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世界の選挙から 中米 グアテマラ編を見た

 かつて明鏡止水 武のKAMIWAZAを初めて放送して話題を集めたNHKの「レギュラー番組への道」ですが、昨夜の「世界の選挙から」もなかなか面白かったです。流石にレギュラー番組化は難しいでしょうが。

 今回のお題は中米グアテマラの村長選挙。
 この村長選挙の投票率は、選挙管理委員会のおばちゃんによると90%越えだそうです。
 独裁政権やそれに対するゲリラの内戦が続き、20世紀末になってようやく民主化を遂げたという背景があると、自分の参政権というものを疎かにはしないのかなと思いきや、
「前回の村長選挙では次点に終わった候補の支持者が、開票所の小学校を襲撃して、命の危険も感じたので一晩中草むらに隠れてました」
「候補者や政党の中には借金して票を買うのもいるそうだし、当選したら金を集めて借金返して、余ったら横領してるらしい」

 などなどの、「おいおい、マジですか?」と、古いトーキョーN◎VAユーザーでもないとわからないようなボヤきが出る情報がサラっと出てきました。
 あからさまにギルティだろって行為はしてないけど、集会で砂糖の無料配布をするよって有権者を集めちゃった候補者のおじさんもいたりするし。本人曰く「チョコレートには砂糖が必要。つまりチョコレート民主主義だ」とのことです。日本でやったら思い切り供応だよ?
 もちろん、「ちょっとお金貰ったって一日で消えちゃう」「村政は5年間続くんだから、お金で投票先は決めない」って若年層の言葉もありました。
 それは、村の深刻な仕事不足という切実な問題があるし、それだけに真剣に選挙と向かい合ってるのがわかります。だもんだから、支持候補が負けると暴動起こしちゃうんだろうなあ

 と、こう書くといかにも深刻なドキュメンタリーのように思えますが、候補や関係者の、常に楽天的で、人懐っこくて、勝敗度外視で清廉だったり、どこかピントがズレてたりする姿を見てると、実に楽しかったです。ピントがズレてる筆頭は、上記の砂糖無料配布のチョコレート民主主義おじさん。集会場で演説をぶっても有権者の皆さん、あからさまに誰も聞いてなかったし。
 一方で、田舎の村で女性の政治参加を唱えるために敢えて出馬に踏み切ったおばさん候補者がいたり、本命視されてる候補者は「あちらこちらの国に友達がいる」というのが自慢で取材陣に対しても「これで君たち日本人にも友達になれたし」と人懐っこく言ったりします。ちなみにこのおじさん、その取材陣との約束を前日スッぽかしてるんですけどね?

 投票日の前日からは酒類の販売が法律で禁止されたり(まあ理由は明白だよね。ちなみに違反すると最長4年の懲役刑)、首都からプロテクターを装備した警官隊が派遣されたり(これまた理由は明白かと)、そんなグアテマラの選挙風景からは、日本のSNSでの政治論談からはなかなか感じられない生きた人間の生身の匂いをずっと感じられました。
 だから、見ていてずっと楽しかったです。
 そして、日本の民主主義に必要なのは、こういった生身の匂いを取り戻すことなんかないか。そんなことを考えてました。

 ちなみに、この村長選挙の結果はと言いますと。
何か事情があるのか取材拒否しちゃった政党の候補者が僅差で勝利しました。
 そして、次点の候補者の支持者が早速“問題”を起こしていたそうです。

 選挙って、どこでも大変だなあ。


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