WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第40話「工場誘致撤回調印」シーン1ネーム&3分で読めるレイルロオドのお話「日々姫の変化に気づくには」
夜が来るのが早まってまいりましたね。
調べてみたら今年の夏至(一年で一番昼間が長い日)は6/21だったそうで。
と、いうことは7月→8月と徐々に日が短くなり続けていたはずなのですが。
わたくし個人の体感は
「お盆が開けたら急に夜が早く来るようになった」というものでございます。
恐らく、ちょっとずつの変化をわたくしは認識できていなくて。
「お盆」という一つの心理的な区切りを迎えたことで「夜が早く来るようになっていた」という現実を追認したのではないかなぁ、と思います。
「こういうのって他にあるのかなぁ」的な感じでぐぐってみたところ、
<視覚は、ゆっくりとした変化に気づきづらい> という特性を持っているらしく、これを『変化盲』というそうです。
この変化盲がいかなるものかを体感できる動画も見つけましたので、もしお時間あれば確認してみてください。
……結構なかなか、難しいのではないかと思います。
わたくしは全3問題、6箇所のうち、2箇所しか正解できなかったので、なかなかの変化盲っぷりなのではないかと存じます。
今度なんとか、改善を図っていきたいものです。
そして、目に見えてぐんぐんと更におもしろく変化させていきたい
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテの方は、
今回より第40話「工場誘致撤回調印」を1シーンずつ紹介させていただきます。
ので、当選最初はシーン1となりますね
ネーム&字コンテはメンバーシップ特典記事となりますが、
それに先立つアバンタイトル部は、どなたにも無償でお読みいただけるものとなりますので、
もしよろしければそちらだけでも御確認いただけますと幸いです。
そんなこんなで本日の短いお話は「変化盲」をテーマに書いてみたいと思います。
登場するレイルロオドは、みくろ。
タイトルは「日々姫の変化に気づくには?」となります。
どなたにも無償でお読みいただけるお話となりますので、もしよろしければご笑覧いただけますと幸いです。
■みくろ■
旧帝鉄8620形38696専用レイルロオド。
長らく雄武田の動物園に勤務していたが、御一夜鉄道業務拡大にともない、乗務復帰を目指すようになった。
パートナー(マスター)候補は、右田日々姫。
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『日々姫の変化に気づくには?』
「あ、日々姫さん、髪の毛短くしたんですね」
「そうなの、毛先をちょこっと! ってか、気づいてもらえてうれしかとーーー」
日々姫さんほんとに嬉しそうです。
ちょっとだけ、喜びすぎ? な気がしちゃうくらい……
「もしかして、誰かに気づいてもらえたかったんですか?」
「そぎゃんと! にぃに!!
『わたし、どっか変わったとでしょお』ってヒントまで出したばってん、
『……少し痩せたか?』とかいかにも自信なさそーにピント外れなことば言ってきて~!」
「あー、変化盲ってやつですね?」
「へんかもー? それって、どぎゃんもん??」
「えっとですねぇ、みくろ、雄武田市動物園の講習で習ったんです、
『動物たちの些細な変調を見逃さないために』っていう内容で」
「ふんふん」
「人間の目――それを模すことを目的に作られたレイルロオドの視覚センサもなんですけど、
目って、基本的には『注意が向いた部分をよく見る』ようになってるんです」
「んん? それってどぎゃん意味」
「脳とかCPUとかの処理能力って、限界がありますよね」
「うん」
「だから、生存とかそういうのに重要な情報を優先的に処理するようになってるんだそうです。
人間が動物とか他の人間に向き合うとき、一番重要になるのは、相手の目――顔を見ることだっていうお話で」
「あー、それはそうかも。とりあえず最初に手とか足とかに注意、むかんとよね、よっぽど意識しとらんと」
「ですです。で、『よっぽど意識してる』場合は、今度は意識してる部分を優先的に処理するようになる」
「うん」
「その影響で『優先的に処理されている部分以外』を、目は『見落としやすく』なっちゃってるんだそうです。
だから、『優先的に処理されている部分』以外の変化には、気付きづらくなる」
「それが、さっきゆっとった『へんかもー?』」
「です。変化に対して見えなくなる、盲状態になっちゃうから、変化盲」
「したらにぃには……わたしの顔とかに注意がいっとったせいで、毛先の変化に気づけんかったと?」
「なんじゃないかって思います」
「ばってん、みくろちゃんは気づいてくれたわけでしょー」
「それは、みくろの方が双鉄さんより、『日々姫さんを見慣れてない』からなんじゃなかって思います」
「見慣れてないから変化に気づける? ……あー! そか、さっきの話。
『脳の処理能力には限界がある』から――」
「ですです。見慣れているものは”いつもと同じ”って処理されやすくなっちゃうんです。
だから動物園での講習の題材にもなるくらいには」
「飼育係さん、確かに毎日毎日おんなじ動物見るわけだもんね。
そのせいでかえって、ちょっとした変化に気づきづらくなっちゃう」
うんうんうんって頷いて。
日々姫さんが「はっ!」って感じにみくろを見ます。
「講習を受けたってことは、『気づきづらい変化に気づく方法』を教わったってことでしょお」
「はい、みくろたち先生に教えていただきました」
「それって、どんな方法と? にぃににもやってもらえるようなことなら」
「! 日々姫さんの変化にも気づいてもらえやすくなりますね。
そういうことでしたら、みくろ、喜んでお教えします。ええっと、確か――」
第一。観察記録をつける。「記録する」っていう作業を挟むことにより、変化に意識が向くようになる。
第二。複数視点で観察する。チームで観察情報を共有すれば、視点の数だけ変化の見落としを防げる。
第三。チェックリストを作る。具体的な項目をチェックする形にすれば、見落としは更に減らせる。
第四。テクノロジーを用いる。機械を使ってのモニタリングを併用することで、肉眼では見落としがちな変化も見つけ出せるようになる。
「……にぃににやってもらうには、厳しそうなものばっかりと~」
確かにです。
双鉄さんがチェックリストを使って日々姫さんの確認をするようになっちゃったら――
多分日々姫さんが望んでるような関係、永遠に築けなくなっちゃいそうです。
みくろ、なんとかお力に――あ!
「ありました、もう一つ。教えていただいた変化盲の改善方法」
「それって!?」
「トレーニングです」
……やだなぁ、これも変化盲。
あたりまえにやるようになっちゃってたから、逆に思い出すの遅くなっちゃいました。
「変化盲は、『間違い探しの時間バージョン』って言い換えられるってみくろ教わりました」
「確かに」
「だから、間違い探しのトレーニングをすることで、変化盲を軽減させる効果を得られるんだそうです。
みくろが日々姫さんの変化にすぐ気づけたの、そのトレーニングのおかげかも」
「それ!!!!」
すっくと、日々姫さんが立ち上がります。
「これから週1! うぅん、週2で! にぃにをサイゼリ屋につれてくと!!!!」
;おしまい
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いかがでしょうか?
今後わたくしもサイゼリヤを訪れたときには必ず、
間違い探し、真剣に取り組んでいきたく存じます。
そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで
それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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