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3分で読めるレイルロオドのお話「しろがねのアレルギー疑惑」&WEBTOON作品 レヱル・ロマネスク0 第29話「列車とバスをつなぐもの」シーン1ネーム&字コンテ
2月も終わりに近づいてきて、日も少しずつ長くなってまいりました。
17時とか、少し前には「夜」な暗さだったのですけれど、最近は薄明るくなってきた感じで。
ともなって気温も温か――を通り越して暑さ感じる日もあり。
その翌日は震えるくらいに寒く……と、いかにも季節の変わり目らしい乱高下を見せ、
寒暖差アレルギー持ちのわたくしの喉と鼻とは、かなりしんどい状況に陥ってしまっております。
マスクまったく手放せないので、マスクが非常に廉価な今の市場、大変ありがたく感じております。
そんな感じでいまもしんどうございますので、さくっと本題に入らせていただきます。
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテ
先週までに第28話「晴れ時々曇りのちに雨」の全ネーム&字コンテを公開
いたしましたので、今週からは
第29話「列車とバスをつなぐもの」のネーム&字コンテを、シーン1から順次公開させていただきます
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レトロバス登場! 回でございますね。
山恵村のイメージモデルである山江村のレトロバス「マロン号」
は、大変かわいい子でございますので、乗れるチャンスを見つけましたら
ぜひぜひご乗車くださいまし、と、わたくし、強くおすすめ申し上げます。
そんなこんなで本日の短いお話は、「アレルギー」をお題に書いてみたいと思います。
登場するレイルロオドは、メンバーシップ特典のリクエスト
から、「しろがね」
と、相方としてランでいこうかと思います。
タイトルは「しろがねのアレルギー疑惑」
どなたにも無償でお楽しみいただけるお話となりますので、どうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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■しろがね
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關門鉄道EF10 23専用レイルロオド。
海底トンネル輸送のスペシャリスト。
高嵜鉄道のランとは特別な友情で結ばれている。
■ラン
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高嵜鉄道D51 840専用レイルロオド。
プリンス・オブ・レイルロオドの異名も名高い、レイルロオド界きっての人気者。
關門鉄道のしろがねとは特別な友情で結ばれている。
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『しろがねのアレルギー疑惑』
「ランさんは」
「うん」
高嵜の町の喫茶店。
潮の香りがまったくしません。
けど、石炭も軽油もオーダーできるの、ものすごく、「機関車の街」って気がします。
「レディしろがね?」
「あ、すみません。ランさんは、その――」
突拍子もない質問だって、わかってます。
けど、ランさんは、ランさんだけは――
そんな質問でも真正面から受け止めてくれるともわかります。
「――レイルロオドにアレルギーって、あると思いますか?」
「あるとも!」
予想以上の真正面。
というか、はっきり断言です。
「ご存知なんですか? 具体例とか」
「ああ! ランはこう見えて顔が広いからね。
直接の知り合いだけでも、何例もいる」
ば! っと手が掲げられ、マントが鮮やかに翻ります。
「プライバシーに関わることだ。レディ・しろがねにでも詳細には語れないのだけれど。
例えばとある9600形レイルロオド。彼女は大変不幸なことに、
『粉塵アレルギー』を発症してしまった!]
「蒸機レイルロオドが粉塵アレルギーって……」
「うん。石炭とともにあるのが宿命。そこには常に粉塵がつきまとう。
乗務中は常にマスク、石炭を食するときには常に鼻栓で、彼女はなんとか対応していた」
「……それは……ものすごくつらそうですね」
「某機関区所属のDE10形レイルロオドもかわいそうだった。
彼女は日光アレルギーを発症してしまってね」
「!」
「日の光や強い光にさらされると涙が止まらなくなってしまう。
乗務に多大なる支障ありとのことで廃棄・解体の話もでたが――
貨物機なのが幸いした。夜間乗務専門に振り分けられるという特別対応で、
いまも現役で活躍している」
「あ」
深夜にしか走っていないDE10――
しろがねも噂を聞いたことはありましたけれど……
それが真実で、そんな事情が背景にあるだなんて、夢にも思っていませんでした。
「レイルロオドがアレルギーを発症する理由は大きく2つだそうだ。
ひとつはセンサ異常。もう一つは処理異常」
「あ」
それだけで、しろがねにもわかる気がします。
例えば、くしゃみ。
肺部にまで到達してしまうと危険が異物を、鼻腔や喉から排除するための保護反応。
「鼻腔内センサに異常があって、無害な炭塵でも危険物だと判断してしまえば」
「そう、くしゃみや咳がとまらなくなる。あるいはセンサが正常に動作していても、
その信号を処理する段階で『異常』と判断がくだされてしまっても、同じ症状が起きてしまう」
「それが……処理異常」
「そのとおり! センサ異常ならセンサ交換で済む話だけれど――」
「処理異常はブラックボックス内の話になるから、すくなくとも日ノ本のレイルロオド技士には対応できない」
「だね。そのため『慢性のアレルギー持ちのレイルロオド』が誕生してしまったりもする」
「!?」
いきなり、ランさんがしろがねの両手を包んでくれます。
「ランは、決してしろがねにそうなってほしくない」
「あ……」
突拍子もない質問の、その裏側まで――ランさん、汲み取ってくれます。
「どこかに異常が?」
「手。です」
「ああ」
「海水に触れてしまうと、最近かゆみがひどくって――」
「なら、単純にサビかもしれない」
「あ」
銀釜のレイルロオド――しろがねは骨格にステンレスが使用されているレイルロオドです。
(だから、油断して見落としてました。ステンレスは、錆びにくいだけで、決して錆びないわけじゃない)
「――ランの知り合いにレイルロオドでありながらレイルロオド検査・整備に長けたものがいる。
彼女を紹介させてほしい」
「はい、ぜひ」
錆落としと防錆加工で済むだけだったら、それがなにより一番いい。
(ランさんに、何度も何度も握ってもらってる両手だもの――)
しろがねが壊れるその瞬間まで。
人工皮膚も筋肉も、センサもなにも、交換なんてしたくないから。
;おしまい
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いかがでしょうか?
アレルギーネタですが思いもかけず甘い感じにまとまって、わたくしてきには良かったです!(自作自賛
そんなこんなでWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』
その過去話の、
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それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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