
文化の本場を定める条件としての“歴史”:布袋戯の場合
今週末からサンファン最終章が公開されます。
これに合わせて、本場の台湾でもイベントが開催された模様です。
率直に羨ましいですし、日本でなんでこれをやってくれないんだろうと思いますが、これは仕方ない話でもあるんですよ。“サンダーボルトファンタジー”自体は日台コラボ企画ですが、布袋戯は台湾で生まれ、台湾で暮らしてきた人々と共に歴史を刻んできた文化ですからね。
最高視聴率97パーセントという伝説を生んだ70年代での、プロパガンダ利用や放送禁止も含めた当局からの干渉といった布袋戯の歴史は、そのまま台湾現代史とも連結しています。
そして、こういう歴史の厚みが、台湾と日本のファンイベントの差となって表れるんです。
政治や権力とそれに対する痛みをも伴った歴史というものからは、娯楽であっても無縁ではいられない。その背負った歴史の積み重ねこそが、その文化の本場をどこに定めるかを決めるということではないでしょうか。
なので、こういう布袋戯の濃くて熱いファンイベントを日本人が直接体験したいと思うなら、日本人の方が台湾に行った方が良いです。ニトロプラスかKADOKAWAが主催となって、台湾布袋戯ツアーなんてイベントをやってくれないものでしょうか。お値段はそれなりにするでしょうが、応募する人は出てきそうです。武侠小説版を書いた分解刑さんがガイド役を務めてくれたら申し分ないですな。
あと、ドキュメンタリー映画「台湾、街かどの人形劇」もそろそろ見たいです。
Amazon Primeで配信されてるからマイリストに入れてそれっきりになってましたが、サンファン最終章公開間近ですし、いま見るのも縁じゃないかな。