WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第43話「台枠〇〇」シーン1ネーム&3分で読めるレイルロオドのお話「みくろの語るロイヤル・ロコモティブ」
このnoteの前段部分で鉄道ネタを書くことは稀なのですが、今回書かずにはいられないニュースに触れてしまいました。
蒸気機関車9号が所属する(現在オーバーホールのため搬出中。修理期間は約2年予定とのこと)でも有名な「博物館明治村」。
その明治村に展示されている 『明治天皇御料車』 の、内部公開が10/12-27日の期間、行われるそうなのです。
御料車の内部に入ることができる、というのは、わたくしの知る限りにおいては「めちゃくちゃレア」な機会かと思われますので、
ご近所の方はぜひぜひお運びになられることを強くおすすめ申し上げます。
んで撮ってきた写真をXとかにあげていただけましたら、わたくし拝見させていただけますので、めちゃくちゃありがたく存じます。
本当はわたくしも無理してでもいきたいのですが、今月はサミットがあるのでなかなか厳しい感じです。
無理なくいける方、本当に貴重な機会ですので、ぜひお尋ねください。
ということで、本題に入りましょう。
WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテ公開。
今回からは第43話「台枠◯◯」のものを順次で公開してまいります。
初回は当然、シーン1からでございますね。
ネームそのものはメンバーシップ特典記事となりますが、
それにさきだつアバンタイトル部はどなたにも無償でお読みいただけるものとなりますので、よろしければどうぞご笑覧ください。
ということで、本日は短いお話も「お召し列車」をテーマに書きたいと思います。
タイトルは「みくろの語るロイヤル・ロコモティブ」
どならにも無償でお読みいただけるお話となりますので、よろしければ、ぜひ。
■みくろ
旧帝鉄38696専用レイルロオド。
38696もみくろも、部品取りのためにぼろぼろになってしまったという過去を持つ。
ずーっと稼働され続けていたため、8620形姉妹の動向に、ハチロクよりも詳しい。
『みくろの語るロイヤル・ロコモティブ』
「ふわっ! すごっ! きれい! 圧倒的! お上品!!!」
ポーレットさん、やっぱり写真うまかとねー!
博物館明智村で公開されたっていう御料車の内部、ものすごーい丁寧にきれいに、ありとあらゆる角度から撮っとっと!
「御料車って……たしか日ノ本の帝が鉄道で移動をするときに乗る、専用客車のこととよね?」
「はい、そのとおりです、日々姫さん。その御料車を牽引する機関車が、御召列車牽引機。牽引機と御料車全体での編成が、御召列車、っていわれますね」
「あー、お召し列車! ハチロクがなんかゆーとるのきーたことがあるよーな……
みくろちゃんは、お召し列車の牽引したことあると?」
「いえいえいえ! みくろにはとても無理ですよぉ!
みくろの一番の晴れ舞台は、4重連のイベント列車のうちの一両になったときって感じですから」
「なんでみくろちゃんには――38696には、お召し列車の牽引、とても無理なん?」
「38696は入換専用機になるために右側運転台改造をうけるまでは、ずーーーーっと運用されっぱなしでしたから」
「うん」
「普通に使い込まれて、状態も平均的だったんですよ。でも、御召列車牽引機は、機材トラブルとかぜーーーったいに起こしちゃいけないから、最っ高ーーーに状態のいい機関車だけしか選ばれないんです」
「最高に状態がいい……ってことは、使い込まれてない機関車が選ばれると?」
「な、ことが多いです。みくろ達姉妹の中ですと、28661と、そのレイルロオド――フロイおねえさまが、御召牽引専用機――ファンのみなさんや他の姉妹からは『ロイヤル・ロコモティブ』ってよばれる、御召牽引しかしたことがない機関車でしたね」
「ロイヤルロコモティブ! すごそお!!!」
「実際、すごかったんですよ。みくろは新聞でしか見たことないんですけど、詠国皇太子、日ノ本の皇太子、日ノ本帝、詠国公爵、それから萬州国皇帝と、ものすごい方々を乗せた御料車を牽引してるうえ、先の日ノ本帝の大喪の礼のときの御召列車も、今の日ノ本帝の即位の礼のときの御召列車も牽引を任されてるんですから」
「……すごすぎ。ちょっと気が遠くなるほどすごかとね。それだけのお仕事を任され続けたゆーことは、
