WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第44話「夢を乗せる列車」シーン3ネーム&3分で読めるレイルロオドのお話「みくろと日々姫の予防接種」
12月最初の更新で、noteできるだけ定期的に――といっていたにもかかわらず、間一週間空いてしまい、まことに面目次第もございません。
父が緊急入院したり、中古車の売却-購入の日程をその周辺から動かせなかったりとたいへんバタバタしてしまっていたのですが、ようやく! ようやくもろもろ落ち着き、今度こそ(父の容態急変などが発生しない限りは)スケジュール正常化していけるかと存じます。
ネーム更新の方も、もうしばらくしたら大きな変化をともなってのお届けをできるようになるかと思いますので――
どうぞいましばらくご寛恕の上、今後ともお付き合いのほどいただけましたら幸いです。
さて。そのネームの方、前回は第44話「夢を乗せる列車」のシーン2の更新でございましたので
今回はシーン3を更新いたします。
日々姫サムネイル、たいへんにひっさしぶりなような気がいたします。
ということで38696の再活用の方法、そういうことになってまいりますわけなのですが――
もしよろしければご笑覧いただけますと幸いです(メンバーシップ限定記事です)
で、こちらはどなたにも無償でお読みいただけます「レイルロオドの短いお話」
今回は日々姫みくろで書いてみたいと思います。
タイトルは「みくろと日々姫の予防接種」
もしよろしければご笑覧ください。
■みくろ■
旧帝鉄8620形38696専用レイルロオド。
廃車同然な38696の清掃活動を通じて日々姫となかよくなった。
現在は雄武田市動物園の職員として働いている。
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『みくろと日々姫の予防接種』
「痛くないよー、痛くないからねー。あ、そだ! おいも食べる? はい、どうぞ――って、この隙に!」
うっわ、みくろちゃん上手!
あん豚ちゃん、お芋に夢中になりすぎて、いまお注射チクってされたん……多分気づいておらんでしょお。
「おまたせしました、日々姫さん。どうですか?
――わぁ! やっぱりスケッチ、本当にお上手ですねぇ」
「いやいや上手はみくろちゃん!
……ひどか話やけんどね? わたし、注射打たれる豚ちゃんがイヤイヤする姿とかスケッチできるのかもーって、ちょこっとは期待しとったんやけど」
「うふふっ、ミニブタはほとんど痛がりませんねー。
特に、今注射したザヴィーは、もう何年も園にいるベテランですし」
「っていうことは――来たばっかりの、ミニブタじゃない動物とかだと、痛がったりすると?」
「そうですね。来たばっかりの動物は、経験ないから痛がちゃうこと多いです」
「経験?」
「ワクチン接種の経験です。ええと……」
みくろちゃん、急にきょろきょろし始める。
「あ! ザヴィー――さっきのミニブタがなんで痛がらないかっていうと……まぁ、ミニブタはそもそも痛がらない個体が多い上に、繰り返しの条件付で、予防接種を『美味しいものがもらえる時間』って認識してくれてることもあるからなんです」
「なるほど、そっか! 予防接種のときにはいっつもお芋あげてる?」
「そうなんです。お食事じゃない時間なのに、だっこしてもらえて、なででもらえて、美味しいものももらえるから、ちょっとチクっとするデメリットより、楽しいことの方が多いって思ってくれてるんですよ。多分」
「そぎゃんしつけで痛がらないし、嫌がらないとねー、なるほど」
確かに、みくろちゃんが抱っこしてくれてなでなでしてくれてあーんしてくれたら、チクっ! くらいは全然我慢できるとねー。
「……そんやり方、コンにも通用するんかなぁ」
「あ! 駅長狐ちゃんですね。
そっか、狐も狂犬病、かかっちゃいますもんね」
「うん。エキノコックスがおらんこと確認した上で、特別な許可ばもらって”駅舎での保護”を許可してもろうとるばってん――
狂犬病の予防接種ば、毎年義務付けられとるけん」
「効果あると思います。もちろん。
コンちゃんの好物をあげて、だっこして撫でて……コンちゃんの好きなことしてあげながら獣医さんに注射してもらえば」
「アドバイスありがと。ほんなら、次んとき試してみる」
私より、抱っこ係りはれいなちゃんの方がよかとよね。
れいなちゃんに抱っこしてもらいながら注射してもろうとれば、あぎゃん――
『助けてください! この世の終わりがやってきました! これから虐待! 虐待されます!!!!」
――みたいな鳴かれ方せんでもよかったんかも……今までも。
「ちなみに……キツネって、注射嫌がる方の動物?」
「だと思いますよ? ウチでもそうですし……条件付けが全然ない、はじめて園に来たばっかりの動物とかだと……やっぱり、小型の子と頭いい子が注射、嫌がること多いです」
「あー、犬とか条件ぴったりやねぇ」
「ワンちゃんは嫌がるこ多いみたいですねー。園だとリスザル! すっごく嫌がっちゃいますね。
あとは意外なとこだと、鳥たちとかも」
なるほどねぇ。
身体ばちいちゃいんは、それだけ弱い――死に近いってことを意味しちゃう気がするけん……痛みへの臆病さも、人間以上なのかも。
ばってん……小動物とか鳥類とかは……かわいそうさが先に来ちゃって、お注射ばイヤがってるとこ積極的にスケッチする気になれんかも。
「大きい動物はどぎゃん? 痛がらんと?」
「な。気がします。うちの園だと、大動物自体少ないんですけど、
『注射痛がっていやー!』ってなっちゃうこはいないですね」
言ってクスって、みくろちゃんが笑う。
「逆に、エンジョイしてるこはいますけど」
「エンジョイ!?」
「そうです!」
みくろちゃんが急に歩き出す。
「この子です!」
「ライオンっ!!!!?」
「そうなんです。ライオンは近づいて抱っこしてなでなでして注射、って危なくてできないから、獣医さんが吹き矢使って予防接種するんですけど」
「吹き矢っ!!?」
「やっぱり見ものだから飼育員たちも集まってこっそり見るんです。
で、当たると拍手で外れると落胆の声がでちゃうから。
なんか、ラリーがそれを学習しちゃって、吹き矢に気づくと、かわそうとするようになっちゃって」
「攻防戦!!!!」
「です! まさに緊迫の攻防戦なんです。身を隠して隙を狙う獣医の先生と、気づいてるのか気づいてないのか……ときどきギラっと鋭い目をするラリーとの」
「それ! 見たか! スケッチしたか!!!」
手ばとる。とって握って上下にぶんぶん揺すっちゃう!
「次んとき! もしもできたら! 見学させて!!!!!!!」
;おしまい
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――いかがでしょうか?
初稿、虎で書き始めてて、ふっと気になって検索したのですが、
偶然にも雄武田市動物園と名前が似ている大牟田市動物園にいたホワイトタイガーのホワイティちゃん、2022年の5月31日に亡くなってしまわれたとのことでした。
御冥福をお祈り申し上げます。
それはさておきWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
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