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Digitaktのキーキャップ問題(その2)

*こちらはDigitaktのキーキャップ問題(その1)からの続きです。
正直需要はかなり少ない情報だろうと思いつつ、notionに個人的にまとめていたメモ、ひょっとしたらElektron製品を買った誰かの役に立つこともあるかも・・という思いで書いてますがけっこう長くなってしまった。


キーキャップの加水分解をなんとかしたい

さて、キーキャップの交換によって新品サラサラ手触りになりました。でもですね、その新品のキーキャップも時間が経てばやっぱりベタつきは出てくると思うんで少しスッキリしない。
交換によって余分なキーキャップが一式あるわけだし、もうちょっと自分でお手入れできないかと思い色々試してみることに。

情報収集

最初はこちらの記事を参考にさせてもらいました。

かなり徹底的に検証されているのですごく参考になったんですが、Digitaktのやっかいな塗装面に対してはどうなんだろうということでもう少し自分でも調べました。

調べたのは主にElektronのユーザーフォーラムとRedditのElektronスレとかです。不定期にキーキャップの加水分解ネタは話題に上がっているんだけど、まあけっこう色んな意見が出てました。けっこう面白い話が出てるので興味があれば検索してみるといいかもしれません。

Elektronautsのスレ

自分が見つけた中でざっくりピックすると

  • こんなもんアセトンでざっと拭き取っちゃえばいいんだよあっという間に取れるぜ

  • アセトンやアルコールなんて絶対使っちゃだめ、私が勧めるのは重曹である。重曹は正義

  • エアーフローセンサークリーナーってのがあってな、これがいいんだ。

  • 古いTシャツとかを使ってひたすらこするんだ。摩擦熱も手伝ってコーティング部分だけが安全に取れるぜ

  • GooGoneを使うんだ(*アメリカの接着剤リムーバーらしいAmazonで国内でも購入は可能)少し放置してプラスティックのカードやスクレーバーなどでこぞって取る。その後中性洗剤で洗えばOK。

  • もう上から透明のアクリルでコーティングしたぜ。快適だ。

  • 塗装含めて全部剥がしちゃったよ。印字は見えないが覚えてるから問題ない

色んな意見が飛び交ってるんですが、やはりやりすぎると黒い塗装膜まで剥がれてしまうのがやっかいだと思われます。
とりあえず最悪失敗してもいいやの気持ちでこれら情報を元にして自分なりにトライしてみることにしました。

アセトン(除光液)の場合

適当な使い古しの布に市販の除光液(主成分アセトン)をしみこませてゴシゴシしてみました。すぐに布地に黒い色がついたので強力なのは間違いないです。しかい黒い色がついてるってことは取りたくない部分まで剥がしてる予感。慎重に薄めにつけて確認しながらやったんですが、結果はこれダメでした。

アセトン+布でごしごしの結果

思い切り黒い塗装部分も剥げてます。けっこう悲惨なのでもう少し細部を見てみましょう。

アセトンで拭いた結果のアップ

ひび割れみたいになってるのが分かるでしょうか?なんかかわいそうな10キーになってしまいました。

斜めの面取り部分にラバー部分の厚みが分かる

これ、斜めの面取り部分にラバーの層の厚みが残ってるの分かるでしょうか?ここが実はそれなりに厚みがあり、かつその下の黒の塗装膜はかなり薄いんだと予想されます。すまない10キー・・・

思うに、アセトンが塗装面まで染み込むスピードが思ったより早かったです。なのでやるとしたらサッと拭いては乾拭きしての繰り返しが良さそうだけど、めっちゃ難度高いです。これはもうかなりオススメできない。

重曹+激落ちくん

次はもう少し慎重にいくことに。
重曹は粉状のではなく、アルカリ電解水に溶かしたスプレータイプのが売ってたのでそれで。
激落ちくん(メラミンスポンジ)に含ませてゴシゴシするのがいいんじゃないかと思ってやってみました。
とりあえず激落ちくんに重曹スプレーを含ませてゴシゴシしてみますが、特に変化ないように見えます。5分くらいひたすらゴシゴシしていたら激落ちくんの面が黒ずんできました。 ここで確認してみるとこんな感じ。

