【自己開示】深海魚、天秤、これからの10年
突然だが、自己開示をしようと思う。
これはささやかなリスクだ。
自分の底について話すのは大嫌いだから。
でも、これから10年何をしようか考えたとき、
いい加減済ませておかないとだめそう、という結論に至ったのだった。
嫌だけどなあ。
そういうわけで、暇な人はお付き合いください。
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ギフテッド/タレンテッド、
という言葉を知ったのはつい最近だ。まだ1年も経ってないんじゃないかな。
わたしが知るのが遅かっただけですでに世間に浸透している言葉のようだが、一応説明を挟む。
ギフテッドとは「知能指数が高い人」…いわゆる天才の呼称だ。
数値的な定義としては、IQ130以上の人をそう呼ぶ。
そのなかでもすべての能力が高水準である「英才型」と、発達障害を併発している=ある能力は高いが別の能力は低い「2E型」に分かれているそうだ。
「この素晴らしい能力は神からの贈り物(gift)である」という欧米のキリスト教観に基づき「ギフテッド」と名付けられていて、
「タレンテッド」もほぼ同じ意味だが、こちらはアーティストやスポーツ選手など数値では測れない才能が突出している人のために使われる名称らしい。
で。
これを知った時わたしは、
20歳そこそこで大人の発達障害を疑い、
知能検査を受けた際、言語性IQ130/処理速度IQ98でグラフがガクガクだったこと、
「発達障害の可能性が高いですが、数値はむしろ優秀ですよ。できることとできないことの差が大きいせいで苦手意識が強いのでしょう」と医者に言われ、
つまり…どういうことだってばよ…と困惑したのを思い出したのだった。
あれはつまり、
わたしは(マイルドリー)ギフテッド2E型、凸凹凹凹タイプ、過度激動と、興味関心が大きくずれていることによる社会不適応ぎみ*。
そういうことだったのだ。
*文字で書くとえらい仰々しいが、人口比率で見るとマイルドリーは別に珍しい存在ではない。
特にクリエイティブ系はみんなうっすらギフトかタレント持ってるだろ、とわたしは勝手に思っている。
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「IQが20以上離れると会話が成立しない」
という俗説がある。
個人的にはそんなことない、コミュニケーションはIQというよりEQの問題なので改善可能…。
と思うものの、少なからず心当たりもあって、
わたしが熱心に話したいことほど「考えすぎ」「理屈っぽすぎ」「何を言ってるのかわからない」と渋い顔をされることが、昔から非常に多かった。
同じ日本語で話していても、
言葉が通じているとは限らない。
この感覚は常にあって、
いつも、どこか不安定で哀しかった。
わかってくれないことが、ではない。
相手にわかるよう伝えられない自分の力不足が、
哀しい。
この2つはまったく違って、
そこは譲れないポイントなのだが、それすらも共感を得られるほど当たり前のものではないようだ。
どう言えばよいだろう。
印象だけで喋るのが許されるのであれば、
他の人を浅海魚だとすると、わたしは深海魚だ。
「同じ海に生きる魚」なのは間違いない。
だが陽の光が差し、世界が青くて、そちらの方が身軽だと知っていても、
浅瀬で生きることはできない。
さりとて深海に招くのも無理だとわかっている。
もちろん劣等ではない。が、決して優越でもない。
ただ離れている。違うのだ。
このシンプルで寂しい結論を、
諦め、愛せるようになるまで、28年もかかった。
ーーー
20年前、ギフテッドなんて存在は可視化されていなかった。少なくともわたしの田舎では。
もし、子供の頃にそんな診断を受けて、現代にあるような然るべき教育を受けられていたら、
わたしは抜毛症にも適応障害にも苦しまずに済んで、話が通じる人たちに囲まれて、
まったく違う人生があったのだろうか?
そう思うと、
天に唾を吐きたい気持ちになる。
けれども逆に考えると、
多少…いや大いに痛い思いはしたが、20代という早さで己を理解できたことは幸運だ。
中年老年になっても、あのシンプルな結論に辿り着くことができない可哀想な人がたくさんいるようだから。
なにより誰だって、どこかしら、その寂寥は持っているはずだ。分岐して消えた、自分の可能性。
つまり、これまでのわたしの人生は、
よくはないが、悪くもない。
わたしに埋め込まれたこの絶妙にしょっぱい…でも確かなギフトを、恨むか感謝するか。
死ぬ間際、天秤がどちらへ傾くか。
それは、これから自分が何をどう積むかにかかっている。
そう、楽観的虚無主義だ。
そういう解釈ができるようになってよかった。
挫折で始まり、長かった20代も今年で最後だ。
わたしの天秤は平衡、よくも悪くもないが、
「色々あったけどいい人生だよね」
10年後はそれぐらいまで傾いているといい。
これが、わたしの10年目標だ。
あんまりガチガチにロードマップ組むと苦しくなるタイプなので、あえてフワッとさせておく。
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うん。
おおむねこれがわたしの底、怒りとか寂しさとか病気とか、についてのサルベージだ。
なぜこれを書こうと思ったのだろう。
正直「何かを成し遂げたわけでもないくせにギフテッド名乗りたがるダサい奴」という感想を持たれる気しかしない。
そして「それはそう」と笑うしかない。
そんな文章にしか見えないが。
でもまあ、とにかく、
読んでくれてありがとね。
おわり。
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それにしても神様、恨みますよ。せめてあと1…くれてもよかったんじゃないですかね…
うつ状態だとIQ下がるって聞いたことあるし、
もっかい今のコンディションで検査受けたらIQ134ぐらいになってやしないだろうか?
常時頭痛でしんでたあの頃よりかなり頭スッキリしてるよ、今。
…往生際悪いか。苦笑。