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イリヤ クーリック - ラプソディ イン ブルー -

五輪史上、最高にオシャレなプログラムと美貌のスケーターがきましたよ。
キリン🦒衣装の何が悪いのか。
落ち着いて考えてみてください、別に由来や理由は何だっていいんです。彼以外に誰がこの衣装を着こなせるでしょうか。……それが答えです。

これじゃなくて、NHKで放送されていた、五十嵐さんの解説のものが良いのですが、NHKだからか見当たらず…。残念。

GPのカナダ大会では違和感がありました。
あれ?この衣装に2位は似合わないなぁ…(だって派手だもん)
彼はこのシーズン、出場した大会はカナダを除き、全て勝っています。
金メダル🥇がとっても似合うコスチュームなのです。

私は実のところ、クーリックの演技はこのラプソディ イン ブルーが初見だったので、何とも思ってなかったのですが、彼の歴史を見返して、これは相当挑戦的なプログラムだったのだと気付きました。前シーズンのファウストやロミジュリとは別の意味で。
オリンピックシーズンにSPとともに革新的な(…は言い過ぎか。保守的ではない…、くらい??)プログラム(&衣装)を持ってきた…。常人では選択しないかも。そこはタラソワさんとイリヤ、2人の天才が成せる技ですかね。

ゆったりしていて、彼の得意なジャンプに集中するためではないか??(=前シーズンのロミオの反省)とも言われたプログラムですが、逆ですよー。芸術系はバレエとピアノとフルートぐらいしか経験ないけれど、ゆっくり、ゆったりというのはかえって非常に難しいことはわかります。ごまかしがきかないから。うちのイリューシャはこういうのもできちゃうんだから…他に誰ができて??…という、当時のタラソワさんの心の声が聞こえる…、ような気がする。

イリヤの”すごいのに、しれっと難しいことやっちゃう″感が最も冴え渡るプログラムです。品よくお洒落。
ただ滑ってるだけなら別だけど、そこはさすがタラソワさんのプログラム。イリヤのスタイルとポーズの美しさを活かした仕上がり。これは他の人がやってみてもこうはいかない。さあ、誰かが滑っているのを想像してみよう。もちろんあの衣装でね。

冒頭の4回転は素晴らしく(リンクから見守るタラソワさんのガッツポーズも素晴らしかった)、ただフェンスに近かったので、即座の方向転換を余儀なくされます。その次に美しく高い3A-3T。この流れは前シーズンのGPでやったロミジュリと同じ構成ですね。
イリヤのコンビネーションはスピードに乗ったまま、流れるように行われるので、プログラムから…というか、コレオを通してまったく浮きません。ジャンプによって寸断されないんです。これは、ジャンプが得意かということとはまた別物だと思います。いかにジャンプがすごくても、ジャンプだけ浮いてる感じ、ありますよね。トップ選手であっても。それが物理的に普通かなと思っていたのですが、イリヤはここでもまた違うんですねー。

(敢えていうなら、最後のステップで手を上げ下げする時にちょっと″カックン″ってなるんですよね。どの大会見てもそう…。何であれだけのジャンプの着地でカックンならない人がそこでなる!?って思うんですが…謎…。
まぁ、そのカックンはとても可愛いので良いか悪いかと言ったら良いと思います…。。)

そしてズシャッ!!と氷の音を拾う華麗なループ!!
ショーでの愛の夢でもとんでもないループを見せますが、この人のループは本当に魔法みたい。
ただ、ループは当日の練習ではなぜか一度も決まらず、タラソワさんをソワソワさせたとか。。ループって比較的抜けやすいジャンプですよね。そして、イリヤはわりとパンクしがちなタイプ…(そんな時でも着氷はやたらとキレイ)ほんとのところ、ループとの相性はもともと良くないのかもしれない。しかしそこは超一流選手、本番はやっぱり決めてきました、これ以上ないくらい美しく。

