『In The PLAYROOM』『怪談乳房榎』in 新宿シアター・ミラクル

令和4年10月15日土曜日18時開演の三遊亭ぽん太独演会のために新宿シアター・ミラクルに入ると、ずいぶん昔の記憶が蘇った。
調べてみたら2014年、平成26年のことだった。
個人的にはポッドキャストリスナー歴2年目でまだまだポッドキャストの配信に関わる前だった。ポッドキャストの配信を始めた今となっては、さまざまな事柄がポッドキャストの配信と紐づいているが、当時は映画や演劇、音楽ライブを単純に楽しんでいた頃だ。
平成26年11月に鑑賞した演劇は『In The PLAYROOM』。当日少しだけ追いかけていた女優の椎谷万里江さんが出演していると言うことで観に行った演目だった。きっかけは椎谷さんだったし彼女の演技も良かったのだが作品自体も印象的だった。
演者が客席に配置された状態から始まり、物語のスタート地点も鑑賞者が現在いるこの場から始まっている。内容的にはサイコテイストな鬼ごっこなのだが、新宿区内に限定されており、プレイヤーは区内に散らばるが、ある程度進んだところからプレイヤーはスタート地点に戻ろうとする。そんな話だった。
作品の性質上、芝居を鑑賞したその場の印象も強く残った。
そして、今日8年ぶりにそこに足を運んだ。正直言って劇場の名前を覚えていなかったので、確信はなかったが、劇場内に入って間違いないと思った。
今日は演劇ではなく落語。
それもただの落語ではない。落語界中興の祖と言われる三遊亭圓朝作の怪談。数分の休憩時間を3回挟むものの実に3時間の大長編だ。
この三幕目に新宿追分、十二社角筈の滝が出てくる。追分は新宿三丁目の追分団子が有名で、十二社(じゅうにそう)は西新宿の通りの名前に残っているし、角筈は旧町名で新宿区の施設などにその名が残っている。
一幕目は台東区柳橋、二幕目は豊島区雑司ヶ谷と新宿区落合、三幕目は新宿と西新宿、四幕目は板橋区赤塚と中心となる舞台を変えていく。
そんな中で聴いている現場(新宿区歌舞伎町)をかすめていく。先に述べた『In The PLAYROOM』がまさにこの場から始まりこの場に集約するのに比べるとインパクトは弱いが、この劇場で既にその体験をして、今回追体験している私としては相当なインパクトだった。また三幕目は全体を通してのクライマックスであり、怪談を怪談たらしめている部分でもあるので、台東区や豊島区より新宿区で演るのがふさわしいようにも思えた。
『In The PLAYROOM』も『怪談乳房榎』も不思議な体験をさせてくれたが、このふたつの重なりが8年の時を経てもうひとつ不思議な体験をさせてくれた。

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