3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクれいなの源泉談義」&WEBTOON作品 レヱル・ロマネスク0 第35話「くまがわくるん」シーン1ネーム&字コンテ
5月26日は「源泉かけ流しの日」なのだそうです。
極上の風呂で、526――という語呂合わせが由来とのことでございます。
確かに「源泉かけ流し」という言葉には、温泉の中でも最高級……的なイメージがあるように思えます。
ところがぎっちょん「源泉かけ流し」には更なる上位職がございますのです。
その名も「源泉100%かけ流し」でございます。
源泉かけ流しは、源泉をろ過、循環などせず、湯船を満たしては文字通りにかけながしていく――
豊富な湯量がないとそもそも成立できない温泉です。
しかしながら、泉質を損ねない程度の加温、加水なども「源泉かけ流し」には認められているそうなのです。
その「加温」「加水」を一切行わない――源泉をそのまま、あるいは暑すぎる場合には冷却タンク等で自然冷却してかけ流し利用するものが――
『源泉100%かけ流し』なのだそうです。
ざらっと検索した範囲だと、「源泉100%かけ流し」の湯は大変にレアなようでございますので――
参)
機会があったらわたくし、ぜひとも入浴してみたいと願うところでございます。
さてさて、温泉の話題で場があたたまりましたところで、
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテ掲載させていただきます。
今回掲載は、第34話「水の料理」
に続きます第35話「くまがわくるん」の、シーン1のネーム&字コンテでございます。
紅の料理から広がっていくイメージの連鎖――
それがどのように結実していくものか、どうぞご期待いただけますと幸いです。
と、そんなこんなで本日の短いお話は
「源泉かけ流し」をテーマとしてみたく思います。
登場するレイルロオドは、ハチロクれいな。
タイトルは「ハチロクれいなの源泉会議」。
どなたにも無償でお読みいただけるお話となりますので、よろしければどうぞご笑覧ください。
■ハチロク■
御一夜鉄道8620専用レイルロオド。
旧所属は帝鉄。
御一夜鉄道所属になっていこう、すっかり温泉にハマってしまった。
■れいな■
御一夜鉄道キハ07s専用レイルロオド。
旧所属は硬上鉱山鉄道。
お風呂でタオルに空気をいれてぶくぶくさせるのが好きなので、温泉ではマナー違反にあたってしまいできないことを、大変残念に思っている。
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『ハチロクれいなの源泉談義』
「あぁ」
なんとやすらぐことでしょう。
乗務のあとの天然温泉――帝鉄時代には考えることさえできなかった、まさに至高の贅沢です。
「やっぱり源泉かけながしはいいですねぇ」
れいなが小さな手で湯をすくい、それを反対の腕にかけます。
「お肌、すべすべになる気がしますよぉ」
「もとよりすべすべのたまご肌ではないですか」
とはいえ、気持ちはわかります。
「レイルロオドのわたくしたちにさえこれだけ効く気がするのですから、
人間のみなさまにはきっとひとしおなのでしょうね」
「ですねぇ。ポーレット、御一夜の温泉は美肌効果すごい! っていっつもいってますよぉ」
「確かに――」
美肌効果……を通り越し、美形効果とすら言いたくなる気がいたします。
御一夜、本当にお肌はもちろん、お顔立ちも美しい方が多くって。
「そうした効能、あるのでしょうか?」
「あるんですよぉ、きっと。なんていったって源泉かけながしですからねぇ」
「源泉かけ流し」
よく聞く言葉ではございます。
けれど……
「いままで深く考えたことがなかったのですけれど――
『源泉かけ流し』の温泉と、そうではない温泉との違いって」
「一回使ったお湯を、循環してろ過して加熱したりして、再利用するのが普通の温泉なんですよぉ」
「ああ――『追い焚き』というやつですか?」
「そのイメージですねぇ」
なるほどなるほど。
と、なりますと――
「源泉かけ流しは、それらを一切行わない、と」
「一切完全に行わないのは、『源泉100%かけ流し』っていう分類になるんですよぉ」
「そうなのですか?」
「源泉かけ流しは、泉質を損ねない程度の加水とか加温とかは認められてて、
御一夜の温泉は、このタイプが多いですねぇ」
「加水と、加温――」
なるほど、源泉の温度が熱すぎる場合は加水で冷まし、
逆に低すぎる場合には、加温して適温とするのでございましょう。
「それを一切行わないとなると……
源泉100%かけ流しの温泉は、最初からいい湯加減の源泉が湧き出しているわけですね?」
「とは限らないんですぅ」
「え?」
「あっつい分には、例えば源泉から湯船までのパイプをすごおく長くして」
「ああ! パイプを通過している間に冷ます……いいえ自然に冷めるのは――
確かに『源泉100%』を一切損ねないという解釈になるのですね」
「みたいですぅ」
「御一夜でそれをしていない、ということは」
「多分、御一夜の源泉は温度低くて加温しなくちゃなとこが多いんでしょうねぇ」
「なるほどなるほど――!?」
「どうしましたぁ? ハチロクさぁん」
「いえ、その――どうにかして『自然に温まる』環境を用意できたら、
それは果たして、『源泉100%かけ流し』とできるのかしらん、と」
「自然にあたたまる、ですかぁ?」
「例えば……晴れの日限定となってしまいますが、
熱伝導率の高いパイプを日当たりのいい場所に通す――とか」
「わ! 夏場には確かに自然とあったまりそうですねぇ」
うふふぅ、とれいなは楽しげにほほえみます。
「れいな、それ、登呂流湯さんに提案してみますねぇ!」
;おしまい
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いかがでしょうか?
ハチロクのアイディア、多分ソーラーパネルとかを利用した熱交換器と類似とみられ、
源泉100%かけ流しに相当しなくなる――のではないかとわたくし素人知識では考えるのですが、
実際のとこはどういう解釈となるのでしょうか?
既存ストーリーの新解釈、ともいうべきWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の過去話。
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