月経痛(生理痛)を助長する食事

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月経の時期に起こる不調で最も多いのが、下腹部や腰が痛くなる月経痛である。子宮が経血を外に押し出そうとして収縮し、同時に子宮内膜の中のプロスタグランジンという発痛物質を分泌することから起こるもので、痛みには個人差がある。

この発痛物質が血液中を流れることで、頭痛などを招く場合もある。月経痛の程度は年代によって変化するほか、疲れや体調にも左右される。

今回は、栄養学的な観点で「月経痛を助長する食事」「月経痛を軽減するのに寄与する食事」をそれぞれ紹介していきたい。

(1)疼痛に対する閾値
疼痛を覚える・覚えないで閾値の存在が重要となる。当然閾値が低い人であれば、すぐに疼痛を覚える。肩こりの感じ方や、リリース時にどの程度の力で痛みを覚えるかなど、人によってバラバラだ。

生理痛を覚えているクライアントの多くは、食生活が乱れていることが非常に多い。食事指導で回避すべきもの、食べるべきものを選別し食生活を見直したうえで、どの程度痛みが軽減されたかを見ることが有効だ。

(2)生理痛を助長する栄養素・食物
1)オメガ6
必須脂肪酸であるオメガ6(n-6系脂肪酸)は、牛肉、豚肉、卵、バター、サラダ油、ごま油に含まれる。オメガ6は体内で分解され、その過程でアラキドン酸に変化し、アラキドン酸はさらにプロスタグランジンへ変化する。

体内の炎症部位、損傷部位では神経痛反応としてブラジキニンという神経物質が生成される。プロスタグランジンはブラジキニンと相互反応を起こし助長し合う。たんぱく源として焼肉などを食べ過ぎれば、かえって筋肉痛を助長する。これと似た状況で、生理痛も焼肉などオメガ6を過剰摂取することで、痛みが増えると考えられる。

2)砂糖(白砂糖)
精製されて作られた白砂糖は、身体に必要な栄養はほぼ入っていない。血糖値の急激な上昇、インシュリンの過剰分泌による肥満リスクの増大といった身体的なリスク。血糖値の急下降・セロトニンの分泌量低下で虚無感に襲われ、精神状態の乱高下から精神疾患のリスク増大など、精神面の悪影響も大きい。

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糖は消化・吸収時に大量のビタミンを消費する。砂糖はその傾向が顕著で、ビタミンB1、マグネシウムといった多くの栄養素を消費し、身体に負担をかけながら吸収する。

ビタミンが喪失するということは、コラーゲンの生成が阻害されたり、粘膜に炎症を起こすなどの反応を示す。美容面はもちろん、エネルギー生成にも悪影響が及ぶ。砂糖の過剰摂取でビタミンが喪失すると、血管の拡張が引き起こされ、体内で炎症反応を引き起こすヒスタミンが分泌される。

3)アルコール
アルコールは分解過程において、加水分解(水分によってアセトアルデヒド→酢酸→水)されていくが、アセトアルデヒドに分解される過程で、砂糖と同様にヒスタミンが分泌される。

そもそも、アルコールはこれ以外にも多くの健康リスクが存在する。国際がん研究機関(IARC)においても、アルコールはタバコ同様にガン発症リスクを高める代表的な存在とされる。

嗜好品としてアルコールが大好きであり、飲まないことによるストレスのほうが大きいという人を除いては、身体にはプラスに働かないだろう。ここであげた3種類は、ボディメイクでも避けるべきと指導するが、根幹となる健康面(女性にとっては生理痛への懸念)からも、避けるべきと伝えたほうがいい。

(3)生理痛の軽減に寄与する栄養素・食物
1)オメガ3
オメガ3はαリノレン酸に代表される、必須脂肪酸のひとつ。DHA、EPAなど魚に多く含まれるほか、亜麻仁油、えごま油が挙げられる。生理痛がつらいというクライアントに対しては、オメガ6はなるべく控えつつ、積極的に魚介類を摂取するよう指導するとよい。

2)ビタミンA
ニンジン(βカロテン)、ウナギに多く含まれ、抗酸化作用が非常に強いため体内のヒスタミンの作用を相殺しつつ、コラーゲン生成、肌のターンオーバーを促してくれる。

3)ビタミンC
ビタミンCは抗ストレスビタミンとして知られている。朝には果物を食べる習慣がいいと言われる所以は、ビタミンCを摂取して、日中に多く発生するストレスや、日中最も分泌量が多くなるコルチゾールに対抗できる点にあるとされる。

ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、レモン(果汁)などに多く含まれる。また、ローズヒップティーは「ビタミンCの爆弾」と称されるほど、ビタミンC含有量が多い。

より多くのビタミンCを摂取したい場合は、粉末の状態で豆乳ヨーグルトと混ぜるといった方法もおすすめだ。

5)ビタミンE
ビタミンCと同様に、抗ストレスビタミンとして知られる。アーモンドなどに多く含まれる。

6)ビタミンD
ビタミンDはうつ病を改善する作用があるともされるほど、抗ストレスビタミンとして知られている。太陽光を浴びて体内で生成できるため、健康・ダイエットを兼ねて15~30分の散歩をするといい。食材としては、キノコ類や魚介類に多く含まれる。

7)マグネシウム
ほうれん草、ナッツ類、魚、大豆などに多く含まれる。骨の健康や神経伝達のコントロールなどに働くマグネシウムは、欠乏すると精神障害の成因にかかわる可能性が示唆されている。精神的ストレスでマグネシウム量は低下するので、意識的に摂取したい。

#女性
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