3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクの寿命」&WEBTOON作品 レヱル・ロマネスク0 第30話「体験! レストラン列車」シーン2ネーム&字コンテ
またも更新の間が空いてしまいました。
まこと申し訳ございません。
更新が空いていた間にわたくしはナニモノかの監修をひたすらがんばっておりまして。
そちらようやく大きな区切りがついたので、こちらに戻ってまいりました次第でございます。
監修がんばってたナニモノかにつきましては、きっとそう遠からず公式発表あるのでは?
と個人的には予想しておりますので、どうぞあれこれ想像しながらご期待の上お待ちいただけますと幸いです。
と。
復帰直後な上に夜も更けてまいりましたので、
前置きは上記程度にまとめ、ネームの更新内容を紹介したいと思います。
今回更新のネームは、前回更新の
第30話「体験! レストラン列車」のシーン1
に引き続きましての、シーン2です。
大役を担わされそうになった日々姫が、
けれど自信喪失して尻込みしてしまう……
という感じのシーンでございます。
尻込みをしてしまったとき、
背中をおしてくれる誰かやなにかが存在してくれるか否か……
そんなことで結構人生、大きく変わってしまうのかもしれませんね。
で、本日の短いお話は、
「レイルロオドの寿命」ということをテーマに書いてみたく思います。
登場するレイルロオドはハチロクです。
どのルートの、どの時間軸上のハチロクなのか――
もしよろしければ想像しながらお読みいただけましたらとても嬉しく存じます。
■ハチロク■
旧帝鉄8620形トップナンバー機 8620専用レイルロオド。
マスターである右田双鉄を誰より強く敬愛している。
ゆえ、自身という存在のありようについても考え続けている。
/////////
『ハチロクの寿命』
「双鉄さま?
あ! すみません。お仕事中でしたか」
「いや」
手を止めず、振り返りもせず、けれど声だけでハチロクを止める。
「ボールペンのリフィル――芯を交換していただけだ。
スカスカになってしまったのでな」
「芯の……交換」
「む?」
折よく交換を終えたゆえ、すぐにハチロクへと振り返る。
なにやら神妙な様子だが……
「わたくしたちレイルロオドも、
そのように簡単にパアツ交換できればよかったのですけれど」
「ああ、簡単にはいかんのだろうな」
「で、ございますね。手足などは、予備パアツがあるのなら、
比較的少ない抵抗で交換がきくものだとは伺っておりますが……」
不死鳥博士の顔が脳裏にすぐに浮かぶ――が、
あるいはこの辺、ロールアウト前研修とやらのときに学んだ知識なのかもしれん。
「しかし、タブレットや記憶に関する部分は、
交換が極めて難しいものだとも聞いております」
「……だろうな。そんな話を、僕も以前に聞いている」
他のレイルロオド――例えばみくろのタブレットを、
仮にハチロクのボディにいれても、
『みくろ』としてすんなりは行動できないものなのだそうだ。
「”身体が覚える”というようなことが、レイルロオドにもあるのだろうな」
「それは――恐らくございますね。
手足の交換が『比較的少ない抵抗』でできるというお話も――」
「ああ、その……いわば身体記憶の影響か」
「らしいと、わたくしは聞き及んでおります」
例えば投炭。
いかなハチロクとみくろであっても、身体にしみつかせた動作が完璧に重なるということはありえなかろう。
ゆえ、仮にタブレットを交換すれば、お互いぎくしゃくとしか動けなくなってしまう――
「……難しいことだな。
それが叶えば、延命にも繋がりそうかと考えたのだが」
「延命――」
つぶやいて、ハチロクは瞳を閉じて黙り込み――
「例えば、タブレットを喪失して起動不能になっている
わたくしの妹――8620形レイルロオドがいたとして」
「うむ」
「逆にわたくしがボディを大きく損壊し、タブレットだけの存在となったとして」
「いや――」
具体例をあげてもらって、ようやく僕も理解した。
「それは延命ではないな。
というか、ハチロクでもなくなってしまうように感じる」
リフィルを幾度交換しても、僕のボールペンは僕のボールペンだ。
ボディが仮に大きく壊れ、メーカー修理で新しいボディに変えられたとして……
送り返されてくるそれを、僕はやはり、”僕のボールペン”と認識するだろう。
けれど……他者のボディにハチロクのタブレットを押し込んだのなら、
それはどう考えてもハチロクではない。
「……難しいものだな、やはり」
「はい。けれど――
もしもわたくしの延命を、双鉄さまが望んでくださるのであれば」
「うむ?」
「どうぞ、元気で長生きなさってくださいね?」
「ああ――」
確かにだ。
例えいつか、ハチロクが機能停止をしてしまうとして。
僕の生が続くのならば、路子がそうであるように。記憶の中で――ハチロクの命は息づき続ける。
「ならばハチロク、僕の延命を願ってどうか、できるだけ元気で長生きしてほしい」
「あっ」
逆もまた真。
ハチロクの機能停止が、僕の死より先にくるとも限らない。
当然すぎる指摘をすれば、驚いた顔になったハチロクは――
「はい、双鉄さま」
やがてゆるゆる、その表情を緩めて僕にもたれかかってくる。
「ふたり、一緒に。願わくばこの先のもう百年も」
;おしまい
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いかがでしょうか?
もっとむつかしいお話を書けるかと思ったのですが、
いまのわたくしの実力では無理だったので、このような内容となりました。
ので、このテーマで、双鉄とハチロクで。
いつか、もう一度執筆チャレンジしてみたいなと思います。
そんなこんななハチロクと双鉄の、また別の”今”の物語となるWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の過去話。
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