重曹+激落ちくんでゴシゴシ

角の塗装が剥がれてしまいました。たぶん黒ずんだのはこのせいかな?
角の部分っていうのは摩擦も大きくなりやすいので先に剥がれてしまうんですね。そしてフラットな広い面は逆に取りづらいと。
ここで止めてもなんなのでもう少しやってしまいます。

重曹+激落ちくんでさらにゴシゴシ

表面もかなり取れた感じします。その代わり9の数字の枠の外にもう一周枠ができるほど縁の部分の塗装が剥げてしまいました。

ワセリン

海外の掲示板では特に出てなかった気がするけど、ワセリンでぬぐえばとりあえずベタつきは取れるらしいということで、こちらも試すことに。ワセリンは黄色いやつじゃなくて白のワセリンを薬局で買いました。
んでそれを塗りたくって、なんとなく数時間放置しました。
それから布でひたすらゴシゴシします。どれだけゴシゴシしても黒い色が移るということはないんだけど、確かにベタつきが取れてる感じはします。
さらにもう一度ワセリンを塗ってまたゴシゴシ、これを計3~4回繰り返したかな?時間にするとゴシゴシしてる時間は20分程度かもしれないです。

ワセリンでゴシゴシ

なんというか全体的にうっすらラバー層がなじんだ感じがします。
感覚的には剥がれるというよりはアイロンを当てて毛羽立ちを抑えた、そんな感じに近い触り心地でした。写真ではわかりにくいけど元の状態と比べると明らかにさわり心地は変わっています。


それぞれの比較

他にもエアフローセンサークリーナーってのも買ってみて試しました。これについては正直あまり良くわからなかったです。試せてないのは接着剤の剥離剤を使うってやつですね。まあこれはヤバそうな気はするけど・・・
とりあえず今回試したのを並べてみます。

左から

  1. 元のまま(少しベタつきが出てる状態)

  2. 重曹+激落ちくん

  3. アセトン

  4. ワセリン

写真だとわかりにくいけど、9のキーだけかなりツルツルになってるのは分かるでしょうか。これだけ明らかにプラスティックという感じでツルツル状態になりました。
アセトンの10キーは黒塗装が剥がれてるのはもちろん、こうなるとザラザラしてる感じでさわった感じも厳しいです。一番失敗。
ワセリンの11キーはベタつき感はなくなったけど、ツルツルという感じではないです。ただ新品のキーの状態に一番近いかも。

まだ試せることはあるのだが・・

ラバーコーティングの層がベタつきを生むと考えるなら、重曹+激落ちくんでゴシゴシした結果が一番求めてた状態ではあります。たぶんラバー層はほぼ取れきってるので、ベタつきが出ることはもうないのかなと思います。
しかし、一部黒塗装が剥がれてしまって縁取りみたいになってしまったので、こうならないようにゴシゴシするというのはけっこう難しそうです。
それにキーひとつずつこれを繰り返すの、なかなかの苦行です!

現時点での結論

そもそもラバー層はコーティングのためにしてるわけで、これを剥がしてしまうことで加水分解→ベタつきは避けられるかもしれないけど、今度は黒の塗装面が徐々に剥がれていくことは予想できます。そうなるといよいよ修復が難しくなるわけで、それはそれでどうなの?とも言えるんですよね。
実際一個はツルツル状態になるまでやってみたわけだけど、完璧にラバー層だけを取るのはやはり難しいと思いました。
あとは上からクリア塗装してしまうというのもいいかもと思ってるけど試せてはいません。

んで、Digitakt及びElektronのラバーコーティングされてるキーについては、今の時点での結論としては
ワセリンでゴシゴシして、なじんでベタつきがなくなったらそれで良しとする
が一番良いんじゃないかな?と思います。
使ってるうちにまたベタつきが出てくるかもしれないけど、そしたらまたワセリン塗ってゴシゴシすれば良い。1年に一回やるとしてもそこまでの手間でもないよなって。

まあ個人的にツルツルのキーにしたいという思いはまだあるので、そのうちクリア塗装は試すかもしれないんだけど、これは単に好みにカスタムしたいという事でベタつき対策とは少しズレてくるので。
あくまでベタつきの対策としては、手入れにあまり神経質になる必要がないワセリンが安全だし良さそうだなって思いました。
アホな失敗もしてますが、なにかの参考になれば幸いです。



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