食から見た歴史の話:和食展見に行ってきました
三連休をずーっと自宅でミンサガに費やすのも不毛だよなあと思った時に、上野の国立科学博物館で開催されてる和食展のことを思い出しました。
聞いたところによると、食材となる野菜や魚介類だけでなく、卑弥呼や平安貴族の食卓の再現もあると聞いて、興味が沸いたのでチケットを買って行ってみました。
そしたらまあ、えらく混んでたのでビックリしました。
三連休の中日で、しかも恩賜公園では旧正月と上野動物園のパンダ合わせの出店イベントもあったにしても、これほど人が来るとは思ってなかったです。
世の中、知的好奇心が豊かな人は多いものです。
内容ですが、やはり食と歴史のコーナーが見応えありました。
食にまつわる解説が他の歴史的な背景と接続する、これがなかなか面白かったです。
例えば、安土城での織田信長による徳川家康への饗応では、献立だけでなく膳などから貴人をもてなす最高級の接待であるという解説は、翻って信長がいかに家康の処遇に神経を使っていたかが伝わってきます。
時代劇でお馴染みの江戸庶民の外食文化の解説も面白かったですが、その時代を経ての近代以降の時代の話も面白いです。
日本で洋食文化、特に肉料理が広まったキッカケが、明治天皇が明治5年くらいに洋食に興味を示したという話が広まったことだそうですが、これって要するに、明治政府が必要と感じていた西欧化推進政策の後押しにしたいということでしょう。
だからなのか、明治時代の洋食って、どれも高級志向が強いんですよね。
一方、中華料理の広まりについては「日清日露戦争以後に増えた中国大陸での様々な活動をしてきた人たちが当地の食文化を持ち込んだ」と解説してますが、同時にこの中華料理を「値段の割に栄養価が高い」と評価されていたそうです。この辺からも、日本の中華料理は、その黎明期から庶民の料理だったことが伝わってきます。
そして、この中華料理を日本の庶民社会に広めていたのが、当時の大衆向け雑誌でした。
つまり、ここで日本の出版文化と食文化の歴史が交錯しています。
だからかな、食の歴史コーナーのトリを務めたのが、あのサザエさんの4コマと年表なのがすごくしっくりきました。
史料だけを見てると、近現代に入ると日本の食文化は激変したように見えます。
でもそれは、史料の量が多く幅が広いから、結果とした細かい変化も確認しやすいということなのでしょう。
そういった、「歴史学というもの」の片鱗を体感できたのが、今回最大の収穫でした。