WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第42話「過去からの絆」シーン2ネーム&3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクとみくろではんぶんこ」
本日は秋分の日でございますね。
春分と並び、一年の中で二度だけの「昼と夜の長さがほぼ等しくなる日」でございます。
春分をすぎると日は長くなり夏に近づき、秋分を過ぎると日は短くなり冬に近づいていくということとなりますね。
残暑、と呼ぶには暑すぎる気温がまだまだ続いておりましたが、ようやっと「夏」にも終りが来るのかなという感じを個人的には受けております。
秋分、秋分は昼と夜とで一日を二等分する日なのでございますが、この「二等分」実はなかなか面白いバリエーションをみせる言葉のようなのです。
Q:「二等分」を言い換えてみてください
――この答え、わたくしの場合は「はんぶんこ」になるのですが。
このバリエーションとして
・はんぶんこっつ
・はんぶんづっこ/はんぶんずっこ
・はんぶんつっこ
・はんぶんこずっつ
・はんぶんこづつ/はんぶんずつ
・はんぶんこっこ
・はんぶんっこ
・はんぶんごっこ
・はんぶんっつ
・はんぶんつ
等々、かなりの変異形があるようなのです。
で、それらの話者には、ほとんど地方性が見られない――
つまりはおそらく、「方言ではない」ようなのです。
では、なにがこのバリエーションを生んでいるかというとおそらくは家庭環境――言葉の受け継ぎなのですが、
それがなにゆえ地方色を有しないのかは……わたくしにはまったくわかりかねます。
この辺、どなたか調査をした方などいらっしゃいましたら、ぜひとのその結果拝読してみたいものです。
さてさて、WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネームと字コンテの方につきましては、
前回は第42話「過去からの絆」のシーン1&アバンをご紹介いたしましたので
今回はシーン2をご紹介させていただきます
ハチロクと双鉄が向き合うとするシーンでございますね。
メンバーシップ特典記事とはなりますが、よろしければご覧ください。
そしてこちらはどなたにも無償でお読みいただける記事となります
3分で読めるレイルロオドのお話ですが、今回のテーマは「二等分」といたしましょう。
登場するレイルロオドは、ハチロクとみくろ、仲良し姉妹でございますね。
タイトルは「ハチロクとみくろではんぶんこ」。
ご笑覧いただけますと幸いです。
■ハチロク■
旧帝鉄8620形8620専用レイルロオド。
誇り高きトップナンバーレイルロオド。
残り少なくなってしまった妹であるみくろをとりわけ大事にしている。
■みくろ■
旧帝鉄8620形38696専用レイルロオド。
いまは静態保存機となった38696の管理を兼ね、雄武田市動物園で働いている。
おねえさまであるハチロクのことが大好き。
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『ハチロクとみくろではんぶんこ』
「それでですね、おねえさま」
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、本当に他愛もないおしゃべりです。
おしゃべりのおともは水と石炭。
天然水を純水処理した大板産のお水に、夕梁は北隅新谷地炭鉱さんの、国内最高級の瀝青炭。
みくろをおもてなしするために用意した、わたくしのおとっときです。
「これ美味しいですね、おねえさま」
「うふふっ、なによりのことです」
「あ! なによりっていえばですね、この間關門鉄道のしろがねさんが――」
食べて、喋って、喋って飲んでの繰り返し。
生産性の全くない、いってしまえば無為な時間の積み重ね。
その積み重ねが――嗚呼! なんと楽しくなんと尊いことでしょう。
「で、そのときしろがねさんの帽子を――あ」
「え? ああ」
遠慮の塊。
関東の一個残し。
ここ御一夜では”肥後のいっちょ残し”などともいうようですが――
「みくろ、どうぞ食べてください」「おねえさまが召し上がってください」
「「あ」」
言葉が、思いが重なります。
これは――
「おねえさまがご用意くださったものですから。お姉様がお召し上がりになるのが当然だってみくろ、思います」
「みくろに食べてもらいたくって用意したものなのですよ? ので、最後までみくろに食べてほしいのです」
「でも」
「それを言うなら」
――あああ、予想通りです。
みくろもわたくしも、相手に食べて欲しい状況。
このままでしたら堂々巡りは終わりませぬ。
楽しい時間が、どんどんと溶けていってしまいます。
「でしたら、みくろ」
「はい、おねえさま」
「最後の1塊、ふたりではんぶんこいたしましょう」
「おねえさまとはんぶんこ! みくろ、とっても嬉しいです!」
ぱあっと華やいだ顔が、けれどもすぐにきょとんと止まってしまいます。
「けど、どうやって?」
「わたくし、大切なお友達のために手に入れたものがあるのです」
アイスピック。
これを使えば石炭をガツガツと砕けますから、砕いたものを適当に分け、デジタルスケエルに乗せさえすれば――
「……みくろのお皿の方が165グラム多いです。おねえさま、もっととってください」
「でしたら、この塊をくだきまして――」
「まだ35グラム多いです」
「そのくらいでしたら――この小さいのを砕いてみて……」
「あ! これで!!」
「いえ、今度はわたくしのお皿が8グラム大きくなってしまいました。
流石に8グラムだけを砕き割るのは至難ですので、こちらの塊を二等分してみて――微調整を」
「今度は……」
「ああ! 惜しいっ――」
「あと2グラムぅぅぅぅ!!」
……はぁ、はぁ、はぁ。
今度こそ、これで――
「ぴったりです! さすがおねえさま!!!」
「よかった、これで一段落ですね。さ、いただきましょう」
「はぁい、いただきまぁす!」
さらっ、さらっ、さらっ、さらっ――
(……これは――歯ごたえなど一切なくなってしまいましたね)
食べるではなく、飲むですらなく、吸引する。
お腹の中で、粉塵爆発が起きてしまいそうです。
……ポーレットさまが時折飲んでらっしゃる粉の胃薬――
あれはきっと、このような舌触りなのでしょう。
「おねえさま、ごちそうさまです!」
情けないほどの味気なさ――なのにみくろは、キラキラ笑顔を輝かせています。
「おねえさまとはんぶんこした瀝青炭! とーっても美味しかったです!!」
;おしまい
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いかがでしょうか?
みくろ、とってもいい子でございますね!
ハチロクももちろんめちゃくちゃいい子でございますのですが――
それ以上に、味に拘ってしまう様子でございます。
そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
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それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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