「大企業コスプレイベント団体が、老舗地方イベント潰し」と物議。今日のイベント団体に求めるものを考える。
どうしてそうなるの・・?
不要不急だと言われてコスプレ業界が冷え込んでからはや4年。別の趣味や生き方に移った友人も多く、時間の経過と共に顔ぶれの変化や世代交代があったことは言うまでもありません。
環境の変化も大きく、それまで年に数回しかなかった野良イベント(カメラマンとコスプレイヤーが特定のペアを組まず参加する形式のイベント)が毎週どこかで行われるようになりました。初心者をはじめ、誰でも参加しやすいことはよい事ですが、それだけトラブルも絶えないようです。古くからコスプレに関わる友人たちはみな、目を白黒させて様子を伺っています。
「大企業コスプレイベント団体が、老舗地方イベント潰し」と炎上。その経緯について。
大阪駅から神戸方面へ30分、六甲アイランドでは、毎週土日に”M”(名前は伏せます)がイベントを開催しています。地元からの信頼も厚いと評判の老舗イベントで、毎週開催されている安心感もあり、関西で遊んでいれば1度は利用している程度には有名です。
そんな中、別の「acosta!」(以下、アコスタ)というイベント団体から、同じ六甲アイランドで同日にイベントを開催するというお知らせが。アコスタは株式会社アニメイトのグループ企業である、株式会社ハコスタが運営するイベントで、いうまでもなく国内最大手です。
イベントは不特定多数の参加者が入り乱れるものであり、別のイベント同士が同じ日に開催するというのは前代未聞。別のイベントの参加者同士でトラブルになったらどうするの?という心配や、それぞれの団体で顧客層が異なる為に地元に迷惑がかかるのではないか?という声、そもそもこれは大手(アコスタ)による老舗イベント潰しなのではないか?というような意見が当該ポスト引用欄を中心に散見されました。
心配の声が高まる中、先に開催を発表していた老舗イベント”M”の方から「安全対策のため開催を断念」「申し訳ございません」というリリースが出ます。
こうして、X(Twitter)でアコスタに対する批判が爆発する事態となりました。
アコスタとしては、早い段階できちんと経緯やイベントの建て付けを説明するべきところ、公式な声明を出さず数日対応を放置してしまいました。その後、「地域の企業から依頼があり、開催させていただく判断となりました」と経緯説明がなされましたが、結果から言えば、ダメージコントロールとして最悪の一手でした。「あなた達(アコスタ)の行儀の悪さや調整ミスを訴えているのに、その責任を地権者に押し付けている」と見られてしまっては、炎上が収まるはずがありません。
ただ、「老舗地方イベント潰しだ」と盛り上がっていたところ、「その地域の企業から依頼を受けて開催の判断をした」という一節は注目すべき点です。しかし、この内容が事実だったとしても、関西にスタジオチェーンを持つ株式会社ハコスタが、六甲界隈に老舗イベント”M”が存在する事を知らないわけがありません。大手イベントを担うプロとして、依頼があった権利者への細やかな説明や、事前の調整をしなかったあなた方(アコスタ/株式会社ハコスタ)の問題ではないか?と思った方も少なくないようです。
結局、老舗イベント”M”は同日の開催を断念、権利者は本来明るみになるはずがない取引内容を暴露されてしまい、アコスタは顧客からは顰蹙を買う、全員が損をする最悪の結果となりました。
イベント団体の存在理由と
価値とは何か
そもそも、キャラクターに似せた衣装を着たり、それを撮影する行為そのものは著しく法に触れるものではありません。例えば公共の公園で、人を集めて、いつでも自由に遊べます。ただ、実際にはこれは建前で、キャラクターに似せた「コスプレ」と呼ばれる装いは周囲の目をいたずらに引き、それを撮影する行為も一時的に場所を占有しないとできません。周囲の迷惑になりうる遊びなんです。
そのため、周囲や地権者への配慮から、お伺いを立てて「撮影許可」を取ったり、様々な名目でいくらか費用を支払うのが慣例となっています。そして、このプロセスは「誰に問い合わせればいいのか」「どのようにお願いすればいいのか」が明確でないため難しいです。そのため、イベント団体がその窓口として活用され、コミュニケーションやルール設計を一任されているという背景があります。「初心者が始められる土俵となっている」「コスプレ友達に会える」というような評判も、「イベントによって沢山の人を誘致できる」という広告効果すらも、すべてこの上に成り立つものです。
コスプレイヤー/カメラマンは、安心して何も考えずに撮影場所を使うため、イベントを利用しているのです。「イベントのおかげでコスプレで遊べる場所が増える」「その敷居を下げる」ことこそが本質で、求められているものなのですね。
遊ぶ場所がなければコスプレも撮影も出来ないわけですから、場所(ロケ地とも言う)というのはコスプレに関わる人にとって言わば"水"のようなものです。だから、冒頭の「混乱が起きないか?」と、やや神経質になったり、コスプレを安心してできる場所(≒イベント)を守ろうというのは、私たちにとっては自然な感覚なんですよ。
acosta!主催者から見え隠れする
「プロ意識の欠如」
今回の一件は、アコスタ・株式会社ハコスタ・株式会社アニメイトの体質的な問題だと推測します。まず、私は「アコスタ・株式会社ハコスタ・株式会社アニメイトが金儲け主義の悪徳企業だ、今回の件は老舗地方イベントを潰す目的があった」などとは特に思っていません。
地域の企業から依頼があったというのも嘘偽りのない事実でしょう。時系列を妄想で整理すると
老舗イベント”M”のスケジュールは前から決まっている(Xや公式ウェブサイトで確認できる)
地域の企業が何らかの意図でアコスタに接触する
開催を決定する
となると思います。恐らくこの「地域の企業」は、コスプレに関しては全く無知で、イベントを開催して人を呼ぶ事に何の懸念もないことが想像されます。ただ、私はそれを説明し、調整するのもイベント運営者(即ちプロ)の仕事なのではないかと思います。そういった細かいコミュニケーションをせず、下調べもせず、形式的に手続きを行なった為に起きた事件だとしか思えません。
はっきり言って、怠慢ですね。悪意のないことが経緯説明されようと、これを怠ったことで起きた事件と考えれば、特に同情の余地はないと思います。
また、本件だけでなく、類例が複数存在することがX上で指摘されています。
アコスタには、その知名度を背景にした広告効果がありますし、特に「初心者」を成熟させる土壌としての役割も担う「いいイベント」だと私はまだ思っています。しかし、池袋ハロウィンコスプレフェス2024という、同社の開催する大イベントを直前に控えた今日でもあります。今回の一件でアコスタとその利用者に対して、今まで以上に厳しい目が向けられる・・ような事にならないよう「細かなコミュニケーションを大切にする」というごく当たり前の仕事を、真っ当にこなしてくれないものかと思います。
適当すぎたんじゃないですか。
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