
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第44話「夢を乗せる列車」シーン2ネーム&3分で読めるレイルロオドのお話「シワスのオリヴィ」
12月です。
先月末は奥さんが入院したりあかちゃんが熱をだしたりが立て続き、原稿の遅延を取り返すことで精一杯となってしまい、note更新ほとんどできずまことに申し訳ございませんでした。
12月からは各種サポート体制を拡充させたことにより、なにかあっても比較的影響少なくもろもろ進めていけるようになったかと存じます。
ので、noteもなるたけ定期的に更新していきたいです。
昔はわたくし、キツくなった分は労働力を増大させて対応しよう――的パワープレイを行っていたのですが、
「自立とは依存先を増やすこと」
という言葉を知ってからは、そちらのアプローチに切り替えることといたしました。
このやり方で、仕事と家庭、よりよく充実させていければと存じます。
さてさて。
更新中断前のnoteの最終記事は、WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム、
今回は第44話「夢を乗せる列車」のシーン2の更新でございました。

サムネイルがオリヴィだとそれだけで気分ほっこりするので、まこと佳きことかと存じます。
こちらメンバーシップ特典記事とはなりますが、かわいいオリヴィ結構多い回なので、
もう一コマ、わたくしお気に入りのをこちらでも紹介したいと思います。

……たいへんかわゆうございますね。
と、いうことで、本日の短いお話はオリヴィで書いていきたく思います。
タイトルは「シワスとオリヴィ」。
こちらはどなたにも無償でお読みいただけるお話となりますので、もしよろしければご笑覧ください。
■オリヴィ■

肥颯みかん鉄道所属のⅨ号機関車に主として乗務している、ジェネリック・レイルロオド。
旧所属は実延鉄道。
現在は諸事情により、御一夜鉄道に長期出向中である。
//////////////////////////
『シワスのオリヴィ』
「シワス? what? オサカナの名前????」
ああ……いわれてみると食卓にあがる魚にいそうではあるな、シワス。
イワシ→ワラサ→シワス、と出世しそうな気もしてくる。
「魚ではない。12月――Decemberの異名だ、シワスは?」
「イミョー! かっこいい!! オリヴィ知ってる! ヤヨイサンガツみたいなやつ!」
弥生三月……オリヴィの口からまさかそんな言葉が飛び出してくるとは思わなかった。
「ほう、詳しいな。確かに師走は、12月の旧暦における月名。3月の弥生とまったく同じものにあたる」
「キューレキ?」
「太陽暦が採用される前に日ノ本で使われていた暦のことだ。月の満ち欠けを基準とし、新月をもって新しい月のはじまりとしていたそうだ」
「I see! It's lunisolar calendar!!」
「ふむ?」
早口すぎて聞き取れなかったが――おそらくは、冥国にも似たような暦法があるのであろう。
「そっかー、キューレキで12月はシワスなんだねー。で、シワスってどういう意味なの?」
「ほう」
面白い質問だ。
その質問が出てくるということは――
「弥生という旧月名に意味があることを、オリヴィは知っているのだな?」
「うん! 草とか木とかがぐんぐん伸びてくる! って意味でしょ?」
「素晴らしいな」
弥は弥栄の弥――つまりは、いっそう。
いっそう草木が生い茂るから、すなわち弥生と、僕も同じく理解している。
「ムナカタの娘ちゃんが3月生まれだから! そこだけはオリヴィ、くわしくなったんだよー」
「なるほどな」
微笑ましい気分になってしまう。
若い時分の宗方さんが、オリヴィ相手に、娘さんに関する話を聞かせていたろう、その光景を想像し。
「で? シワスってどういう意味なの?」
「うむ。しわす、は、師が走ると書く。ここでの師とは、お坊様のこと。
つまり、お坊様でさえバタバタと走り回るほどに忙しい月、というのが語源だと、一般的には言われているな」
「Sure! 鉄道ジギョーシャもめちゃくちゃ忙しくなるもんね、12月」
「だな。とはいえ、僕らは走り回ること自体が一年通じての仕事ではあるが」
「あはっ!」
オリヴィが笑う。
「じゃ、オリヴィたち、一年中がシワスなんだねー」
「かもしれんな」
明るい声に、古い記憶が引きずり出される。
大晦日。除夜の鐘を聞こうとがんばる僕と路子に――語り聞かせてくれたのは、確か、若き日の父だった。
「なにせ、師走の語源にはこうした説もある。
”四季の全てが果つる月”――それが転じてシハツ――さらにはしわすになったと」
「シハツ! wow! first train!!」
楽しげに、オリヴィがぴょん、と大きく飛び跳ねる。
「それじゃあやっぱり! シワス! 12月は鉄道の月なんだ!!!」
;おしまい
////
――いかがでしょうか?
ちなみに、四季の果つる月=しはつ、説。
わたくしが考えた語呂合わせではなく、志不可起(著:箕田憙貞)和爾雅、日本釈名(ともに貝原益軒著)などに記載されている説であるそうでございます。
お坊さんが最高に忙しいのはお盆とお彼岸なのでは? という気もいたしますので、わたくしも「しはつ」語源説に味方したいところでございます。
それはさておきWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで
それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
///
【メンバーシップ限定記事のご案内】
『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』
にご参加いただきますと、レイルロオドたちにかかわる詳細な内部設定資料や掲示板機能などをお楽しみいただくことができます。
掲示板では「3分で読めるレイルロオドのお話」の主役レイルロオドのリクエストなども可能です。
また『レイルロオド・マニアックス』の掲載時には、紹介されているレイルロオドの設定画や三面図などの資料で存在するものを公開していきたく思っております。
どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。
【製品版 WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』のご案内】
本noteでネーム連載をしております『レヱル・ロマネスク0』の完成品は、
WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』として順次リリースされております。
よろしければこちらもぜひご覧ください。