てんぐのスターウォーズ語り:アソーカ5話はマジヤバすぎた
というわけで、ドラマアソーカ5話ですが、これはもう「エラいもんが見れちゃったな」&「デイヴ・フィローニ、あんたマジですげぇよ」の嵐でした。
これ、実写、アニメ、映画にテレビシリーズ、それにコミックや小説、全てを含めた全スターウォーズ作品の中でも五指に入れて良いくらいの傑作エピソードでした。
日本でも配信されて一日経ったことですし、ネタバレ全開で思うところを書き綴っていきたく思います。
何もなかったことになんかしない、全てをつなげていくフィローニの流儀、その象徴としてのアナキン
デイヴ・フィローニのスターウォーズ作家としての流儀は、雑多極まりない諸設定を、「なかったことになんかしない」という精神にあります。
スローン大提督の登場はその代表選手ですし、他にも非正史とされたエピソードや設定の数々を、形を変えて拾い上げていくフィローニの手法には定評が高いです。
そして、そんなフィローニの流儀を象徴するのが、今回のアナキンの姿でした。
あのアナキンは今まで見たどの姿よりも強く大きく見えました。
アソーカとアナキンの対決と言いますと、反乱者たちS2シーズンフィナーレのマラコアでの決闘が浮かびます。
あの時のアナキンはダースベイダーで、四肢は柔軟を欠く機械で、なにより「アナキン・スカイウォーカーは弱虫だ! だから私が消し去った!」と自分自身の一部を否定していました。そんなベイダー=アナキンに対して、アソーカは「私の知ってるアナキンは、もっとずっと強かった!」と、センチメントも含めてそう思っていそうです。
そして、今回登場したアナキンは、まさに彼女が知っていたあのアナキンでした。
ジェダイ騎士であったことも、共和国グランドアーミーの将軍だったことも、シス卿になってしまったことも、そのどちらも今のアナキンはなかったことにはしないもの、全てを自分自身の姿だと受け入れられている。アソーカへの最後の訓練での千変万化する姿や表情は、そんな彼の境地を如実に描写してました。
また、マンダロア包囲戦の幻影を「この戦いは知らないな」と語り、少女時代の姿に戻ったアソーカから説明を受けてましたし、その少し前、訓練のスタート時にセーバーを抜くアナキンに「あなたとは戦いたくない」と告げるアソーカに「どこかで聞いたセリフだな」と、説明不要、EP6でのデススター内でのルークとの対決シーンの話を持ち出して切り返してました。
これは映画のナンバリングシリーズとアニメのクローンウォーズ、ふたつの世界の接続といった趣きも感じます。
でも、今回のアナキンの表情で一番印象に残ったのは、アソーカが最後の訓練を終えたとき、自分という壁を乗り越えて正しい答えにたどり着いたときに見せた、泣き出しそうなくらい寂しそうな表情でした。
あの瞬間に、「スカぴょんとお調子者」として始まったふたりのドラマは、弟子の巣立ちという正しい形によって終わりを告げた。それは泣きたくなるくらい寂しいでしょうし、そして自分自身のマスターとしての修行の修了も実感できた。アナキンの最後の笑みからは、そんな気持ちが伝わってきました。
アナキン・スカイウォーカーって、やはりチャーミングな男だったんですね。いつぞやも言いましたが、弟子にメチャ甘なところも含めて。
フォースの光明面との接続に至る行為
アソーカが果せたアナキンの最後の訓練の修了、それはかつてルークがベイダーをアナキンに戻したときと同じく「セーバーを捨てる」という行為でした。
そして、これは反乱者たちS2で、ケイナンがロザルのジェダイ寺院跡地で見たヴィジョンで、テンプルガードの幻影に対してあえて戦いを放棄して首を垂れたことにも通じます。
ケイナン、ルーク、そしてアソーカ。
この三人の共通性から考えると、「殺したくない相手は、何があっても殺さない」という断固たる意志を示す。
訓練をすべて終えた光明面のフォースユーザーがこれを行ったとき、その身にはフォースの根源にある光明面と接続されるのではないでしょうか。
事実、ケイナンはヴィジョン内で試練を乗り越えた後、失明しつつもモールを撃退するなどフォースは強化されました。ルークもマンダロリアンS2でギデオンご自慢のダークトルーパー部隊を単身で壊滅させています。
EP9で暗示されたように、シス卿はマスター殺しによって歴代の暗黒卿の怨念と暗黒面のフォースを継承するとしたら、真のジェダイの最後の試練はこれと対照的であると言えます。
年月と戦乱の中で権威主義的な結社と化した騎士団からは絶えてしまっていた、真の「光明面のフォースユーザー」としてのジェダイが、ここに蘇りはじめた。そう考えることもできます。
もうひとつ想像するなら、フォースの根源は今回の舞台となったはざまの世界の更に奥の領域にあって、自我をとどめたフォースの幽体も、本来はここに存在してるのかもしれません。
ジェイセンくんの今後とその暴君ママ
今回大手柄を立てたジェイセンくんですが、父親譲りのフォース感応力があり、当人もジェダイに興味津々なようですし、EP9のエクセゴル決戦での人民の艦隊に混ざってるゴースト船内には、ライトセーバーをぶら下げスペクター7のコールサインを得た壮年の彼の姿があっても不思議はないかな。
で、このスペクター“7”という番号で思い出したんですが、柳生十兵衛の幼名が七郎なんですね。
まあ、偶然だとは思いますけど、ね。
そんなジェイセンくんと割と歳が近そうなフォース感応者と言いますと、フリーメーカー三兄弟の末弟ローワンくんが浮かびます。
ローワンも最終回でのエンドア戦勝パーティでルークと話してて弟子入り志願みたいな展開になって、後のアレコレがあるから「嫌な予感がする」モードに入りかけましたが、こんな情報もあるようです。
いやあ、良かった良かった。ローワンが無事そうなら、それに越したことはないよ。
できればジェイセンくんと出会って、友達になってあげてほしいな。
ママもLEGOで共演した仲なわけだし。
で、そんなスペクター7の保護者はと言いますと、流石にそろそろ軍本部の方からの目が厳しくなってきたようです。
なんというか、ヘラ姐さんの場合、ヤン・ウェンリーと違って「査問会に掛ける」って言われても抗議も弁護も難しいんだよなあ。
というか、カーソンたちに対する無茶ぶりの数々を見てると、「暴君」という言葉が浮かんできます。毎度のことながら、反乱者たちの頃からそうでしたが。
カーソンたちも「楽しそうだと思ったからついてきたけど、思ってた以上にヤベえ人だな、この将軍」って思い知らされてそうです。まあ、自業自得ではありますが。
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