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アイスリボン後楽園ホール大会「不思議の国のアイス2020」の感想

ニコ生中継にして観戦したので、その感想を書いておこうと思います。

尚、詳しい試合レポートは公式ブログを参照して下さい。



第1試合 星ハム子&Yappy vs つくし&星いぶき

コスチュームを入れ替えて登場したハム子&Yappy組が優勢に見えたが、一瞬の隙を突いた、いぶきがハムロールで勝利。Yappyとハム子が引き離れた瞬間を狙う、いぶきの勝負勘が光る試合だった。


第2試合 ラム会長&尾﨑妹加 vs 真琴&真白優希

試合開始前から、入場する相手チームを近づく真白。奇襲というよりも“奇行”を見せる、いつも通りの真白ワールドを展開。タッグらしい連携にもチャレンジしていたが、どうにもグダグダで、まだまだ自分の事で精一杯の様に見えた。

試合は真白の誤爆から、ラム会長が押さえ込んで勝利。


個人的な好みの話になるが、今大会で私が一番惹かれたのは、このBANDE。
軽量級と重量級、怪奇派ヒールレスラーと正統派アイドルレスラー。まったく相反する2人なのだが、反発する事無く、お互いを引き立て合っているのが素晴らしい。

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特に2人が並んだ時のフォルムの美しさ、しっくり来るものがあって、目を奪われてしまう。ラム会長のコミカルな存在感と妹加の持ち前のアイドル性が、まるでアニメのキャラクターを見てるかの様な気持ちにさせるのだ。妹加がエネミー軍入りした事もあり、今後も組む機会が増えそうな2人に注目していきたい。


第3試合 宮城もち&青野未来 vs 藤田あかね&朝陽

フランク対決となった、この試合。実際、多くの時間をもちとあかねで争っていたが、実力派同士の戦いは見応えがあった。拮抗した試合展開だったものの、やはりタッグ歴が長い分だけオレンジサンライズに分があったか。個人的にAWGでは青野選手を推しているので、彼女の出番が少なかったのは悲しかったり…。


第4試合 鈴季すず&雪妃真矢 vs 柊くるみ&バニー及川

戦前の予想通り、ぎくしゃくした動きを見せる前王者と現王者チーム。そんな2人の化け物に対し、もう1人の化け物くるみが対抗。王者2人を相手にしても、1人で試合を作ってしまうのだから、この人のポテンシャルには改めて驚かされる。バニーも健闘を見せるものの、結局は個人能力が物を言い、teeter-totterが勝利。連携力があれば崩せた気もするが、急造タッグなのはお互い様だったか…。


第5試合 藤本つかさ&HIRO'e vs 山下りな&トトロさつき

藤本つかさがテキーラ沙弥のコスチュームを着用するサプライズもあったが(本来のコスチュームを家に忘れてきたらしい)、この試合の見所となるのは、やはりHIRO'eと山下の元同門対決だろう。HIRO'eの引退延期があればこそ組まれた、まさに神からの贈り物である。

試合前には感傷的なツイートをしていた山下だが、この人の持ち味は体と体をぶつけ合う事で会話が出来ることではないだろうか。もっと言えば、その会話が観客にも聴こえて来る事に、この人の凄みがある。先日の世羅戦もそうだったが、この日のHIRO'eとのエルボー合戦からも、痛み以上の多幸感が感じられた。

試合自体は負けてしまったものの、改めて山下の名試合製造機ぶりを実感。やっぱすげーな!山下!


第6試合 世羅りさ&松屋うの vs 朱里&本間多恵

いきなり獅子舞の姿で入場してきた、獅子舞ポテト。出オチのインパクトだけで言ったら、間違いなく優勝だろう。特に水を得た魚の様に舞い狂っていた、松屋うのが印象的だ。まさか「#俺たちの松屋うの」として踊り続けた成果が、こんな形で発揮されるとは…。これだけ良いキャラを貰ったのなら、もはや“獅子舞うの”に改名しても良いぐらいである。

話を試合に戻そう。賑やかな試合前とは裏腹に、試合自体は非常に硬く、今大会の唯一の引き分けとなった。Joint army同士の対戦という事もあって、お互いに関節が決め難かったのかもしれない。

試合後には、世羅りさと朱里のFantastICE選手権試合が決定。試合中、どうも世羅が朱里を見定めてる様に感じたのだが、これが理由だったか…。こちらも楽しみである。


第7試合 つくし&星いぶき vs 藤田あかね&朝陽 vs ラム会長&尾﨑妹加

準決勝の第1試合は、タッグチームによる3WAYマッチ。しかも、ノータッチルール採用という事で、ただでさえカオスな3WAYマッチが実質6WAYマッチに。ほとんどバトルロイヤル戦を見ている様であった。

目まぐるしく状況が変わるリング内は見ていて楽しいし、番狂わせが起こり易いのも面白そうではある。ただ、「これがタッグの試合なのか?」というと首を傾げてしまう。あまりにもカオス過ぎて、タッグマッチの本質からは離れてしまった印象は否めない。

試合の方は、いぶきが朝陽からフォールを奪って勝利。1回戦に続き、またしても、いぶきが1対1の状況を制した形だ。


第8試合 鈴季すず&雪妃真矢 vs 藤本つかさ&HIRO'e

第6試合が引き分けた事により、この試合は通常のタッグマッチとなった。実力者同士の対戦という事もあり、タッグマッチらしい試合が展開される。やはり、タッグのトーナメントとしては、この試合形式が相応しい気がするのだが…。

試合の方は、すずのジャーマンが決まって、teeter-totterが勝利。目を覆いたくなる様な誤爆もあれば、目が覚める様な連携も見せるteeter-totterは、まさにタッグ名を体現していると言えるだろう。