全部のお仕事を完璧にこなしていったっていうことでしょお?」
「はい、フロイお姉様は完璧でした。けど、やっぱりノーミスが絶対に求められる牽引を続けるっていうのは、ものすごい負担だったみたいで――
最初は黒髪……ハチロクおねえさまとも比肩できるような黒髪をしてらしたんですけど」
「うん」
「最後の御召牽引――萬州国皇帝閣下を乗せたお召し列車を牽引を終えたときには、髪、完全な銀髪になっちゃってたんです。
レイルロオドなのに――人工毛なのに、です」
「ひえっ!? え? 自分で染めたとかじゃなく?」
「そんなことできるわけないんですよ。だって、御召牽引機専用レイルロオドは、着る服から食べる石炭から飲む水まで、ぜーーーんぶ指定されてたっていうお話ですから」
「ひええっ!! じゃあそれ…え? 人工毛にも影響を及ぼしちゃうほどの心労が? その――フロイちゃん、を襲うたと?」
「……なんだと思います。噂によると、乗務開始前は真っ黒だった髪が、乗務を終えてキャブを下りたその瞬間に、さぁっと銀髪になっちゃったそうです」
「怖っ!? そんときなにがあったと!?」
「みくろにはわかりませんし、多分、世の中の他の誰にもわからないんじゃないかなって思います。
だって、そういうことを絶対他に話さないから――フロイお姉様は20年の長きにわたり、御召列車牽引機を任され続けてきたんですから」
「すごかとねぇ……」
そぎゃん時代の、そぎゃん列車。
ゆーことは、多分……
「写真とかも、のこってなかとよね? そのフロイちゃんと28661の」
「ロイヤル・ロコモティブだったときのは残ってないですね」
「え!? じゃあ、それ以降のがあると!?」
「はい。御召列車牽引専用機を退任したあとのフロイお姉様と28661は、最初は品河区、そのあとは横濱区で入換専用機としてはたらいて――
そのときに、ボート・トレインを牽引したんです」
「ボート・トレイン?」
「はい。当時の横濱港からは、冥国のシアツルまでの航路をわたる『氷河丸』っていう立派な船が出てたんです。
そのお船に客貨を運び込むための連絡列車が、ボート・トレイン。船車連絡列車です」
「へぇえ、あ! じゃ、そんボート・トレインのときの写真が?」
「はい。冥国の方が撮ってくださった写真みたいで、インターネットで見ることができるんです」
いいながら、みくろちゃんがポチポチスマホを弄りはじめる。
「あ、これですね」
「どれどれ――って、わ」
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b0/Boat_train_hauled_by_type_8620.jpg
――綺麗。御召列車専用牽引機とかいうものすごーく厳しいとしか思えないお仕事を20年もつとめあげて、
その後に迎えた晩年の姿だなんて、とても信じられないくらい。
「この一枚の写真だけでも伝わってくる。……こん機関車は、こんレイルロオドは――すごかとね」
「……入換専用機になったあとも、ボート・トレイン運用にまわされたそのあとも、廃車になったそのあとも。
廃棄解体の当日にだって、フロイお姉様は磨き上げ続けたそうです。御召牽引専用機だったときと同じ手順で、28661のこと」
「うん」
「だからみくろ、一度もお会いしたことないけど、同じ線区を走ったことさえないけれど――」
きゅっと、みくろちゃんが唇を結ぶ。
悔しそうにも、嬉しそうにも、どちらにも見える表情で。
「――ハチロクお姉様に対するのとおんなじくらい。フロイお姉様のことも尊敬してるんです」
;おしまい
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いかがでしょうか?
8620形全姉妹の中で、もっとも重い責任を担わい続けてきたであろう28661。
彼女が保存されていないことは、まこと残念極まることと、わたくしは感じます。
そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。
どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで
それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。
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