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今サンプラー/グルボ買うなら?

結論、Digitaktを買いました。

・・・長かった。
ご存じない方向けに軽く紹介しますとElektronというスウェーデンの音楽機材のメーカーが出してるサンプラーのひとつ、それが「Digitakt」です。
Digitaktがどういった機材かというと、一言で言えばサンプラー。なんですがただのサンプラーと呼ぶよりはいわゆるグルーブボックス的なもののひとつって考えたほうが合ってる気もします。
で、さっそくDigitaktの紹介をしたいんですけど、今回色んな他候補も含めて検討したりしてたので、せっかくだから今の(2024年11月時点)でサンプラー機能のあるグルボ的な機材買うならどれかなって話を先にしてみようかなと思います。

今ってハードウェアのサンプラーって他にも色々候補があるんですね。まあサンプラーというかグルボ的な機材はどのメーカーも出していて、人気があるジャンルのひとつなんでしょうかね。
ちなみに全体的な実売価格帯としては5~10万円くらいの範囲でしょうか。ではどうぞ。

サンプラーの候補達

AKAI MPC One+

MPCシリーズは色んなのがあるんだけど今買うとしたらMPC One+が候補に上がりました。最大の特徴はやっぱりパッドですかね。日本でもSTUTSさんとか有名だけど「演奏する楽器」としての側面が強いイメージです。といってもOne+だと大きな液晶もついてて普通に打ち込み用としても多機能なのでオールインワン的な感じはあります。
あとそういえば似た感じのでNIのMaschineてのもあるんだけどそっちについてはなぜか完全に頭から抜け落ちてました。あっちはあっちで自分には風呂敷が広すぎる感がありますが。


Roland SP-404MKII

縦長の特徴的なサイズ感。シンプルなポン出し用の製品かなくらいに思っていたんだけど、実は機能が豊富でこれ一台でもかなり色んな事ができると知って興味が湧きました。
MPCもそうなんだけど文脈的にHIPHOP系などで使われるケースが多いようで、基本的にはフレーズサンプリングからのチョップでローファイにして揺らす、みたいなスタイルが似合いそうではあります。
パッド類とか本体のサイズ感はとても好き。ちょっと無骨さがあるとこがいいです。
こういう使いこなしに工夫も凝らしてこの機材ならではの使い道を出して行くみたいなの、好きです。


Roland P-6

今回の候補の中では最安値かな?これだけ3万円くらいで買えます。
RolandのAIRACompactシリーズのひとつなんでガジェット系ではあるんだけど、けっこう面白い機能になっていてグラニュラー積んでるんですよね。色々遊べそうだなと思って気になりました。
まあやっぱ小さすぎたりで凝ったことしようとしたときに色んな階層に潜って操作しなきゃいけないかな?というとこが懸念ではあります。これでパターンを作成するというよりはネタ作りに良いかも、くらいで使うと良さそう。


YAMAHA SEQTRAK

これは今年(2024年)出た製品でしたっけ?割と最近だった気がします。デザインがとってもオシャレ。つまみやスイッチの数のバランスも絶妙に感じる。横長のこのサイズ感は気軽に持ち運びできて楽しそうです。
実はドラムキット、サンプラー、シンセエンジン、ミキサーエフェクトと実はオールインワン的に楽曲制作に必要な機能が詰まっていたりして、けっこうポテンシャルありそうだし良いとこ突いてるなーと感じました。
出音がどうかな細そうかな?というのが気になったのと、液晶がついてないんですよね。自分はこの手のハードって小さくてもいいから表示内容が可変できる液晶は、あるとないとでだいぶ違うんじゃないかと思ってるので、そこが気になります。(細かいことはiPadとか繋いでやりましょうってコンセプトみたい)
ただそのへんの懸念以外だとかなり気になってる機材のひとつではあります。このサイズ感だとバッグにぽんと入れて出先でちょろちょろ遊ぶのにもよさそう。
そういえばどことなくTeenageEngineeringのOP-Zに似ていますね。見た目だけじゃなく映像と組み合わせるコンセプトとかも似ている。


