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D&D5e自作組織:ソード・ダイナスティ
TRPGを遊んでいてやってみたくなることのひとつに、「自作データを作る」というものがあります。そして、この自作データの中には、アイテムじゃ呪文やクラスだけでなく、組織も含まれます。
そんなわけで、今日はてんぐ謹製の自作組織、フォーゴトン・レルム世界はフェイルーン大陸のソードコースト地方で活動する秘密結社“ソード・ダイナスティ”をご披露いたします。
地下結社ソード・ダイナスティ
ソード・ダイナスティ概説
“剣王朝”とはソードコースト地方の秘密結社である。
彼らは謀反人(と彼らは主張する)アゲアロンに弑殺されたウォーターディープ最後の武王ローラーの大望を継ぐ者であると称している。
諸都市や地域王国によって分断されたソード海域を統一し、法を効率的に執行する能力を持った官僚たちによる統治機構と、ラスカンの海賊団やオークの軍団メニーアローズ王国やドラウの地下都市メンゾベランザンを始めとした文明社会への脅威からの恒久的な安全と、物流を妨げる社会的な障害が一切存在しない経済圏を兼ね備えた社会を誕生させる。
その大義を実現させるためには、ただ一人の君主の元に全ての権力を集約させ、君主と人民が直結された帝国を建設しなければならない。それが彼らの主張である。
ソード・ダイナスティの大義は、現状の統治体制、とりわけアゲアロン以後の執政官会議によって統治されるウォーターディープ市とは完全に相容れない。彼らの側もそれは熟知しており、自らの存在を完全に限りなく近く秘匿してきた。(この点においては、かのハーパーズ以上に徹底してきた)
彼らはソードコースト地方各都市を治める諸侯やギルド長などの有力者の身辺に構成員を送り込んで無自覚なシンパに仕立て、あるいは新聞や大道芸人や吟遊詩人によって世論を誘導させるという間接的な手法を好む。
ウォーターディープ市を騒がせた「消えたドラゴン金貨」の争奪戦や、「フォージおじさんの醜聞」——ネヴァーウィンター市の守護卿フォージが失脚し一度は病床に倒れた前任者ダガルト・ネヴァレンバー卿が復権するなどの事件がソードコースト地方を揺るがせる中、ソード・ダイナスティは権門貴顕や市井を問わず、安定を求める人々の間に着実に浸透している。
ソード・ダイナスティの構成員は同志や自らの親族さえも切り捨てることを厭わぬ忠誠心を結社と大義に捧げる。
しかし、ウォーターディープ市を含めたソードコースト地方そのものを危うくする事態に対しては最優先で立ち向かう。あくまで、自らの存在を露見させないことが大前提ではあるが。
ソード・ダイナスティのモットー、信念、目的、典型的な使命
モットー:ひとつの剣、ひとりの君主、ひとつの国。すべてはひとつの帝国のために。
信念:ソード・ダイナスティの信念は以下のように要約できる。
・剣は納め秘したるときが最も力を持つ。
・我らを知るは我らのみ。知るべきでないものには剣を与えよ。
・王朝への貢献はすべてに優先される。
目的:ソード海域全地域を統一した帝国を建設し、祖師ローラー武王の復讐を果たす。
典型的な使命:ソード・ダイナスティの典型的な使命としては、ソードコースト地方の有力者と親交を結ぶ(あるいは逆に脅迫し続けられる弱みを握る)、抑圧された民衆の蜂起に助力する、政治的あるいは破壊活動など大規模な工作に使える財宝やアーティファクトの捜索と入手などがある。
ソード・ダイナスティへの参加、内部の階級および構成員の特徴
ソード・ダイナスティが同志に何より求めるものは、大義への忠誠である。
この結社への参加は、混沌の属性を持たず、かつ結社の大義に対する忠誠を示さねばならない。(無論、それ以前に、この結社の存在を自力で探り出し、適切に接触することも必要となる)
受け入れるか否かはその地域の幹部に委ねられるが、中には向後の離反防止のために、結社の監視員の立ち合いのもとで無作為な殺人を強いてその証拠を握る例もある。(これは「投命状」と呼称される)
なお、結社名に“剣”を冠してはいるが、構成員の全てが剣を用いるファイターではなく、ウィザードやウォーロックなどの呪文使いやクレリックやパラディンなどの聖職者も含まれる。
ソード・ダイナスティ内部の階級は、以下の階層に分けられる。
※なお名声点についてはDMG P22を参照のこと。
名声点:1 コモン(数打ち)
名声点:3 アンコモン(業物)
名声点:10 レア(大業物)
名声点:25 ヴェリー・レア(天下の名剣)
名声点:50 レジェンダリー(至宝なる剣)
さらに上記の階級とは別に、「アーティファクト」の階級を持つ最高指導者がいるとも言われている。
この最高指導者については結社内部でも正体を知る者はほとんどいない。結社内ではウォーターディープ武王家の末裔であるとされているが、「死霊騎士に転生した武王ローラーその人ではないか」と囁くものもいる。(その逆に、武王ローラーやその末裔とも何の関わりもない詐欺師が無から作り上げた大ホラだ、という説もある)
ソード・ダイナスティ構成員の中には、階級の他に「フレイム・タン」や「フロスト・ブランド」や「ディフェンダー」などの名高い魔法の剣に肖った称号を持つ者がある。
このような称号の持ち主は高い、あるいは特異な能力や個性を持っているケースが多い。ただし、その称号となった剣を実際に所有しているわけではない。
他の組織との関係性
まず、ソードコースト地方に存在する結社の大半が、このソード・ダイナスティの存在をほとんど認知していない。辛うじて断片的な情報を得ているのみである。
ハーパーズは専制的な支配者を憎む信念に基づき、この結社への警戒を強めている。
一方ゼンタリムは、マンシューン派との血みどろの内紛を演じていたドゥーム・レイダーズ派が手頃な同盟相手と考えている。
領主同盟の中では、ウォーターディープの現公開執政官であるレイラル・シルヴァーハンド女侯および元の公開執政官であったダガルト・ネヴァレンバー卿が「武王家の亡霊」としての程度にはその存在を認知できているが、同盟の会議で名前を挙げるほどの情報は得られていない。
エメラルド団はソード・ダイナスティに対して中立というより無関心である。
ガントレット騎士団も全体としてはエメラルド団と同様だが、騎士団に属する者の中にはソード・ダイナスティの自覚せざるシンパまたは正式な構成員になった者もいる可能性がある。
終わりに
てんぐ謹製自作組織、いかがだったでしょうか。
今後もしてんぐがD&D卓を立てるときは、この結社をヴィランとして出していきたいなと思ってますし、またこの記事を読んだ方で、「使ってみようかな」って思った方がいらしたら、遠慮なくお使いください。
そして、使い心地や所属構成員について、Discordなどでお聞かせいただければ幸いです。
余談
この自作組織ソード・ダイナスティの元ネタは、中華ファンタジー時代劇の「剣王朝」でした。
モデルとした時代は春秋戦国時代末期、つまり古代なので、剣と魔法のファンタジーをやるには相性が良いんですな。
これも陳情令やサンファンが好きな人、もちろんD&Dユーザーにはジャストフィットしますので、配信などで是非一度ご覧ください。
なお、アニメ版の方については全力でノーコメントでございます。
何も聞くな。良いね?
また、「D&Dの自作データを作ってみたいな」って思わせてくれた切っ掛けは、こちらの記事でした。
古いFF世代として、このネタには反応せずにはいられなかったですね。
きっかけを与えてくれた感謝と共感をこめて、こちらでご紹介いたします。