くし雷をやり過ごす」

のが、落雷被害を避けるために有効な行動ではないかと思われます。

これから夏にかけ更に雷が激しくなってくることかと存じますので――
どうぞご参考にしていただけましたら幸いです。

お互いにご安全に、夏を乗り切ってまいりましょう。

さて。
落雷で致命傷を受けそうな鉄道車両はいまのとこ登場してなく思われる
WEBTOON作品、『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテは、
第38話「すずしろ独占密着取材!」の全シーンが今回更新でそろいますので、一挙公開とさせていただきます。

ネームそのものはメンバーシップ特典記事となりますが、
それに先立つアバンタイトル部はどなたにも無償でお楽しみいただけますので、
よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

前置きのお話が雷に関するものでしたので、本日の短いお話も同じテーマで書いてみます。

タイトルは「ハチロクの雷雨夜話」
登場するレイルロオドは、もちろんハチロクでございます。

どなたにも無償でお読みいただけるお話となりますので、どうぞご笑覧いただけますと幸いです。

■ハチロク■


旧帝鉄8620形トップナンバー機8620専用レイルロオド。
現所属は御一夜鉄道。
雷は苦手ではなく、むしろ稲光は綺麗だと感じている。


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『ハチロクの雷雨夜話』

「……鳴り止みませぬね、雷鳴」

「だな。随分と長びくものだ」

ざっとかれこれ一時間。
明日の乗務も早いゆえ、さっさと眠りに落ちたいのだが――

「いつまで続くのでしょうか……」

「苦手なのか? 雷が」

「いえ」

意外なほどに穏やかな声音。

「苦手ではございませぬ。……というか、むしろ好きだと申せましょう。
稲光などは、はっとするほど美しいものとも感じますし」

「ほう」

……考えてみれば蒸気機関車は落雷に対して安全性が高そうだ。
なにせ車体のほとんどが鉄製。
もし落雷が直撃したとしてその電流は、車体からレールへと流れてくれるであろうから。

「それに、雷と蒸気機関車とには、ほんのわずかなものですが、つながりもあることでございますし」

「雷と蒸気機関車に?」

「はい」

ゆったり、ハチロクが微笑む気配。

「双鉄さまは、蒸気機関の発明者がどなたかご存知でしょうか?」

「トゥーレシビックだろう? それを商用化させた者ならばスチイブンスン」

「は、蒸気機関”車”の発明者でございます」

「ああ、ではなくて蒸気機関――スチームエンジンそのものの発明者か。
それは……む? うむ?」

「蒸気を利用した機構でしたら古代から存在したようですが――
産業用として実用レベルに達した蒸気機関の発明者でしたら、
『トマス・ニウコメン』であるとされております」

「ほう……まったく記憶に無い名が気がする」

「ニウコメンの蒸気機関は、ひとつのシリンダアを温め、冷やすことでピストンを動かすものでした」

「それは――」

頭の中に図を描く。
それはつまりは……ピストンを一度動かすたびに、シリンダーを冷却しなければならないことを意味している。

「熱効率が大変に悪いものとなるな」

「はい。その蒸気機関を改良したものが、そのまま8620の蒸気機関の原型となっております。
つまり、シリンダア内で温められた空気を別の容器に移動させることで、シリンダア内を常に高温・高圧に保たせることを可能にしたものですね」

「復水器か!」

「左様です。復水器だけでなく、ピストンの上下運動を回転運動へと変換する機構も、同じ発明家によって発明されました」

「ほう、復水器と主連棒――クランク機構は同じ発明家によって生み出されたのか」

「はい。その発明家の名は、ジェイムス・ワット」

「ああ!」

ワットはすなわち、電力を示す単位。

「ゆえに、雷と蒸気機関車との間には縁があるというわけか」

「大変に薄いご縁ですけれど――あら」

ハチロクが顔をあげる、と、そこに月光が差し込んでくる。

「雷、どうやらおさまったようですね」

「うむ」

「では双鉄さま。休みましょう」

「だな」

珍しいほど長く続いた雷鳴だったが、おかげで普段はせぬ類の話をできた。

「……雷も、たまには悪くないものだ」

「うふふっ」

ハチロクが笑う。
静かに、優しく。

「ですので、わたくし。雷はむしろ好きなのです」

;おしまい」

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いかがでしょうか?

雷&雨宿りの時間をゆったりたのしめる――
そんな余裕を、わたくしも持ちたいものでございます。

そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。

どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで

それ以降のまとめはメンバーシップ特典で

それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

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