斑鳩easy 1コインクリアを目指した話
シューティングゲーム(以下STG)との出会いは、アーケード(ゲームセンター)が最初で、そこから家庭用ゲーム機においてもSTGは数多く発売され、下手だけど割と好きなジャンルとして自分の中にずっとありました。ゲーセンに行けば一度はSTGをやるし、家庭用も何本か持っていました。
最後に購入したSTGは斑鳩です。ゲームとしての美しさとBGMの良さにほれ込んで購入。しかし、アーケードSTGは難易度が高く、自分にはとても1コインクリア(以下1CC)などできない、と最初から諦めていて「1CCできる人は選ばれしスゴイ人」と長年信じていました。クラスに1人はいる「すごくスポーツができる人」みたいな、凡人にはとても手が届かない世界の話だと。ゲーセンではSTGが上手な人のプレイを見ながら、ただ憧れていました。こんな難しいゲームをクリアするなんて無理と諦めながら。
そんな自分に落雷のような衝撃を与えるイベントが開催されます。
2020年3月1日開催「獣道III」において、バトルガレッガのハイスコア全国一位のT³-神威さん(@kamuneko)のスーパープレイが披露されました。
24年間バトルガレッガをやり続けたプレイ内容に、最初からあきらめて漫然とSTGに触れてきた自分との格差に、そのプレイの美しさに、様々な衝撃が心に突き刺さりました。STGは好きなジャンルなのに、一度も真剣に向き合ってこなかった自分自身を突き付けられました。
T³-神威さんのプレイを見て「踏み出さなかったら永久に憧れのままだ」と思い、BGM、世界観、グラフィックが好きで買ったけど、クリアを諦めていた斑鳩に挑戦しようと決意。倒すぞ、諦めていた自分を。
獣道IIIから2日後、2020年3月3日から斑鳩のeasyモードに挑戦する日々が始まりました。
3ヵ月かけて、ようやくFinalステージに行けるようになったものの、ラスボスが強すぎて2020年6月9日に挫折……。
再開はそこから2年半後の2023年1月3日。久しぶりにやってみたら、Finalステージどころかステージ2もクリアできなくなっていてショックすぎて再度挫折。
さらに1年11ヵ月経過した2024年12月1日。「このままだと永久にクリアできないぞ!」と思い立ち、集中的に斑鳩をやっていくことを決めました。
4年半ものブランクで「最初から鍛え直し、パターン構築もやり直し」みたいな状態で毎日練習。まさか4年半前と同じように「ステージ2ボス強すぎる」と再度思えるなんて。
この練習期間中に感じたのは、格闘ゲームの強い人が持つ「格ゲー力(かくげーりょく)」みたいなものがSTGにも確かに存在していて、敵弾の未来予測、自機の操作精度、自機に関与しない弾を瞬時に捨てられる判断力みたいなものはSTG力だよなー、と。そしてそれらを得ようとするには、とにかく考えながら回数をこなすしかない、ということ。
ちなみに斑鳩の「easy」モードですが、撃ち返し弾がないのと、敵の攻撃が多少ゆるくなっているとはいえ結構難しいです。「ゲームの難易度でeasyなんて選ばないっしょ」という主義の人を集めて、斑鳩easyを1CCするまで監禁したいぐらいには難しい。
しかし、最近の配信者はSTGをコンテニューしまくってクリアすることが普通であり、1CCを目指す人は一般プレイヤーを含めても少数派。考えてみれば、100円でいかに長く遊ぶか?が重要であったゲームセンターだからこそ1CCは目指す価値のある領域であり、家庭用で無限にコンテニュー可能なのだから「そもそも1CCという概念がない」のは無理もない話です。以下の引用先の記事を読んでいて、ものすごく納得してしまいました。
とはいえ「自分には無理だと諦めていた1CCに挑戦」という目的なので、人がどういう風にSTGを遊ぶのかは無関係。ひたすら練習。
新幹線移動や二泊三日の東京旅行中も腕が鈍らないようにSwitch版の斑鳩を購入して、縦置きスタンドにSwitchを縦置きして練習。
パターン構築や繰り返し練習が自宅外でもできたのは助かりました。ありがとうトレジャー様、HORI様。
4年半前と同じように、ラスボスの田鳧(タゲリ)に苦戦し続け「やっぱり自分には無理なのか?」と折れ始めていた時に、RTA in Japan Winter 2024で斑鳩で参加する人がいるのを知ります。アーケードノーマルでトップスコアのままっちさん(@mamacchi21)
このプレイには「諦めんなよ!クリアまでもう少しだろ?」と背中を叩かれた気分でした。同じゲームとは思えないほどの超高度なプレイですが、練習の行く末を示してもらい「まだまだ上達できるぞ!」と、折れかけていた1CCへの情熱を再燃させてもらったプレイでした。
毎日、自分の配信でプレイ動画を見返しながら、改善点を考えて、試して、練習して。それをひたすらに繰り返し、2025年1月13日。
初挑戦から1,777日。4年10ヵ月10日。
ついに斑鳩easyを1コインクリア(ノーコンティニュークリア)!
この日はプレイが絶不調で、ステージ1もノーミスで抜けられない状態。「今日はダメだ、最後に1回だけ通して終わろう」と思って始めたプレイで、気づいたらノーミスでFinalステージに到達して「あれ?これはいけるか?」と思い始め、ノーミスでタゲリ到達した時点で手汗がすごい。
産土神黄輝ノ塊の60秒間にわたる弾避けの最中、自分でもどうやって避けているのか分からない瞬間が何度もありました。
4年10ヵ月もかかったけど、諦めていた自分を倒したぞー!
1CCを目指す人が少ない時代ですけど、この達成感はものすごい。エンディングで感動してしまいました。それはきっと今までの攻略や練習の苦労があったからかもしれません。
時代遅れの縛りプレイなのかもしれないけど、好きなSTGがあったらぜひ1CCに挑戦してもらえたらなー、と思います。
振り返ってみても、自分一人ではとてもクリアできませんでした。やり込みのすごさを示して、この挑戦のきっかけをくれたT³-神威さん。折れかけていた自分をプレイで救ってくれた、ままっちさん。斑鳩easyのパターン構築で非常に参考になった、weakboson SDFさん(@ANTARES_REDWASP)には感謝です。ありがとうございます。
STG下手が1CCを達成した記録としてこの記事を残しつつ、読んでくれた人がSTGに限らず「どうせ自分には無理」と諦めていた自分を倒すきっかけになってくれたら幸いです。