アイカツ楽曲感想 その8【ちらかわによる楽曲レビューその1】
フレンズ各位
お前がちらかわを覗くとき、ちらかわも深淵からちらちらしているのだ。
新規機種の入札が始まり、深淵も深まってきた今日この頃、フレンズ各位の大量のアイカツ関連レビューの物量に負けて、ついにアイカツを聴いています。
最近は窓のない部屋で真面目な顔をして見積の価格をまとめながら、隣に同僚がいる中で女児アニメソングを聞く背徳感がクセになりつつあります。
ただ部屋の中がとてもエスティントなので音漏れしていないかどうかだけが気がかりです。
ということでアニメは見たことが無く、曲の背景を理解していないので主に楽曲的な観点での雑感を下記のとおりお送りしますのでご査収ください。
選曲は思い付きです。
結論を某カキン王子風に言うと、何なんだよアイカツの世界…!楽し過ぎんだろオイ!!という感じでした。
★lucky train!
この曲で最も目を引くのは、一聴して即飛び込んでくるベースリフ。70年代を思わせる定型的なスラッピングは往年のファンク好きをニヤリさせることでしょう。スラップ奏法を表舞台で初めて使用し脚光を浴びた元祖ベースフロントマン、ラリーグラハムのPow!!を聞いていただければ、ひしりとそのルーツを感じることができると思います。また、このように行儀よくまとまったシンプルなスラップは即座に日本にも輸入され、80年代頃のJ-FUSION、J-POPなどでは好んで用いられる印象です。山下達郎のBomberのイントロのベースラインなんかは本曲と酷似しています。
更に、一定の拍を忠実に踏み続ける小気味のいいバスドラムもこの曲の特徴といえるでしょう。こういったリズムは通称4つ打ちと言われ、ダンスミュージックに多く用いられますね。この曲の場合は、単純2拍子をひたすら打ち続けるという構成、つまり歩きながら聞いていたら自然と歩調が曲のリズムにあってしまう、そんな曲調に仕上がっています。
ひたすら明るく、前向きな本曲の歌詞にはぴったりなリズムと思います。ラキラキ、キラキラなどの二文字の歌詞は2拍子とかっちりあうのでいいですね。
Larry Graham - Pow!!
山下達郎 - Bomber
★Trap of Love
先日のBBQでも言及しましたが、聴いたらすぐに「あ、このコード進行か」とわかるかなり有名な進行です。この進行が用いられた邦楽POPSで代表的なのは、諸説あると思いますが、椎名林檎の丸の内サディスティックです。したがって、このコード進行を「丸サコード」と呼ぶ人もいます。この進行を用いた曲で、私の知る限り一番古いのはビル・ウィザーズのJust the Two of Usですね。有名な曲なので聞いたことある人もいると思います。
しかし定番コードだからといって凡曲、と判断するのはオーラの多寡だけで勝敗を予想するのと同じくらい愚行です。コード進行は所詮は味付けのひとつであって、当然それだけでは楽曲の良し悪しが決まる要素にはなりません。椎名林檎は近年「長く短い祭」でも丸サコードを使っていますが自身の曲ながら全くテイストの異なる曲に仕上げているのがその証左。この曲は90年代のJ-POP感あり、少し懐かしい気持ちになりますね。しっとりとしたいい曲でした。
Bill Withers - Just the Two of Us
東京事変 - 丸の内サディスティック
★Blooming Blooming
本曲はEW&Fが元ネタか?とあイカつおじさんのコメントがありましたが個人的にはそういったテイストはあまり感じませんでした。イントロの音階がだんだんあがっていくピアノフレーズはなんとなくPerfumeのパーフェクトスターパーフェクトスタイルを思い出します。一貫しておしゃれなジャズフュージョン路線の曲ですね。ジャズ特有のウォーキングのベースをウッドベースではなく、うねり気味のエレキベースで演奏する感じは東京事変のキラーチューンを思わせます。後半のジャズセッション風味のソロ回しもクオリティ高いです。
Perfume - パーフェクトスターパーフェクトスタイル
東京事変 - キラーチューン
★オリジナルスター☆彡
イントロからいきなりEW&Fです。探せばもっと似ているのがありそうですが、Getawayあたりのホーンセクションになんとなく影響を受けているのでしょうか。(おじさんが言及していたのはこれかな?)
