シャーマン・水樹奈々の復活――NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020→2022
こんにちは。かみなりひめです。
※ 注意 ※
以下、この記事にはLIVE RUNNERの
ネタバレが多分に含まれます。
「1/21の配信まではネタバレを避けたい!」
「行けなかった人の気持ちも考えろよ!」
という方は、どうぞ閲覧をお控えください。
さて、タイトルどおりですが、
NANA MIZUKI LIVE RUNNER
2020→2022
お疲れ様でした!
実に841日振りの有観客ライブ。
一度中止になったLIVE RUNNERが
不死鳥のごとく蘇って現前したわけです。
セットリストも、本人いわく
「でも、やっぱりはじけていかないと
水樹奈々のライブじゃないでしょ!」
とあるように激アツなラインナップ。
アルバム「CANNONBALL RUNNING」を
引っさげつつも、「ETERNAL BLAZE」や
「Synchrogazer」など往年の上松曲あたりも
盛り盛りに詰め込まれた激しい時間でした。
が、こんな激アツ曲のオンパレードにあって、
私の心を惹きつけたのはまったく別の曲でした。
それこそ、
「深愛」
「SCARLET KNIGHT」
であったのです。
これら2曲が披露されたとき、
私は目の当たりにしたのです。
シャーマン・水樹奈々の復活を――。
1. 招魂する水樹奈々
水樹奈々さんが「深愛」を歌うとき、
そこに立ち現れるのは単なる歌手・水樹奈々という
だけではなく、魂を呼び寄せるシャーマンとしての
水樹奈々さんなのでした。
その点については、
以上の記事でも述べたとおりです。
ここでのポイントは以下の三つです。
■「深愛」には亡父への思いがこめられている点
■ 紅白歌合戦の際に袖を揺らめかせての歌唱
(=古代における招魂行為(袖振り)に類似する)
■ チェリーボーイズ・坂本竜太さんの発言
(「お奈々さんは、現代のシャーマンですね」)
つまり、水樹奈々さんが「深愛」を歌うとき、
彼女はシャーマンとして亡父の魂を呼んでいる
と言うことができます。
ここまでを踏まえると、
今回のLIVE RUNNERではどうでしょうか?
「深愛」はダブルアンコール曲として披露され、
水樹奈々史上において思い入れの深い曲の一つ
としてMCで触れられていました。
その際には、紅白歌合戦出場の思い出についても
ほのめかすシーンがあったかと思います
このことは重要な意味を持っているでしょう。
亡父の魂と交歓したシーンに言及することで、
本人を含めさいたまスーパーアリーナに集った皆に
このときの記憶を呼び覚まさせたわけです。
そのようにして歌い出された「深愛」によって、
あの場を共有していた全員の前に、そして何よりも
水樹奈々さん本人の前に、やはり亡父の魂は現れた
のではないでしょうか。
2. Eritalとお奈々さん、SSAとスカナイ
「深愛」がもはやアニメ「WHITE ALBUM」の
OP曲として語られることは少なくなりました。
ここで挙げる「SCARLET KNIGHT」も同じく、
アニメ「DOG DAYS」の主題歌という言葉では
語り尽くせない文脈を持ち得てしまいました。
その鍵こそ、亡き菅井えりさんです。
チェリーボーイズ・ギター担当の渡辺格さんの
奥様にして、2015年のLIVE THEATERにおいて
「SCARLET KNIGHT」のアレンジリーダーを
務められたヴォーカリストです。
えりさん亡き後、格さんがチェリーボーイズに
復帰なさったのが2017年のLIVE ZIPANGU。
その復帰を祝して、その日だけはセットリストに
「SCARLET KNIGHT」が組み込まれたのです。
詳細は上の過去記事に譲りますが、
「SCARLET KNIGHT」が組み込まれたことが
感動を呼んだ理由は、以下の点に尽きます。
■えりさんが水樹奈々さんのライブで最後に
歌ったのがさいたまスーパーアリーナでの
LIVE THEATERであった
■このとき歌った「SCARLET KNIGHT」は、
えりさんがアレンジリーダーを務めていた
■格さんが復帰を果たしたのは、LIVE ZIPANGUの
さいたまスーパーアリーナ公演初日だった
亡きえりさんにとって縁深い場所で、
えりさんの思い出の曲をあえて組み込む。
それが、あまりに深い感動を呼んだのでした。
このLIVE ZIPANGUで「SCARLET KNIGHT」が
歌われるとき、水樹奈々さんはこう叫んだのです。
「みんな、私と一緒に歌ってください!」
これは、会場のファンたちだけでなく、
亡きえりさんに向けての言葉でもあると考えます。
さらに、水樹奈々さんのシャーマン性を
踏まえてこの事象を捉え直せば、
えりさんの魂を呼んだと見えてしまうのは
まったく不思議なことではないでしょう。
今回、LIVE RUNNERにおいても同じでしょう。
さいたまスーパーアリーナという同じ会場、
チーム水樹にとっての復帰戦となるライブ。
ここでも、水樹奈々さんはシャーマンとして、
思い出の地・思い出の曲を組み込むことで
えりさんの魂を現前させたのでありました。
3. 光による招魂儀式
ここまで、「深愛」「SCARLET KNIGHT」と
これらにまつわる水樹奈々さんのシャーマン性に
ついて述べてきました。
この2曲が同じライブのセットリストに
入っている事実がそもそも興味深いのですが、
これらを対置させるとあることに気づきます。
「深愛」を歌うとき、手元のペンライトは
青よりもむしろ白が多い印象があります。
一方で「SCARLET KNIGHT」は当然赤色です。
ここには紅―白という鮮やかな色彩の対比を
見て取ることができます。
水樹奈々さんがそれぞれ亡父―菅井えりさんの
魂を現前させんと歌唱しているまさにその時、
我々ファンはペンライトを振っています。
一糸乱れぬその様は、オーケストラライブにて
指揮者の藤野浩一さんに「北朝鮮」の比喩でもって
評されるほどの圧巻具合です。
これが、水樹奈々さんの招魂中の行為であることを
踏まえると、こうは考えられないでしょうか。
我々ファンが色を合わせて
ペンライトを振る行為は、
招魂の儀式の一部である
ファンがそれぞれの思いを込めて振るその光は、
亡き人の魂を降臨させる灯火だったのでした。
4. おわりに
「深愛」「SCARLET KNIGHT」という異なる曲を、
「招魂」の語で結びつけることによって、この
LIVE RUNNERを意味づけてみました。
2022年の夏ツアーの開催も発表され、ますます
水樹奈々さんは駆け抜けていくことでしょう。
今後も、彼女に魂を持っていかれたひとりとして
ひたすら走り続けていくのだ!という精魂を
新たにできたライブでした。