2022/09 北海道録音取材記 Day1 : 馬車鉄道と台風襲来
こんばんわ。
レヱル・ロマネスクシリーズの原案、シリーズ構成を務めます、進行豹です。
先日は、『レヱル・ロマネスクnote』
開設へのたくさんのリアクションをまことにありがとうございました。
また、まだ1記事もあがっていないのに、メンバーシップ
『御一夜鉄道サポーターズクラブ』へのご参加を多数いただけましたことにも、深く感謝いたしております。
ご期待、ご応援にお応えできますよう、本日よりメンバーシップ限定記事もあげてまいりますので、どうぞお楽しみください。
さて。
本日からの数日間は、先日までわたくしが、
サウンドクリエイターの町田勇哉さん https://twitter.com/machida0614
にご同行いただき赴いておりました、北海道録音撮影取材の取材記を掲載してまいります。
録音取材の目的。
それは、『蓄音レヱル』シリーズのような
『現地収録の環境音と、バイノーラル録音で臨場感をもつ声優さんのボイスとで織りなされる、癒やしのASMR/バイノーラルボイスコンテンツ』で使用するための、高音質の環境音を収録することです。
その様子や、困難を感じた点、工夫した点などを取材記という形にまとめ。
そうして、取材記で触れた事柄をネタ元にした、『レイルロオドの短いお話』を、メンバーシップ限定記事として公開していきたいなぁ、と考えております。
それぞれの記事を独立でお楽しみいただけるものとすると同時に、両方をお読みいただくことにより「取材されたことは、こういうふうに物語化される」という点もお楽しみいただけるかもと感じています。その辺にご興味お有りの方には、ぜひチェックいただけますと幸いです。
それでは、まずは取材記から書き始めてまいりましょう。
わたくしは羽田、町田さんは関空から。
それぞれのフライトでたどり着いた『新千歳空港』が、今回の北海道取材のスタート地点となりました。
■ 2022/09/15 北海道取材記 Day1 新千歳→札幌→小樽→岩内 ■
空港で町田さんと合流するなり向かうはレンタカー屋さんです。
北海道で、公共交通機関だけで移動しようとすれば、膨大な乗り継ぎ待ち時間が発生してしまうため、複数箇所を回るのであれば、レンタカーが必須となるためです。
経費を少しでも削減するため、「おまかせプラン」的なものでのレンタルを申し込んでいたところ、
「トヨタ ヤリス」という車が配車されました。
多分、大当たりの類です。
気をよくした我々は、早速ハンドルを握って、第一目的地である札幌郊外――
『北海道開拓の村』 https://www.kaitaku.or.jp/
へと向かいます。
なんとなれば、開拓の村には馬車鉄道が走っているからです。
事前に取材許諾を申請しておりましたので、担当くださった方にご挨拶して、いざや入村。
歴史的建造物の数々を横目にしながら、馬車鉄道のダイヤを確認いたします。
すると、40分強の待ち時間が発生することとなったので、開拓の村の食道で、味噌ラーメンといももちとをいただき、早めの昼食といたしました。
そして再び馬車鉄道駅へ向かいますと、馬と御者さんとが準備をしているではないですか!
「この子は北海道和種ですか?」
わたくしが質問すると、御者さんが嬉しげに振り向いてくださいます。
「北海道和種とブルトンの混血さ」
――北海道和種とはいわゆる『どさんこ』。
かつて青森から海を渡って人間に連れてこられた在来種、「南部馬」が、北海道の気候に適応していったとされる馬たちです。
南部馬は残念ながら絶滅してしまいましたので、北海道和種がいまでは在来種として扱われるようになっています。
そして、ブルトンとは「重種」。ソリや荷車を引くために品種改良されていった、超大型馬の一種です。
北海道開拓のために輸入されてきたブルトン、ペルシュロン、ベルジャンなどの重種の馬たちが混血していってうまれたのが「ばん馬」となります。
開拓の役割を終えたばん馬たちは、今ではばんえい競馬
に活躍の舞台をうつしています。
つまり、開拓の村の馬車鉄道を惹く馬さんは、どさんことばん馬、北海道を代表する2つの馬の特徴を兼ね備えているこであるともいえましょう。
これはテンションがあがります。
しかし、取材の主目的は録音――馬車鉄道にまつわるさまざまな音を収録することです。
荒くなりそうな息を抑えて、浮き立つかかとを床につけ、
いざ、レコーダーをまわします。
……往路は馬車内、復路は馬車外からの録音を完了し、
次なる取材目的地、『小樽 青の洞窟観光船』を
目指そうとした矢先、携帯の着信音が鳴り響きます。
「もしもし?」
――聞こえてきたのは残念な知らせでした。
取材初日、9/5の午後にはもう、北海道に台風が接近しており。
https://tenki.jp/forecaster/hmochida/2022/09/05/19324.html
その影響で、観光船の運休が決まってしまったのです。
――こういう場合は、観光船協会みたいなところが一斉運休を決めるパターンがほとんどなような気がします。
もしもそうなら、一箇所がダメなら全部ダメとなっている筈です。
筈なのですが、藁にもすがる思い出片っ端から観光船業者さんに電話をかけますと、なんと!
