国税をやめる その8
「国税をやめる」というタイトルであったが、話が「国税」から離れてきたので、私の元職場「国税局」について、述べてみようと思う。
「国税」と聞いて、何を思われるだろうか。国税と言われて、私がすぐ思い出すのが伊丹十三監督の映画「マルサの女」である。調べてみると1987年に1作目が公開された独特な雰囲気のある映画で、その世界観は今も脳裏に焼き付いている。
主人公を演じるのは宮本信子、敵役の山崎努、上司の津川雅彦など、素晴らしい俳優が出演している。古き良き昭和の社会と強い権力を持つ怖い「国税局査察部」。
国税と言われると、やはり「査察」の印象が強い。
しかし、実際に、納税者が対峙するのは、調査であれば税務署の個人課税部門、資産課税部門、法人課税部門であろう。
個人事業主及び法人の代表者は、対国税について、意識をすることになるが、従業員(サラリーマン)については、日本の場合、給料から税金が天引きされ、自分で計算しなくても良いので、通常税務署を意識することはない。
私の勤務していた部署は、納税者の中でも、通常、ほとんど接触することない「徴収」部門である。
徴収部門と聞いて、イメージがわくだろうか。徴収の仕事はある意味、査察よりも「エグい」仕事なのである。
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