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3分で読めるレイルロオドのお話「オリヴィ先生のビーター教室」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第18話シーン1ネーム&字コンテ
9月ですね。
先月末で『レヱル・ロマネスク0』第17話「保線に詳しいレイルロオド!?」のネーム全てを掲載いたしましたので
今月は第18話「ジェネリック・レイルロオド」のシーン1からネームを掲載してまいります。
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引き続きましてオリヴィのターン! でございますね。
この世界線でのオリヴィは、かなり早期に御一夜鉄道のメンバーとの交流をもっております。
とはいえ御一夜鉄道のメンバーが「レイルロオドの稼働期間延長」に関する知見を有しているわけではなく。
その知見を有しております者はただただ、レイルロオド研究の第一人者であるレイルロオドのみ、でありますので――
オリヴィの運命がどう変化していくかは、御一夜鉄道メンバーが、かのレイルロオドにどのタイミングで出会うのか、によってかなり左右されそうです。
今回新規要素が増えてなかなかエピソードの組み合わせ方のパターンや、そこから派生していく新しい物語の種も無数に近くなってきそうでございますので――
決して焦らず丁寧に、ストーリーライン構築していきたく考えております。
ストーリーラインこそは全ての基礎。土台でございますので。
と、そんな感じで今回の短いお話は、オリヴィ回ということもあり、鉄道の基礎、土台である「線路」の更に土台。
「道床」つまりはバラスト――そのバラストを搗き固める道具である「ビーター」に注目して書いていければと思います。
タイトルは「オリヴィ先生のビーター教室」
どなたにも無料でお読みいただけるお話となりますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
■オリヴィ■
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現所属は肥颯みかん鉄道な、冥国製造のジェネリック・レイルロオド。
製造時からⅨ号とコンビを組み続けており、マスターを所有せぬマスター・レイルロオド的に扱われている。
保線要員として稼働させらてる機会も多いため、その知識・技術はレイルロオド離れした域にある。
■「オリヴィ先生のビーター教室」■
(あらすじ)
バラストを搗き固める道具。ビーター。
オリヴィのビーター捌きに感動した双鉄は教示を求め。
そこから話は意外な方向に展開します。
///
「OK! これで~~!」
視線が合う。呼吸を合わせる。
「Finish!」
(ガチンっ!!!!)
2つの音が一つに重なる。
最後の最後でようやっと、オリヴィの振り下ろすビーターに、ぴたりタイミングをあわせることができた。
「おつかれー、ソーテツ! 成長早いねー」
「オリヴィ先生のご指導のおかげだ」
こころの底からそう思う。
「ワンスコよりもよほど扱いが難しいからな、このビーターというものは」
形はツルハシに酷似している。
が、ツルハシなのは鉄製のヘッドの片方だけ。
もう片方は、扇状に潰れて開いた、ハンマーのような形状の――"バチ"になっている。
「尖った方のツルで、枕木の下のバラストを一度掘り起こし」
いまは使われていない待避線を練習台に、教わったことを、今一度実践し――
ようとすれば、すぐさまレールの外側で、オリヴィが動きを合わせてくれる。
「新しいバラストをまくらぎ下へ搗き入れるべく――」
右手は柄尻、左手は柄の中ほど。
小指から順番に力を込めてビーターの柄をしっかりにぎり、握れたのなら振り上げて――
「STOP! あげすぎ!! 右拳は第一ボタンの位置だよ」
「っと」
そうして、ビーターの柄とヘッドとのつなぎ目が、自分の直上に来る位置に構え――
「体重を前足にぐっとかけ――」
「せーの!」
「「よいしょっ!!!」」
息をあわせてバチを思い切り打ち込んで、打ち込んだ瞬間両手を強く握り込む。
そうして振り上げまた振り下ろし、位置を代え同じ動きを繰り返し――
「Excellent!!」
1つのまくらぎ、8箇所を搗き固め終えると同時に、オリヴィがぴょんと飛び跳ね称賛してくれる。
「とてもついこのあいだBeaterもったばっかりだなんて思えないよ!」
「んむ?」
急に流暢となった発音に――ああ!
「ビーターは、Beat。打ち込みをする道具であるから、Beaterなのか」
「そだよ! ソーテツ気づいてなかったんだ」
「うむ、まったく」
日ノ本の鉄道創業期に大きな影響を与えたという外国は、詠・躅・冥。
そのうちのニカ国が詠語圏なのだから、当然といえば当然すぎる語源なのだが――
「ツルハシ、は日ノ本語だよな?」
「だよー! 詠語だとPick! ツルハシは、鳥のツルのクチバシの形だからツルハシだって、オリヴィ、ムナカタに教わった!」
「ああ、鶴の嘴で鶴嘴なのか」
言われてみればすとんと腑に落ちる説明だ。
「ちなみに、詠語でもツルと同じ名前の工具あるんだけど、それがなんだか、ソーテツわかる?」
「ツルの名前の?」
詠語でツルは……なんだったか、記憶にあるような気もするのだが、ぱっと脳裏に浮かんでこない。
「……降参だ。答えは」
「Crane」
「ああ! クレーンか! なるほどな!」
クレーンのあのアームは確かに、ツルの首と似ているものなと、言われてみれば納得できる。
が――
「……あの巨大さに、鶴と名付けてしまうのか」
「ヒノモトだったらなんて名前になってたと思う?」
「わからんが……象の鼻、とか、ゴリラの腕、とかそんな感じであろうか」
「あー、formよりpowerのイメージを優先するんだー」
「というか……そうならんか?
クレーンなどは、あれの第一印象は、”鶴の形”ではなく”力強い”の方になりそうだが」
「ヒノモトだとそーなのかも。けど、冥国だともーっとpowerfulなものごろごろしてるから」
「ああ」
開拓の国――冥国。
大型重機のスケールなどは、日ノ本のそれとは確かに比較にならなさそうだ。
「……見てみたいものだな、冥国のパワーというものを」
「みたいの? いいよ、特別サービス!」
「んむ!? って、オリヴィ?!」
オリヴィが僕のベルトを小さな両手でしっかと掴み!
「よいしょーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
;おしまい
;おしまい
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いかがでしょうか?
書いててオリヴィとれいなは話が合いそうだなぁと感じましたので、
チャンスがあればその辺もぜひもりこんでいきたいWEBTOON作品
『レヱル・ロマネスク』0。
無償でご確認いただける0~7話ののネームはこちらとなります。
よろしければどうぞご笑覧ください。
(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)
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【メンバーシップ限定記事のご案内】
『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』
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『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。
どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。