近代以前の中国男性、とヒゲ。
中華時代劇を見ていて、「近代以前の中国人男性って、普通はヒゲは伸ばしてたんじゃないかな。身体髪膚之を父母に受くってやつで」と、そんなことがしばしば頭に浮かんでたりします。
実際、中国史に残る男性たちは、多くがヒゲを蓄えた肖像画を残していますし、ヒゲのないツルツルのイケメンってのは現代のドラマや映画だからかなと考えていたとき、Twitterやってた頃にTLで見かけた、清代のこの兄ちゃんの写真のことを思い出しました。
こんな美味そうにごはん食べる人もなかなかいないよねえ。
でも今回注目したいのは、その表情ではなく口元や顎の方。
この見るからに裕福そうな、といって士大夫とか重臣の子弟ってわけでもなさそうなこの兄ちゃん、ヒゲがないんですよね。
他の写真はないかと色々と検索掛けてみたら、こんなサイトも見つかりました。
19世紀の白黒写真ですし鮮明とは言い難いですが、こちらもヒゲを伸ばしてない男性の方が多いくらいです。
この写真を残したカメラマンは、実はあまり中国文化に対して深く理解しようと思ったわけでもなさそうです。
それだけに、これらの写真の史料的な正確さは高いでしょう。
もちろん、これは清代末期という一時期の、それも限定された地域の住人たちの写真です。
でも、この人々の多くが、その時代にごく普通に暮らしていた人々でもあります。
そういう人々がヒゲがなかったということは、案外昔の中国人男性は、現代人と同様にヒゲを丁寧に剃るのが常識的な身だしなみだった可能性があります。衛生的な面から見ても、むしろ庶民生活においては、その方が望ましいでしょうし。
もっと想像するなら、肖像画には見事なヒゲを蓄えた姿を描かせた歴史上の人物も、実際にはヒゲは伸ばしてなかったりするのかもしれませんね。
そんなわけで、昔の中国や中華風世界を舞台にしたドラマやマンガやアニメで、ヒゲを伸ばしてないツルツルの顔のイケメンを出しても、考察上の問題は必ずしもないと言って良さそうです。
それはそれとして。
あの清代のごはん兄ちゃんを見てて、頭に浮かんだドラマが月に咲く花の如くでした。
良いドラマだったし、また再放送とかしないかなあ。
もしくは、Netflixでの配信とか。