英国紅茶 出口保夫氏の著書から
ターロウが敬愛してやまない英文学者の出口保夫氏
この方が最初に英国を訪れたのは今から54年も前の、1964年というから驚きです。
この方は多数の英国に関する本を書いておられますが、そのどれもが洗練されていて、楽しめるのは、
50年前の英国に流れる空気をそのまま切り取って書いているからだと思います。
ターロウは現代の英国に行くことはできても、今から50年前の英国に行くことはできない。
その時代に確かにあった英国のロイヤリティ溢れる生活
その空気にあこがれに似た感情を持つことができたのも、
著者である出口保夫氏の軽やかな文章によるところがおおきいと思いました。
ここにつつしんで、出口保夫氏の文章を引用させていただきます。
素適な本が多数ありますの。
今回は「出口 保夫. 英国紅茶の話 (PHP文庫)」から少しだけ同氏の文章をご紹介いたします。
イギリス では、 紅茶 とともに 朝 が 明け、 紅茶 とともに 一日 が 終る。
イギリス 人 ほど 紅茶 を 飲む 国民 は すくない。
早朝 の 寝覚め に 飲む 紅茶 を、 アーリー・モーニング・ティ と いう。
おそらく、 一日 の うち で、 もっとも 貴族的 な 気分 に ひ たれる のは、
早朝 の ベッド の 中 で、 お盆 に のせ られ た ティ・セット から、
おもむろに カップ に ポット の お茶 を つぎ ながら、
まだ 顔 も 洗わ ない まま、まま、
『 タイムズ』 とか『 デイリー・テレグラフ」 の よう な 新聞 を 片手 に ひろげ、 熱い 紅茶 を 喫する とき で あろう。
朝食 の ティ は、 食事 の はじまる 最初 に 出さ れる のが ふつう で ある。
午前 の お茶 の 時間 は、 ふつう 十 時半 から 十一 時 頃 で ある。
これ を イレヴンズィズ( 十一 時 の こと) と いう。
ロンドン では あの 街頭 の 新聞 売り の おやじ さん まで、
お盆 に ティ・セット を のせ て、
それ も ひと まわり 大きなカップ で、
この 時間 に なる と 決まって 紅茶 を がぶがぶがぶがぶ 飲んで いる。
実際 がぶがぶ という 感じ で。
すべて の イギリス の 労働者 は、 この 午前 と 午後 の お茶 を 愉し む 権利 を もっ て いる。
だから、 あの 個人主義 的 な イギリス 社会 で、 これ だけは まったく 例外 なく、 全体主義 的 に、 紅茶 の 時間 が 守ら れ て いる と いっ て よい。
三度 の 食事 には、 むろん お茶 は 欠か せ ない。
朝食 には まず 紅茶 から 先 に 出さ れる が、
昼食 や 夕食 では、 お茶 は もちろん、 食後 の デザート と いっしょ で ある。
イギリス 人 は ふつう、 多い 人 なら ば 一日 七、 八 回 お茶 を 飲む。
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