円熟。そしてその先へ――藤陵雅裕カルテット@吉祥寺サムタイム
こんにちは。かみなりひめです。
今日はお休みをいただき、サックス奏者の
藤陵雅裕さん率いるカルテットの演奏を聴きに
吉祥寺サムタイムまで足を運びました。
水樹奈々バンドでは「ファイヤー」のあだ名で
知られている藤陵さん。
そんな藤陵さんをリーダーとするこのカルテット。
ピアノの福田重男さん、ベースの高瀬裕さん、
ドラムの安藤正則さんをメンバーとしております。
このカルテットの特徴は、
①メンバーのオリジナルナンバーを演奏する
②洋楽・邦楽問わず、誰もが知る名曲たちを
ジャズチューンにアレンジして演奏する
という2点をコンセプトにしている点です。
ジャズの世界で活躍するメンバーだからこそ、
スタンダードナンバーではなく、ジャズアレンジで
勝負するというのが信条とのこと。
さて、
そんな藤陵カルテットを語る上でのキーワードに、やっと今日、たどり着くことができました。
それこそ、
「円熟(えんじゅく)」
1. それはさながらワインのように
さて、藤陵カルテットでは計2枚のアルバムを
世に送り出しています。
このうち、2枚目のアルバム「TREASURE」に
関するトークになったとき、そのタイトルの由来を
藤陵さんは以下のように語っていました。
この「TREASURE」というアルバムが
完成するまでの数年間と、完成してからの数年間を
見てきたワタクシとしては、とても納得でした。
音源化されていない時代から聴いてきた曲たちが、
アルバム収録でひとつの「型」を持ちながらも、
ライブを経るごとに新たな一面が見えていく。
そんな姿を、たくさん耳で感じてきたのです。
一例を挙げると、
雪どけの山から流れる水滴をイメージした楽曲
「Water Drops」は、春の訪れを感じられるように
「SPRING WAKING」と改題されました。
そしてそれは、なにも「TREASURE」収録の
楽曲だけではありませんでした。
1stアルバム「Mindscape」に収録されている
「DEAR MY FRIEND」もその一つ。
ライブでは9曲目という肝心要の位置にあり、
その時々に応じて、様々な “FRIEND” たちに
捧げられてきた楽曲です。
ライブハウスに来ていたお客さんはもちろん、
それは時に辛島文雄さんであったり、
村上ポンタ秀一さんであったり、
藤陵さんの同級生で写真家の水谷充さんだったり。
そのたび、CD音源とは違った音色や深みを帯び、
より素敵なサウンドへと熟していくのです。
今日のMCを聞いて、あらためて
藤陵カルテットのそんな在り方を知ることに
つながったのでした。
一枚一枚のアルバムは、さながらワイン樽。
中には楽曲という名のワインが詰まっていますが、
今もまだ絶賛熟成中なのです。
その熟成中のワインを味わい、さらに
さらなる熟成を目の当たりにできてしまうのが、
毎回のライブということになります。
2. さらなる「円熟」へ
さて、そんな藤陵カルテットのライブですが、
ここ数回でちょっとした変化に気づきました。
藤陵カルテットのライブは、
前述したコンセプトに即して、
①メンバーのオリジナルナンバー
②ジャズアレンジされた名曲たち
がセットリストにいつもいるわけです。
およそ、②の分類になる曲たちというのは、
先ほどの2枚のアルバムに収録された楽曲たちが
これに該当します。
ところが、前回のライブからは、
②の分類でありつつもアルバム収録されていない
楽曲がセットリストに入るようになりました。
前回はJoe Hendersonの「Recorda Me」でした。
そして今回は、Ron Carter「Third Plane」。
これはつまり、
3rdアルバムという新たなワイン樽の
準備に取り掛かっているということなのでは
ないでしょうか。
奇しくも、Ron Carterの楽曲名は「Third Plane」。
藤陵カルテットとして3枚目=Thirdということにも
合致してしまっています。
これから、藤陵カルテットがどのような
「円熟」を見せてくれるのか。
そんな期待がさらに膨らむライブでした。
3. おわりに
要するに、
藤陵カルテットはいいぞ!!!!
ということです。おわり。