第9試合 WUWワールドアンダーグランドレスリング女子王者選手権試合20分1本勝負 チェリー vs テクラ

テクラの帰国前、最後のタイトルマッチとなった、この試合。真正面からグラウンドを仕掛けるテクラだったが、やはり寝技に関してはチェリーが1枚上手か。チェリーの優勢で試合は進むものの、テクラが凶器攻撃でペースを戻すと、最後はベルトへの執念を見せて勝利した。

WUWのベルトを通して抗争を繰り広げてきた、テクラとチェリーだったが、試合後は互いに感謝の言葉を贈り、リマッチも約束。物語の結末としては、これ以上ない大団円である。


テクラについての個人的な思いを書いておくと、私がアイスリボンで初めて興味を持ったレスラーがテクラだった。
今年に入ってから女子プロレスに興味を持ち始め、たまたま見た、つっかのツイキャスで、その存在を知ったのだと思う。

「え?外人?」「テクラ?何者?」といった感じで、興味をそそられたのを覚えている。そこからアイスリボン全体にも興味を向け始めるわけだが、もしも、テクラがいなかったら、私はこのブログを書いていなかったかもしれない。

地下プロレス王者という怪しい肩書きに加え、蜘蛛をモチーフにしたキャラクターと、これだけ癖の強いレスラー像を異国の地で表現するのは難儀だった事だろう。だが、彼女のプロレスへの情熱や日本へのリスペクトは言葉を越えて、多くのファンに伝わったはずである。

妹加のツイートによると、来年の冬に再来日する予定との事。再会を楽しみしたい。


第10試合 つくし&星いぶき vs 鈴季すず&雪妃真矢

流石に両者、決勝にまで上がってくるだけあって、レベルの高い試合が繰り広げられた。teeter-totterは2試合こなした事で連携面の向上も見受けられたが、勝ったのはSpringMeteor。やはりタッグチームとしての完成度、そして何よりも、つくしの絆トーナメントに懸ける思いが勝因ではないだろうか。


試合後には、つくしがICEx∞挑戦を表明し、9月のタイトルマッチが決まった。

正直、すずとつくしのタイトルマッチは、もう少し後で見たかった気もするのだが、むしろ初防衛戦だからこそ、組まれたカードと言えるのかもしれない。

ICEx∞を戴冠し、アイス初の週プロ表紙も飾り、ノリに乗ってる鈴季すず。この17歳の王者にはアイスリボンのファンや関係者の大きな希望が託されている。はっきり言って、ほとんどの人がすずの防衛を願って止まないのが現状ではないだろうか。

そんな状況で王者の対角に立つ事は、壮大な貧乏くじを引くようなものである。この役目は並みのレスラーでは務まらない。絶対的な覚悟と信念を持ったレスラーでなければ、この重圧に耐えられないだろう。

だからこそ、つくしは挑戦を逡巡し、自らを追い込む為にも絆トーナメント優勝という結果を必要としたのではないか。結果がどうあれ、すずに…いや、この空気に中指を突き立てた、つくしの勇姿は忘れずに記憶しておきたい。

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私なりの絆トーナメント改善案

最後に、私なりに感じた絆トーナメントの不満点。そして、その改善案を記して、この記事を終えようと思う。

今回の絆トーナメントに対して、私がまず思ったのは「全12組、全9試合(WUW戦は除く)も見れるなんて、お得じゃん!」というものだった。だが、実際は試合数がいくら多くても、会場を借りれる時間には限界がある。結局、何試合やろうとも、プロレスを見れる総時間は一緒なのだ。

逆に言うと、試合数が多ければ多い程に、1試合に掛けられる時間は減る事になる。この大会もタイムスケジュールはタイトだった様に見受けられ、全体的に駆け足で進行し、試合も短期決着が多かった。その結果、各タッグをじっくりと見る余裕がなくなり、物足りなさを覚える試合があったのも確かである。

個人的には現行の全12組(全9試合)もある歪なトーナメント表よりも、全8組(全7試合)のシンプルなトーナメント表の方が分かり易くて良いと思う。量よりも質をとる事で、試合のレベルも必然と高くなるだろう。また、この形式ならば、準決勝を3WAYにする必要もなくなる。

ただ、これだと出場選手を増やせないという問題が出てくる。そこで提案したいのはワイルドカード枠。出場枠の1つをそれに当てて、絆トーナメント出場権を争う予選会を別日でやるのだ。例えば、P’sPartyに出てる若手同士で出場権を争い、そこから絆トーナメント出場へ…という物語を描くのも面白い。

そして、もう1つ、絆トーナメント改善案として訴えたいのは、優勝チームへのリボンタッグ王座挑戦権授与である。
今回、優勝したSpringMeteorの物語をここで終えてしまうのは、あまりにも惜しい。つくしのエルボーと、いぶきのチョップの組み合わせは新鮮で魅力的だったし、このタッグをまだまだ見たいと思った人間は多いのではないだろうか。若手のいぶきは勿論の事、つくしにとっても、後輩と組む事で学ぶ事は多いはずで、決して悪い組み合わせではないと思うのだが…。


以上が私の考えた改善案である。
不満点と言いつつも、個人的には今回の絆トーナメントは大いに楽しめた。しかし、その盛り上がりがどうも世間には伝わってない様で、それが惜しく思えてならない。今回は文体明けの興行だったり、コロナでスケジュールが狂った影響もあるのだろうが…。

つっかのツイートによると、来年以降も絆トーナメントは続けていくとの事。

昨年から始まった大会という事で、まだまだ試行錯誤の段階なのだろう。それはつまり、まだまだ伸び代があるという事でもある。私の改善案はともかくとして、アイスリボンの新たな恒例行事となる様に、更なるアップデートを期待したい。

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