見出し画像

年末年始は銀英伝外伝でノイエ地上波の予習をしよう

 年が明けて1月16日(火)の深夜から、日テレでノイエ銀英伝こと銀河英雄伝説Die Neue Theseが放送されます。
 先のeテレでのファーストシーズンとセカンドシーズンを見ていた方も、全くの未体験の方も、是非ともご覧いただきたいです。

 なお、こちらがてんぐがeテレ放送時に書いたガイド記事です。

 さて。

 この年末年始の間に、このノイエ銀英伝の世界観について予習をしておけば、放送開始後も楽しめること請け合いです。
 といって、いきなり本伝を読んでしまうのも先の展開がわかってしまうのが悩みどころ。

 というわけで、本日は名物キャラの過去と人物像を理解できる作品として、原作の外伝シリーズをご紹介します。


黄金の翼

 まずは帝国サイドの主人公であるラインハルトとキルヒアイスにスポットを当てた黄金の翼から。

 最愛の人との離別を強いられ、その人を取り戻そうと誓ったふたりが、後に黄金の輝きとともに回想される冒険の青春時代の話です。

 ちなみに、これは短編集となっていて、その中の一編は自由惑星同盟が帝国軍と初めて干戈を交えたダゴン星域会戦の模様です。
 ノイエでの最初の戦いであるアスターテ会戦でも引用されているので、こちらも予習しておいて損はないです。
 ついでにいうと、この時の同盟軍艦隊の参謀長をつとめた“ぼやきの”ユースフ・トパロウル中将、いま読むとにょういずみにょう大泉洋めいて見えます。
 三谷幸喜の演出と脚本で舞台化とかできないかな、この話。

螺旋迷宮

 さて、同盟サイドの主人公ヤン・ウェンリーの過去を描くのが、こちらの螺旋迷宮です。
 若き日の、ちょっと尖ったというより未成熟なヤン青年と、後に彼の艦隊における不可欠な幕僚となるキャゼルヌ、アッテンボロー、ムライ、パトリチェフという面々との出会いは、これもまた黄金の翼とは一味違った青春ドラマといった趣きがあります。
 特に、ヤン艦隊の参謀長&副参謀長コンビを組む、「私は万事型どおりにしかできない」と言いながら隙のない処理能力を見せたムライと、「私は建前を頭から馬鹿にする人を信用できないんですよ」と自らの価値観を危機的な状況でのんびりと語れる胆力を見せるパトリチェフの“大人”あるいは“社会人”としての姿勢は、今見ても憧れすら感じます。
 同時に、この銀英伝という作品における「歴史の1ページ」という側面についての意識を喚起できるのもポイントです。

千億の星、千億の光

 こちらもラインハルトとキルヒアイスが登場するんですが、真の主役は同盟軍陸戦部隊の華麗なる独立愚連隊だった頃の「薔薇の騎士ローゼンリッター」連隊です。
 この亡命者部隊については、以前にもこんな記事を書いていました。

 後にヤン・ウェンリーの最も忠実で最も危険な幕僚となるワルター・フォン・シェーンコップの彷徨える野良犬騎士時代は、彼を理解する上で大きな補助線となります。

星を砕くもの

 今回ご紹介する最後の一冊が、最も本伝の時期に近い時期を舞台にした星を砕くもの
 ちなみに、この外伝の最終章を原作としたのが、銀英伝で最初に映像化された「我が征くは星の大海」です。
 そういえば、去年の今頃も4Kリマスター版が上映されてたっけ。見に行きたかったなあ。

 こちらで注目されるのは、ラインハルトとキルヒアイスが双璧こと、ミッターマイヤーとロイエンタールと出会うくだりです。
 これまでの外伝シリーズでふたりは後に幕僚となり宿将となる人々と出会い、その存在を認知してきました。
 しかし、この双璧とは星を砕く、即ち帝国を覆す「同志」として出会いました。この出会いをきっかけに、ラインハルトの戦いは冒険から歴史を動かす伝説の域に入っていくと言っても過言ではありません。

 ちなみに、この星を砕くものの冒頭の会戦でトンチンカンな参謀の相手をするストレスで超サイヤ人になりかねなかったラインハルトの姿と、中盤にかけて老獪な軍政の怪物にメガトン級の厄ネタを押し付けられたことを悟った八つ当たりで義眼の陰気な副官を更迭する宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥の姿も見どころです。

1/16からはノイエ銀英伝を見よう!

 とまあ、ざっとこんな具合に外伝シリーズを紹介してきたわけですが、これらを読まなければわからないってこともありません
 まったくの白紙状態から入って、もっと深く知りたいと思った後でこの外伝シリーズに手を出したって良いんです。
 今回の日テレでの放送を契機に、銀英伝の世界に入ってくれる新たなファンとの出会いを楽しみにしております。

いいなと思ったら応援しよう!