東京15区補選で自民が失ったもの
先の三補選のひとつ、東京15区で立候補した酒井なつみさんを支援してた方の連続レポートを偶然拝見しました。現場にいるからこそわかる、SNSなどからでは伝わりにくい「実際の選挙戦」が感じられる良いレポート記事ですので、ご一読を薦める次第です。
さて、てんぐが注目したのが、この総括から見てとれた東京15区の自民党支持層の動向、というより心境でした。
こちらの記事の指摘にもあるように、この補選での自民支持層の投票先は綺麗に分散していたことがわかります。
同時に、この東京15区補選での投票率は、前回と比して著しく低下していました。
この二点から、今回投票所に足を運ばなかった有権者の多くは自民党支持層だったことが想像できます。
また、投票所に足を運んだ自民支持層も、酒井さんだけでなく須藤元気氏にも投票する人が多い点も注目に値します。
イデオロギー的には自民党と真逆といえる須藤氏への投票が、維新候補の金澤氏よりも多かった理由としては、「地元出身」という背景が大きく作用していることが指摘されます。また、前江東区議であった酒井さんを知っていたからか、その選挙活動にも好意的な反応を見せる層も多かったそうです。
ここから、東京15区の自民支持層は、イデオロギーではなく日常の暮らしに根差した「生活保守」と言える層だと考えられます。
それらをまとめていくうちに、「自民は候補者を擁立していれば、東京15区は勝てたんじゃないか?」という仮説が浮かんできました。
そりゃあ、裏金問題の逆風に晒されるわけですし、つばさの党の選挙妨害だけでなく、街頭からも厳しいヤジも受けるでしょう。
それでも自民党の看板を背負って出馬する候補がいれば上記の「生活保守」層と密接に繋がっている自治体議員だって積極的に動けます。また、創価学会だって動かないはずはないですし、従来のゼロ打ち勝利とはいかないでしょうが、開票開始から3時間くらいで当確が出る、くらいの辛勝は狙えたはずです。
でも、自民は動かなかった。
東京15区の自民支持層からすれば、自分たちの投票先となる選択肢を失ったわけです。当の、自民党だけの都合で。
自分がここの自民支持の「生活保守」層だとしたら、これまで支持してきた党から自分たちが無視されたと大きな失望を感じます。
そして、そんな失望を味わった層が、これから先に支持する対象を変えないとどうして言えるでしょう?
国政選挙だけでなく、自治体選挙における投票先や、ポスター掲示などの支援対象を変えないとどうして言えるでしょう?
何より、日常会話の中で「自民の方がマシだから」とこれまでのようにどうして言えるでしょう?
東京15区補選で自民党は単に国会内の一議席にとどまらず、江東区有権者の24%を占めていた自民支持層も失っていくのかもしれません。
もっとも、これは今回の補選における自民党に限った話ではありません。
立憲民主党にしても、選挙区に自党候補者がいない、いわゆる「空白区」が多いのが問題とされています。
そんな中、こんなニュースが先日出ました。
候補者は立てれば良いという問題でもありませんが、それでも空白区をそのままにして総選挙に臨んだとしたら、それは不戦敗と変わりませんし投票率だって上がりません。
何としても、立憲も全選挙区に候補者擁立を果たしてほしいです。
同時に、自らの手で日本の社会を変えようと考える人も、立憲民主党から出馬してほしいです。
追記 選挙戦における電話掛けの意義
電話帳を頼りに行う電話掛けも選挙戦の重要な活動のひとつです。
電話掛けはてんぐも何回かやったことがありますが、相手の声を実際に聞ける貴重な体験でした。また、選挙が行われることを周知するだけでもやる意義はあります。
SNSでは迷惑電話と変わらない無意味な行為くらいに語られがちですが、選挙戦に実際に参加してる人なら絶対に軽視できない活動なんです。
ただ、最近では固定電話を使用するご家庭も減ってきてますし、いつまでこの活動が通用するのかなとも思いますが。
東京15区での電話掛けの模様や反応についてもレポートされていたので、こちらもシェアします。
これもまた、生に極めて近いいまの世論というものの声ですね。