Ableton Move

こちらはできたてホヤホヤのハード。
AbletonLiveユーザーとしてもとっても気になる製品です。スケッチ的にサクサク作って、そのまんま中身ごとLiveに持っていけますよというコンセプトっぽい。
サンプラー、シンセエンジンも内蔵してるのでできることはそれなりだけど、なんせトラック数が4トラックなのでレイヤーを重ねて曲構成を作り込むとかは向いてなさそうです。
パッドは使いやすそうなんでリアルタイムに演奏で打ち込む→細かいエディットはLiveでという流れで使うのが快適そうかなと思いました。まあ公式に「直感的な音楽制作のための」って言ってるしね。
あとはひょっとしたら普通にLive用のコントローラーとしてもよいかも。Pushは大きいんだよねえ。
パッドの大きさと数、16ステップのボタンが下にちゃんとある、この辺のデザインのバランスもいいなって思います。小さいながらも液晶をちゃんとつけてるとこも分かってる。


Polyend Tracker+

これはすごいですよ。PCベースのTrackerと呼ばれるシーケンサーのジャンルがあるんですけど、それをそのまんまハードに乗っけたような機材です。他の製品はサンプラー/グルボ的なまとまり方をしてるのが多いんだけど、こちらはあくまでサンプルベースですがDAWで一曲完成まで持ってくみたいなオールインワン感があります。Trackerってすごく独特な作りのシーケンサーなんだけど、実はElektronのシーケンサーと少し似た傾向はあってすごく好きな考え方ではあるんですよね。まあ候補の中では異色ではあるんでこれはこれで別物かなーという感じではあります。


その他

候補に挙がらなかったけど少し検討はしたものたち。TEのEP-133はサンプラーとしてはシンプルだけどデザインが素敵。NovationのCircuitRhythmはコスパが良く、どことなくおもちゃっぽさもあるけど実は機能的にもかなりしっかりしてる印象。ElektribeSamplerは、、悪くないんだけどデザインがちょっと残念かな・・あとパッド自分はあんま要らない派なのとサンプラーは出音がちょっと細いイメージがあります。


Digitaktにした理由

さて、そんな感じで上に挙げたものの中から自分なりにあれこれ調べながら、今回Digitaktと並んで最後まで悩んだのはAbletonMoveです。まーこれは自分は普段からAbletonLiveを使ってるのが大きいです。Liveと連携しないならSeqtrakとかPolytacker+のほうが欲しいかな?

どの機材も独自性はあるんであとは好みになってくるんだけど、自分的に一番重視したのはハードとして打ち込みがどれくらいしやすそうかって部分です。
サンプラーベースですが、サンプリング部分についてはどれも一通りの事はできそうなのと、自分の使い方ではある程度シンプルになりそうなのでそこまで重視してません。
実はDigitaktはこれらの候補と比べてもスペック的には劣る部分が多いです。
知らない人はびっくりするかもしれませんがDigitaktはモノラルサンプルしか扱えません。トラック数も8トラックです(MIDIトラックは別で8Trありますが)その割にまあまあ高いです。
待って引かないで。それでもDigitaktが良かったのか自分なりの理由がございます。
その辺りここからつらつらと書かせていただきます。
ところでここまで肝心のDigitaktの画像が全然ないので一応ルックスをお披露目しておきますね。

ボタン類は全て新品に交換済なのです。
  • 練り込まれたシーケンス機能
    Digitakt、打ち込み部分の機能性がとても考えられていて、ものすごく使いやすくできていると思います。思いますっていっても動画とか見まくってただけなんで実感ではなかったんだけど、いざ自分で使ってみてもその印象は変わってません。本当によくできてる。
    「これをするにはこうするってことは、こっちでもこうしたらアレができるんでは?」って思ってやってみると、大体その通りにできるんですよね。

  • ハードとしての堅牢性、ハッキリとしたコンセプトの設計
    製品寿命が長そうだったり、ソフトウェアも長きに渡ってアップデートしてたり、しっかり作られてるんだなという印象があります(ボタンについてはちょっと課題あるんですがそれはまた別の機会に・・)
    あと入出力やメモリ容量、ソフトウェア部分の仕様に、「必要なものはしっかりと、そうでない部分は思い切って入れない」という明確な意思を感じます。これは説明は難しいんだけど全てにおいて「操作性を落とさない」ということが前提として考えられているのかなと想像してます。

  • 出音が好き
    個人の印象だけどちょっとウェットで暗めな印象はあります。ただ太さは感じられて割とElektronの音って感じで特徴的でもあるかなと感じてます。(実際使ってみると、フィルターやエフェクトの音作り部分に依るとこが大きそうにも感じました)

