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2022年09月北海道録音取材記 ~Day2 (前半)雨と風とは録音の敵!~

みなさんこんばんわ。
レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を勤めます、進行豹です。

先日よりこのnoteでは、
『レヱル・ロマネスク』の関連作品で用いる音を録音するために行った、北海道取材の様子をリポートしています。

録音された音源は、
『蓄音レヱル』シリーズのように、声優さんの声やお芝居を引き立てて、かつ、それ単体でもここちよいいやし効果を発揮する、
背景環境音として用いられますので、重要度の高い取材です。

にもかかわらず、Day1では

台風接近による影響のため、早めの録音断念を決意せざるを得ませんでした。

そこで本日は、なぜ、台風接近が――つまりは風と雨とが、
フィールドレコーディング(野外録音)の大敵なのか。
そこからお話していきたいと思います。

まずは、風。

みなさんがTVドラマ等でよくお聞きになっている「風の音」は、
実はみなさんが立っている≒マイクが立っている場所に吹いてる風――
ではありません。

マイクが立っているところに風が吹くとこうなります。

――ぼふぼふ、ぼふぼふ。

マイクを風が叩いてしまい、耳障りな音にしかなりません。

では「風の音」はどうやって録っているのか?

正解は非常に単純――
『マイクのところは無風、遠くで風が吹いている状態で録音する』――
となります。

マイクに風があたってしまう――
ウインドスクリーン(風防)があっても、その悪影響を完全に消し去ることは難しく。

ゆえに、台風の「風」は録音の大敵となるのです。

では、「雨」はどうでしょう?

これもまた、雨粒がマイクを叩く雑音を生じさせます。
こんな感じです。

ぼっ、ぼっ、と――この雑音を編集で除去することは、大変に困難なのだそうです。

「だったら傘をさせばいいのでは?」

とお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そうしてしまうと今度は「傘が雨を弾く音」「雨だれが地面に落ちる音」が生じます。
テントや、東屋の低い屋根などをつかったとしても同様です。

さらにマイク――コンデンサマイクは、その構造上、湿気を強く嫌います。

その意味でも雨は録音の大敵であり……
ゆえ、台風の「風雨」はともに、野外録音を極めて厳しくするのです。

そうして。

迎えた取材二日目の朝。
2022年9月6日も、台風は変わらず北海道に鋭意接近中なのでした。

幸いにして我々が泊地に選んだ岩内の早朝は晴れていました。
しかし、移動をすれば、時間が経過していけば、いつ風雨に襲われるとも限りません。

ならば録音候補地は、できるだけ近くを選ぶ必要が生じます。

検索すれば、ホテルのすぐ近くによさそうな場所がありました。

「マルヤマヒーリングファーム」
https://www.iwanai-kanko.jp/tourism/maruyama/38.html

――ダチョウの餌やり体験が可能な牧場だとのことです。

行ってみますと、そこには餌の自動販売箱があり。
そしてたくさんのダチョウ達が元気に暮らしておりました。

早速餌を購入し、ダチョウを呼び寄せ、鳴き声を録音するべく餌をあげたり、あげずに焦らしたりしてみます。

……しかし、ダチョウは鳴きません。



餌を柵から大きく離し、見せびらかすような形にしても、まったく鳴いてくれません。


(これはおかしい)

さすがに首をかしげはじめたわたくしに、取材同行者であるサウンドクリエイター、町田さんが、手にしたスマホを差し出して見せてくれます。

「これ、なんでやねんと思っていま検索かけたんですけど」

【Q】ダチョウはどんな鳴き声で鳴くの?

【A】ダチョウには声帯がないため、基本的には鳴きません

――おお、なんということでしょう。

サイトには、「求愛のシーズンになると喉に空気を溜めて鳴らすことがある」と書いてありますが、9月のダチョウは繁殖シーズンを外れているのか、そうする気配もありません。

ただただ餌をついばんで。
餌をついばんだその後は――鶏の砂肝と同じような器官でもあるのでしょうか? ――土をついばみ、食べています。

その非常~~~に地味で、聞こえ映えしない音を一応は抑えで録音し。

録音を終えれば、次の目的地、京極町のふきだし公園へと移動します。

こちらも天気はなんとか崩れずにいてくれます。

しかも、吹き出す水=音源の極めて近くにマイクをセッティングすることができ、
つまりは多少の雑音などをかき消させることも叶いそうです。

喜び勇んで録音した音がこちらとなります

――いい感じです。

気をよくしましてそのまま次の目的地、
本日の本命 『ニセコ駅鉄道遺産群』へと向かいます。

ここでの録音目標は「手回しで転車台を回す音」

その録音成功させるために、我々は『コンタクトマイク』もしっかりと用意してあるのです!!!

ので、本日はここまでとして、次回記事にて、
『コンタクトマイクってどんなもの?』について詳しく書いていきたいと思います。

もしもご興味おありでしたら、ご期待ください!

では、また明日。

(続く)

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今回の取材内容を下敷きにした、以下のあらすじのショートストーリーをお楽しみいただくことができます。

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ぜひご参加ご検討ください!

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『りいことダチョウと物忘れ』

(あらすじ)

近所にダチョウがいると聞き、興味本位で見に来たりいこ。
マスターが教えてくれる、ダチョウのあまりのドアホさに、
「虫よりアホかも」と驚愕し、考えにふけります。

(登場レイルロオド紹介)

「りいこ」(頭部鉄路5号機関車専用レイルロオド)

<出身> 詠国(イギリス)メイヤー・リーコック社製

<所属路線> 頭部鉄路 頭部三勢崎線 (開業時 喜多千住~茎。後に伊勢先まで延伸

<能力・性格> 虫愛ずるレイルロオド。のんびりやで気分やでわがまま、欲望に忠実で我慢が効かず、責任感に乏しい、甘やかされたこどもそのものの性格をしている。が、その行動は善意(周りの人を喜ばせたい、自分が楽しくなりたい)そのものでまったく邪気が無いゆえに、つねに周囲に愛され保護されてなんとか仕事をこなしてきた。
大廃線にともない会社精算の危機に瀕し、自分を愛し守ってくれていた関係者はレイルロオドが次々いなくなってしまったことにより、自分の幼さを自覚。
「今度はりいこがみんなに恩返しする番」と考え、懸命に成長しようとしている(が、本来の幼いわがままさはしばしばぼろりと表面に出てきてしまう。
特に珍しい昆虫を見つけたときなどはどうしてもダメで、他の全てを忘れて夢中になってしまう。

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