……どの業者さんでも運休、ということを確定させることがかなってしまいました。
となれば、青の洞窟観光船は諦めるしかありません。
ぽつぽつ雨もふりはじめ、風の勢いも強くなり、録音的には「最悪」としかいいようがない環境になってまいります。
なんとなれば。
雨がマイクにあたる「ぼっ、ぼっ」という音を編集で除去することは極めてむつかしいらしく。
風がマイクにあたってぼわぼわ音をたててしまえば、目標となる音はかき消されてしまうからです。
ので。
代替の録音取材をするならば、『屋内』の他にありません。
ググってググってそのあげく、小樽、天狗山ロープウェイに乗って録音し、小樽の夕景(雨)をおっさんふたりで眺めてまたロープウェイで下山して。
「これはどうにもならん」
ということで、予定を早めて本日のお宿へと向かいます。
宿は岩内。
「いわない高原ホテル」
ここは写真撮影、SNS等での紹介大歓迎と館内に張り紙してあるお宿であり。
かつ、個室温泉露天風呂を貸し切りできるお宿でもあるのです!
そこで早速貸切温泉を堪能し、いざや、夕食にでかけます。
しかし……
台風の影響か、単に終業が早いのか、開いているお店がほとんど見受けられません。
唯一見つかったのは、ラーメン屋さん。
かくてわたくしと町田さんは、
昼:味噌ラーメン
夜:味噌ラーメン
と、北海道グルメを満喫しまくり! もって、取材初日を終えるのでした。
晴れてくれ。
そして風も止んでくれ。
そう祈りつつ、岩内の夜は更けていきます……
(続く)
【メンバーシップ限定記事のご案内】
『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ
『御一夜鉄道サポーターズクラブ』
にご参加いただきますと、
以下のあらすじのショートストーリーをお楽しみいただくことができます。
また、メンバーシップ限定の掲示板も本日より機能が開放され、
『こんなメンバーシップ特典がほしい!』
という投稿をお楽しみいただけるようになっております。
ぜひご参加ご検討ください!
///
『かにこと馬車鉄道』
https://note.com/railroma/n/nedb64705b639
(あらすじ)
馬車鉄道にはじめて乗車したかにこは、馬の賢さに感心します。
「レールを外れてもいけるのに、きっちりとレールの上を走ってる」
それを来たマスターは、「レイルロオドも同じでは?」と疑問を投げかけるのです。
(登場レイルロオド紹介)
#「かにこ」(北開道鉄道C11形蒸気機関車C11 202専用レイルロオド)
<出身> 陽立(ひたち)製作所 傘戸(かさど)
<所属路線> 北海道鉄道 箱館線 (札歩路駅~小樽駅間)
<能力・性格>
配備車両がカニ目(前照灯ふたつが並列に、カニの目のように配置されている)であったため、『かにこ』とつけたれた自分の名前が嫌いで嫌いでしかたなかった──それゆえの無口・無愛想が常態となってしまった不器用レイルロオド。
とはいえ職務面では極めて器用かつ勉強熱心で、整備・保線がどうしてもいきとどかず振動に苦しめられるのが常の北開道の客車たちを、非常に快適に・揺動少なく牽引しつづけ。
最終的には大廃線後、ズタボロになってしまった北開道の鉄路を支える唯一のドル箱観光路線、札歩路-小樽を結ぶSL観光列車『SLコロポックル号』の牽引機関車レイルロオドになった。
観光客からの人気も高いが、完全に身に染み付いた無口・無愛想が崩れることは、やはり殆ど無い。