後はもう、ちょっとした小劇場。
肩をすくめる動作も他の人がやったら、何やっとんねん!…と頭叩かれてツッコミが入りそうなくらい滑稽になっちゃうと思うのですが、イリヤがやると、…ただただ美しいですね。これはちょっとした絵画ですね。6分間練習を見ても、もう1人だけオーラが違うというか(まぁ、衣装のせいでもあると思う)、腰に手を当ててただ滑っているだけでもほぅっとため息が漏れそうというか…、他の人がアップになった時でも後ろにチラッとイリヤが入り込むだけでそっちに目がいってしまう存在感。これは好きだからなんだけど…。金髪と黄色い衣装が映える映える。

これまで正統古典派(Rigolettoとかアラジンとか)、ロマン派(ファウスト、ロミジュリ)ときて、近代派コンテンポラリー(Revolution)、コケティッシュ(ラプソディin B)ときちゃったよ。すんごく順調に階段昇ったなー、という印象です。プロに行ったらタンゴやロックもやっちゃうんでしょう?
ほんとになんでもできるな、イリヤクーリックは。。風のようにプログラムごとに雰囲気を変えて、美しさはそのままに、イメージは固まりません。

このプログラムは、というより、長野のこのFPは、とんでもない集中力と彼の覚悟に圧倒されました。画面上でこれですから…。
誰よりも静かな闘志が透けて見えた演技でした。
この「透ける」というのがとてもイリヤらしい。
赤い炎は暑苦しい。彼は青い炎ですね。全くがっついたりしていないのに、涼しげなのに、誰よりも高温なんですよ。こんな美しいチャンピオン、後にも先にも彼しかいないと思う。

だ、か、ら、なぜ6.0を出さない!?
ジャッジはオラオラしたわかりやすい人(注:ロロのことではありません。長野とは別の話ね)にしかださないんだから、もー。だまされないで!!

一番滑走ということもあって、思ったほどの点ではなかったのか(いや、良い点なんだけど、演技比ではもっと出るんじゃない?っていう…)キスクラで一瞬顔が曇って、すぐに横からタラソワさんの愛がぶつかってきて笑顔が戻り、納得したようにうなずきました。
ストイコの点数が出て、イリヤの優勝が決まった時、タラソワさんと控室にいるイリヤがちらりと映って、イリヤは電話してましたが(相手はご両親か、マリアさんとだと思う。本人が言ってた)ボタン外してるし、かなりリラックスしていて、それ映してもいいの?いいの?私はいいけど…って場面でした。
表彰式でちゃんと締めてきたけどね(あたりまえ)

ピリピリムード持ち&気難しイリヤは有名な共通認識だったようで、演技終了後、国を超えて「やっと笑った!」とか、「彼も人間だった!」とかいう実況があちこちから聞こえたそうな…。
彼のインタビューで、金メダルが嬉しいとかいうことよりも先に、演技が終わってリラックスできる時が来ることを楽しみにしていた…という言葉が全てを表していますね。
彼は1人で長野を最後と決めていたのでしょう。かなり前からではないでしょうか。おそらくそのまま出れば世界選手権のタイトルも取れただろうに、早々に棄権を表明。もはや全く未練がなかったと。まだ20歳なのに…。背中に爆弾を抱えてはいましたけど…。
タラソワさんはいそいそとイリヤのために次のシーズンの準備をしていたのに、え、もうこりごりなんだけどー…と拒否。まぁそりゃタラソワさんも怒るわな。イリヤの気持ちもわからんでもないけど、どっかで相談しとけばよかったんだよ。多分。いや、とてもオリンピックシーズン中に言えないかー。しかもタラソワさんだし。。愛が完全にすれ違ったわね。

表彰式も本当に神々しくて(彼が登場した時に発せられたアナウンサーの〝ほほぉー”がまさに心の声。完全同意)神に愛されたと表現しても過言ではない美しさを存分に放っていたイリヤクーリック。しかしまぁ、本当に美しかった。。。
1998年2月14日、男子シングルフリーの日。長野の選手村にイリヤクーリックへのチョコが誰よりも多く届いたとか。た、食べたのかなぁ…タラソワさんが…。

そして、エキシビジョンではセキュリティに苦労して、剣を振り回して生着替えして、ちょっと疲れて振りを忘れるというお茶目ぶり。。いろいろと伝説を作ってくれたロシアの超絶美男子、イリヤクーリックなのでした。

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