オリエンタルD&Dへの道~キャラクター類型だけでも考えよう
今朝がたシネマートさんのこの記事がTLに流れてきました。読んでもらえればわかるように、武侠のヒーローはファンタジーRPGの「冒険者」にも通じる美意識や価値観を持った存在です。
でも日本のTRPGの環境では、なかなか武侠や中華時代劇風のオリエンタル世界で遊ぶ機会は得られません。強いて言えば、『カオスフレアSC』のミーム:暁大陸くらいかなあ。
なんかこう、あの武侠ものの世界観で気兼ねなく遊べないもんかなと考えていたら、毎度おなじみTRPGコラムサイト『パンタポルタ』さんのこんな記事が目につきました。
D&Dは正直あまり実プレイ経験はなかったので、世界設定を自作できるというのは初めて知りました。そして、世界設定を自作できるということは、中華風世界を一から作ることだってできるということでもあります。
さらに調べてみたら、過去の第3版時代には、そのままズバリ東方世界を舞台にした「オリエンタルアドベンチャー」という公式ソースブックも出ていたという話もあります。
なんだよオイ、希望とやる気がムンムンわいてくるじゃあねーかッ!(イタリアのギャングっ面で)
いける、いけるぞ! D&Dなら武侠RPGができる。流石は元祖RPGだ!
ただ問題は、5版でオリエンタルD&Dをやるための関連書籍をそろえるお値段。
世界設定を自作するために必要な『ダンジョンマスターズガイド』に加えて、本格的にD&Dを遊ぶために必要な『プレイヤーズハンドブック』、これあったら良いよねってクラスなどを網羅してるサプリメント『ソード・コースト・冒険者ガイド』『ザナサーの百科全書』。以上4冊を合計した金額、しめて税込み26,400円。
高っけえなおい。
というわけで、いきなりこの金額出しちゃうのも流石にアレすぎるけど、考えるだけならタダだよねってことで、とりあえずはオリエンタルD&Dでできそうなキャラクターのスタイルを、大分類にあたるクラスと小分類にあたるサブクラスに沿って考えてみます。
武林の達人
これができないんだったらオリエンタルファンタジーやる意味ないだろってくらいの王道ど真ん中のキャラクター。これをやるのに適したクラスといえば、やはりモンクでしょう。
モンクと言われると少林武僧とかドラクエの武闘家のイメージが強いですが、ちょっと調べてみると必ずしも出家剃髪した人でも徒手格闘専門でもなく、サブクラス:剣聖門を採用すれば、『射雕英雄伝』の丘処機や『笑傲江湖』の五岳連盟ばりの剣法の名手もできます。むしろ武侠ものでいう「武林の達人」たち全般を指すクラスと解釈して良さそうです。詳しくは、こちらのブログの解説を参照。
また、このクラスは気功も持ち味になるそうです。となると、サンダーボルトファンタジーの内力ゴリラ、竹を大量殺戮兵器に変えることにも定評のある殤不患もモンクの中に入るかな。
江湖の遊侠
足の向くまま気の向くまま自由闊達に江湖をさすらい、義侠の行いをなして暮らすスタイルがこの江湖の遊侠。武林の達人と同じくらいの武侠・中華時代劇の花形スタイルでもあります。
江湖渡世の遊侠はそれこそ千差万別、多種多様ですが、イメージで言えばあまり重装備に身を固めるより愛用の得物(往々にして一振りの愛剣だったりする)を携えた身軽な方がイメージに合います。
となると、クラス:ローグがしっくりくるでしょう。
このローグもサブクラスの個性に幅が広く、例えば『月に咲く花の如く』の周老四みたいな典型的な盗っ人としてのシーフから、『三侠五義』の“南侠”展昭の前身(『開封府』だと現役)のような孤高の剣客としてのアサシンまで色々あります。
個人的に一番注目してるのが、サブクラス:スワッシュバックラー(活劇剣士)。
本来は『三銃士』や『怪傑ゾロ』のような近世を舞台にした颯爽たる剣術を繰り出すヒーローを示しますが、中華時代劇でも同じスタイルはもちろんできます。
