3分で読めるレイルロオドのお話「西瓜のバースデーケーキ」＆「急行しろがねヘッドマーク」
バタついている間に7月も最終日となってしまいました。
7/31は、西瓜のロールアウト日ですので、本日はそれを祝いだ短いお話を書こうと思います。
なお、WEBTOON作品、『レヱル・ロマネスク0』のネーム＆字コンテは、前回で
第38話「すずしろ独占密着取材！」の全シーンを一挙公開いたしましたので
今回は更新お休みです。
メンバーシップ特典記事といたしましては
「急行しろがねヘッドマーク」
を公開いたしましたので、よろしければどうぞご笑覧ください。
と、いうことで本日の短いお話は
「西瓜のバースデーケーキ」です。
こちらは無償でどなたにもお読みいただけるお話となりますので、よろしければどうぞお読みいただけますと幸いです。
■西瓜■
仲国鉄路総公司東富4形電気式ディーゼル機関車東富4 2000専用レイルロオド。
車番は2000だが、先行試作機にしてそのまま営業運転に回された、実質トップナンバー機。
マスターである劉 志寰とは恋人関係にある。
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『西瓜のバースデーケーキ』
「……去年のロールアウト日にいってたじゃない」
確かに、口にした記憶があります。
でもまさか、本当に実現してくれるだなんて――
「これは、実際に西瓜が食べることのできる？」
「もちろん、原料は軽油だけだから」
「軽油だけ！」
見た目的には、人間の食するアイスケーキ……
いえ、まるでメロンシャーベットのケーキのように見えます。
ということは――
「軽油を冷凍して？」
「うん。冷凍倉庫にお願いして凍らせてもらったんだ。
温暖地用の軽油なら、氷点下10度で結晶化するって聞いたから」
「ということは、志寰。これ、時間がたったら――」
「液化してしまうから、さ、溶けないうちに早……く」
志寰が、しまった、という顔になります。
氷点下10度で結晶化するということは、氷点下9度では液化するということを意味します。
つまり、溶けないうちに食べるためには――
「レイルロオドの口内は、そこまでの低温に……」
「――西瓜のデータベースには当該の試験を行ったレイルロオドの記録はない……
だから、危険かどうか」
「西瓜自身で実証実験するのはやめよう」
「でも」
「ドライアイスを個体のまま口に含むと、口内の皮膚にくっついてそこが凍傷になってしまうんだ。
冷凍軽油でも似たような事故が起きる可能性は高そうに思うから」
「……」
「だから」
「！」
志寰がタンブラーを取り出します。
そこに軽油をとぷとぷとぷと注ぎ入れ――
「こうやって食べてほしいかな」
「志寰！」
軽油ケーキが細かく切られ、その一片がタンブラーの中に落とし込まれます。
形はどんどん失われていき――
（こくんっ）
「どう？」
いつもよりずうっと冷たい軽油。
けれどもとても美味しくて……
「甘い。経験したことがないほどに。
甘くて――なのに胸がほかほかしてきて、幸せな味」
「それならよかった」
「好吃――本当にとても甘くて……」
切り分け崩しとかして飲み干す。
その繰り返しがとめられないほど――
「あ、西瓜。口の端」
「！」
汚れがついてしまったのでしょうか。
志寰の指が、そっと唇の端をなぞって――
「……西瓜」
――そのまま、唇を軽く撫ぜます。
志寰の顔が、ゆっくりやさしく近づいてきて……
「ダメ、志寰」
「え？」
「だって （はーーーーーっ）」
「あ！ 軽油」
そう。西瓜の口内はいま軽油まみれといって過言ではない状態です。
だから口づけするなんて――
「それなら」
（ちゅっ！）
「！！！」
――おでこに軽い、軽いキス。
そのままおでこにおでこをつけて、志寰は優しく笑います。
「――西瓜。生日快乐！」
;おしまい
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いかがでしょうか？
ちなみに軽油の沸点は240度～となってますので、
溶けても安心、軽油ケーキでございますのです！
そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
どなたにも無償でご確認いただける0～7話はこちらで
それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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