てんぐの読書感想:フォース・ウィング 第四騎竜団の戦姫〜ドラゴンランスの系譜に連なる大型ファンタジー登場!
ここ数ヶ月、早川書房が熱烈に推していたフォース・ウィング、てんぐも読了いたしました。
濃厚な濡れ場つきラブロマンスと竜騎手たちのスタンド能力じみた魔法に象徴されるファンタジーの融合は、確かに“ロマンタジー”と呼ばれるのもわかります。
でも、D&Dユーザーとしては、この作品に対しては「こいつはドラゴンランス戦記の後継者だ!」という思いが強かったですね。
※なおドラゴンランス戦記についてはこちらを参照してください。
ファンタジー世界における竜の乗り手というとFFの竜騎士もいるはずなんですが、こちらはあまり連想しなかったな。まあ、あの人たちは実際の戦闘時はジャンプ要員の槍使いで竜に乗って戦闘することってあまりないし。
しかも、作者の旦那さんがアメリカ軍人(やっぱり空軍所属なのかな)ということもあってか、軍事教練が行われる学校というものの空気もよく伝わってきました。
ただ、アメリカ軍の士官学校と違って、こちらのバスギアス軍事大学は生徒の死亡を予防する気がほとんどないときてます。
F-35は不適格な生徒に向かって自動的にバルカン砲をぶっ放してミンチにしたりしないでしょうが、こっちのドラゴンは「こいつ貧弱だな」と思ったというだけでドラゴンブレスでその訓練生を灰に変えます。しかも学校側がそれをどう思うかって、「そのチリ、後で掃除しておけ」くらい。
また、訓練生と比べて数があまりにも少ない竜騎手の座を巡って訓練生が訓練生の寝込みを襲って暗殺するような事態すら起こってます。そして主人公はというと、格闘技の訓練を切り抜けるために対戦相手にあらかじめ毒を盛るのが常套手段です。
昨今、「冒険者」とか「勇者」を養成する学校を舞台にしたファンタジー作品は多いですが、このバスギアス軍事大学ほど物騒で薄情な学校はそうそうないです。
それにしても、前述の濡れ場と、王国と過去の反乱の真実、そして噂でチラホラ聞こえたラスト1ページで全てがひっくり返るクリフハンガープロットは、ゲーム・オブ・スローンズなど海外ファンタジー戦記の文化を感じます。
この作品も面白かったですし、ここから先はさらに面白くなるのを確信させる、「超大作長編ドラマのシーズン1」といった趣きのある作品でした。
これは読んでおいて損は絶対にないですし、一度ラストまで読んだら二周目に入ることも推奨します。一周目では気付かなかったことに気付けるはずですし。