Getawayのホーンセクションは非常に有名で、そのキャッチーさはNeo-Soulというジャンルを確立させたディ・アンジェロもデビューツアーでパッケージとしてジャムに取り込んでいました。見た目がDQN感てんこ盛りのディアンジェロと日本の女児アニメがリンクできてしまうあたり、やはり音楽の可能性は無限大ですね。
Earth, Wind & Fire - Getaway
D'Angelo - Lady@Montreux Jazz Festival 2000 (horn section part)
ミュージシャンにとっては、フレーズやリフを丸ごとサンプリングしたりオマージュするというのはパクリ、ではなくリスペクトの表れです。こういう文化はHIPHOP DJから生まれたんですかね。この曲もFUNK、R&Bに造詣が深いクリエイターがそれらのジャンルの先人に敬愛の念を込めて作ったものと思われます。(※後述のカレンダーガールもそうですが、どう考えても同じ血を通わせているような楽曲がたまに見受けられるので、それらは同じクリエイターが作曲編曲しているのですかね。)
Aメロをタイトな16分で刻むベースラインなんかダサいステップを踏むアフロの黒人が自動的に脳内に現れてきてしまいます。どうにかしてください。
たまに入ってくるオカズ、そうそう♪いい顔でスマイル♪とかも女児声じゃなくホーンセクションで鳴らせば完全なるファンクです。途中のギターソロの音色はFunkadelicのエディヘイゼルのそれに近いワウサウンド。たまりませんね。
総括すると、素晴らしいバランス感覚の上に成り立つ名曲です。
ものすごい音圧で、ものすごいEarth, Wind and Fireあたりのファンク/R&B感を出していますが、一方で、コテコテのオカズとは裏腹にコード感はすっきり爽やか、きちんとアイドル曲しています。だからこそ女児やおじさんにも受け入れられる楽曲に仕上がっているのでしょう。
これこそプロの所業。
Funkadelic - Maggot Brain
★アイドル活動!
そこはかとないAKB感。というより、これヘビーローテーションのオマージュでしょう。コード進行は違えど、イントロ⇒A⇒B⇒サビの運び方、メロディーの音数などは、ほぼ一緒か。
決め手はサビの「アイドルー(アイドルー) 活動(活動ー)」のコール&レスポンス、からの合唱パートは寄せまくりです。寄せ過ぎなので有名なのかな?曲名どおり、おそらく劇中でも歌い手のアイドル活動においてはシンボリックな曲なのでしょう。
クリエイター(あるいはオーダーした側)の象徴的なアイドル=AKBというアイデアをベースに 本曲を劇中のシンボルのような曲にしたい、という思いから作られた曲かと推測します。
AKB48 - ヘビーローテーション
★ドラマチックガール
たまらないですね。かわいさと切なさとかっこよさが凝縮されたような曲です。
イントロはブルーノートで構成されたダイナミックかつジャジーなフレーズで始まったかと思いきや、直後に渋谷系ポップスお決まりのふわふわ音が流れ始める。全く違う曲から持ってきたようなフレーズの組み合わせでありながら、しっくりきていて、むしろクセにすらなる。。。不思議です。
全体的にクリシェコード(複雑)な感じでクリエイターの技量の高さがうかがえます。一貫してブルージーかつジャジーな雰囲気です。サビは王道の盛り上がりを見せます。特に好きなのはわたしのストーリー予約して♪とがんばるココロ輝くよ♪は同じメロディでありながら背景でなっているコードが前者に対して後者は哀愁漂うものになっているところ。
後半に入るブルースっぽいギターソロは枯れた感じを演出していて好きです。とくに四小節目の最後のあたりで、ルート音から半音上げたところでホールドするあたり、ブルースのフェスであればこんなアドリブ入ろうものならアメリカ人なら「Whoaaah!パチパチ」となること間違いなしです。
いやー非常に豪華な楽曲です。あいまって歌詞もいい。
いろいろな経験をし、清濁を知りつつも昨日までの自分を乗り越えていく、前進していくことを歌う様は最強感さえありますね。なんてことない今日が特別だって思えるから、というのはカレンダーガールのアンサー/後日談みたいなことでしょうか。
かなりいい。
★カレンダーガール
ハウスアレンジした渋谷系ポップス、時々ファンクみたいな感じ。
さっきから渋谷系ポップスってなに?って人はアニソンであればROUND TABLE featuring NINOとか聴きやすいのでオススメです。彼らはちょびっツ(let me be with you)とかトップをねらえ2(groovin' magic)とかでアニソン界に渋谷系を浸透させた張本人と勝手に僕は思っています(チョイスがゼロ年代前半丸出しですが)。
ちょくちょく入る、だ・る・だ・るブルー♪とかば・れ・ば・れマミー♪が渋谷系テイストです。タイトなホーンセクションはEW&FのSeptemberとかに入ってるやつから拝借したものでしょうかね。
Earth, Wind & Fire - September
サビはカノン進行にアレンジを加えた感じですね。カノン進行はヒット曲に多く使われる進行です。
日常の愚痴から入る歌詞はなんかニチアサっぽいです
「なんてことない毎日が かげがいないのオトナはそう言うけど、いまいちピンとこないの」
このラインにはしびれますね。何気なく過ごしている子供のころの日常は、大人になったら二度と訪れない日常である、ということをまだ自覚していない、むしろ自覚してはいけない女児たちの無邪気さに勇気と切なさを感じざるを得ない。
アイカツをみて育った女児とおじさんは時がたち、振り返ってこの曲を聞いたとき、身に染みるんだろうなぁという想像をしてしまいます。
疲れたので以上だ
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