色々候補はいますが、一人だけを挙げるなら『琅琊榜<弐>』の主人公・蕭平旌でしょう。
こういった快活な雰囲気が似合う剣客キャラがローグ:スワッシュバックラーなのでしょう。(まあ、平旌自身は父や兄のためのスカウトになりたがっていた節もありますが……)
朴刀・桿棒の豪傑
北宋代の講談のジャンルの中には「朴刀」「桿棒」または「軍談」というものがあって、前述の江湖の遊侠スタイルとは逆の、重い甲冑に身を包み長大な得物を振るって万人の敵を蹴散らすという豪傑スタイルでしょうか。
このスタイルをやるクラスとして最適なのは、やはりファイターでしょう。
『琅琊榜』の蒙摯や霓凰郡主といった猛将たちもこのスタイルの例として挙げられますし、サンダーボルトファンタジー1期時代の捲殘雲も該当しますが、もっとも相応しいのは、やはりかの梁山泊に集った百八星の豪傑たちでしょう。
本当にこのOP曲はテンション上がって好きだったんだよなー。なんで変えちゃったんだろう。
(※12/27追記)
水滸伝同様に、「隋唐演義」の英雄好漢たちも、この「朴刀・桿棒」型のヒーロー像に当てはまります。基本的に脳筋もといファイターですが、秦叔宝や宇文成都などを見てると、むしろパラディンというクラスの参考になりそうなキャラクターも見られるのが特色です。
漂泊の旅芸人
オリエンタルファンタジーのヒーローは、何も剣客や豪傑たちだけとは限りません。町から町へ芸を売りながら旅をする芸人たちの中にも、恐るべき才と技を持った者もいるのが江湖という世界。『月に咲く花の如く』の周瑩も、本編スタート時は(インチキ)大道芸人をやっていたものでした。
この旅芸人のクラスとしては、バードというものがあります。
このバードってクラスも、パーティのサポート役からバリバリの武闘派まで、「楽派」というサブクラスの選択次第でこなせるそうです。
こうなってくると頭に浮かぶのは、サンダーボルトファンタジーの浪巫謡と睦天命ですね。
なおてんぐは、剣の楽派に惹かれますな。思いっきり浪やんのスタイルになりそうですが。
法術・神仙術の使い手
オリエンタルファンタジーでの魔法、法術や神仙術といわれる例も多いですが、『封神演義』や『西遊記』の例もありますし出せないという道理はないです。つい先ごろも、『海上牧雲記』で帝国に反乱を起こした蛮族軍のシャーマンがメテオ降らせたり召喚魔法使ったという例もありますし。
さて。D&Dではもちろん魔法を使えるクラスは色々あるわけです。オーソドックスなウィザードから神や祖霊の力を呼び起こすクレリックやドルイドなどなど。
中華ファンタジーのキャラから例をあげれば、三蔵法師や公孫勝といったメジャーどころはもちろん、サンダーボルトファンタジーの丹衡・丹翡兄妹も当てはまります。盗賊にして詐欺師の凜雪鴉も、クラスという点で考えるとこちら側の可能性があります。まあ、あのキセルマン底を見せてないから断定は難しいんですが。
最近の中華時代劇は結構ファンタジー方向に振ってくる例も多いのですが、個人的には『擇天記』が一番オススメしやすいかな。
雰囲気はかなりライトファンタジーっぽいので敷居は低く、何かしら突っ込みながら見るのが好きって層にはかなりオススメできます。
とりあえずの締めの一言。
まあ正直ね、「能書き垂れる前に買え。というか遊べ」というご指摘はもっともだと思います。だっててんぐ自身そう思ってるから。
というかこの記事、なんのかんの言って結局いつもの中華時代劇紹介コーナーと化してるしね。
というわけで。もし「D&Dの何たるかをお前に伝授してくれよう」というご奇特な方がおられましたら、お気軽にご一報ください。そして、実戦経験を経たうえで、さらにD&Dオリエンタルファンタジーの実現を目指していきたいです。