  • パラメーターロック
    最近はこの機能に近いのを搭載したのもちらほら増えてると思うけど、Elektron製品のこの機能はめちゃくちゃ高機能です。どういう機能か簡単に言うとシーケンスの各ステップ毎に色んなパラメーターを変えられるという機能です。
    ちゃんと書くと長くなるのでまた別のとこで書こうと思ってますが僕にとってこれはまさに神機能でした。

  • ボタン類と液晶内の情報整理が賢い
    この手の機材ってメニューの中でどんどん階層を深く潜っていかないとたどり着けないパラメーターとかあったりして、めんどくさくなることが多いんだけど、Elektronはやりたいことを最小ステップで行えるようにけっこう徹底されてるなと感じます。先に書いた「操作性を落とさない」と同じような話ですが、おそらく打ち込み作業を演奏を止めずにできるように、というのが設計思想のひとつにあるのかなと感じます。

  • デザインが好き
    冒頭にも書いたけどElektron製品のデザインがめちゃくちゃ好きってのも大きいです。
    やっぱハードなんで、見た目の良さも自分は大事です。楽器のひとつとして考えたら愛着が湧くかどうかって自分には重要なのです。
    Digitaktの見た目はもうほんと自分には完璧で、メカっぽさとか真四角感とか、「男の子ってこういうのが好きなんでしょ?」が詰め込まれてると思いませんか?これってグッドデザイン賞とか取ってないんですかね?こんなカッコいいデザインそうそうないと思うんだけど。

というわけでDigitaktユーザーになりました。

いきなり長文で書き散らしてしまいましたが、少しでも熱量を感じてもらえたら嬉しいです。
要約してしまえば「ハードとソフトのバランス、操作性、シーケンサーに惚れ込んだ」という感じでしょうか。僕は機能面だけでいえばPCベースでやればいいって思ってしまうので、ハードならではの良さが欲しいんですよね。それはやっぱ操作性とかのパフォーマンス部分、使ってて楽しいかってとこになってきます。

ところで、Elektronを知ってる方なら冒頭から「え、なんでDigitakt2じゃないの?」という疑問を抱いていることでしょう。
そう、これを書いてる今(2024年11月現在)、Digitaktの後継機種であるDigitakt2が出たばかりでもあるんですね。スペック的にもかなりの大幅なパワーアップがされていて、「いやいやどうせ買うならDigitakt2でしょ」ってのが当然の意見。
これについてですが、、

「そりゃDigitakt2のほうが欲しいよ!」

と思ってますはい。
まあ実を言うとギリギリまで悩みはしました。というか、Digitakt自体はいつか買おうとずっと思ってたので、2が出るのを待っていた節もあります。なので発表された時は「ついに出た!待ってた!!」と速攻で買うつもりでした。
そこで目にしたのが約18万円という価格です。

もう少し説明させてほしい。そもそもDigitaktって、Elektron製品の中では中クラスのものなんです。
Digitaktが最初出てきた時も、6~7万くらいで買えたんじゃなかったかな?
それがこの円安のご時世も重なってなんと18万円ですよ奥さん
でもね、仕方ない。こればっかりはelektronに文句言ってもしゃーない。
そっからもだいぶ悩みましたよ。でも悩んだ末、逆に吹っ切れたとこがあるんですね。
よしそうくるならDigitakt2はいったん諦める、そしてDigitaktの中古を狙うんだ!きっと手放す人が一気に増えるに違いない。そういう考え方にシフトしたわけです。そうこれは戦術的撤退なのです。

実際探してみると程度の良さそうな中古を今回7万円ほどで購入できました。
「買わない理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ」なんて言葉もありますし、自分もどっちかっていうとそういうタイプです。でもDigitaktに関してはまったく後悔はありませんでした。
なんせそもそも何年も前からずっと欲しかったものなので、それが遂に目の前にある喜びもひとしおなんです。
使い込んでくうちに無印でも全然いいなとなる可能性すら感じています。その辺の話も今後書いていけたらなと思ってます。
(と言いつつDigitakt2の動画は見なかった振りしてますが)

果たしてこんなニッチな機材の話に需要があるのかさっぱり分からないですが、Elektron製品については日本語の情報少ないなーと個人的にずっと思っているのであれこれ発信していけたらと思います。
そして結局さんざん比較したのに肝心のDigitaktってどんなもんじゃいがまったく書けなかったので、次回はDigitaktメインで書きたいと思ってます。

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