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コンビニ人間 村田 沙耶香



あらすじ

とあるごく一般的な家庭に育った主人公だが、彼女は普通の人とは違った感性を持っていた。
合理的や効率は理解できるが、人間らしい感情がわからない。
たとえば、公園で野鳥が死んでしまった現場に居合わせた時、周りの同年代の子供は悲しく泣いているが、彼女は、家に持って帰って食べよう、と提案する。家族が鶏料理が好きだから持って帰れば喜ぶのではないかと。

そんな彼女が、新規でオープンするコンビニにアルバイトとして入社し、効率が良いコンビニが彼女のすべての中心になったお話です。
なお、芥川賞受賞作品です。

感想

ここ最近で、ノートには書いていない他の本も読んだけど、これほど不思議な気持ちになった本はなかった気がする。

読んでいると、普通って何?っていう疑問が出てくるけど、やっぱり主人公は普通じゃなくて、私だったらそんなことはしない、そんな選択はしない、彼女は紛れもなくサイコパスだ、と本能的に思ってしまう。
だけれども、不思議なことに、彼女の理論に心惹かれるという何度ももどかしくもある感情に支配される話でした。

終わり方もハッピーエンドではなさそうだけど、主人公的にはハッピーエンドだろうなと思う不思議な話。

これを読んで、マイノリティは、強くもできるし弱くもできると改めて思った。
人間はどんなに頑張っても人と関わらなければ生きていけないし、人と関わらない生き方をするためには、その基盤を整えるために人と関わって頑張って整えなければならない。
個人の特性全てを尊重できないけれど工夫と努力と協力でお互いに過ごしやすい環境作りはできるのでは、とは思いました。
何よりも、彼女のすごいところはコンビニに対する情熱。
コンビニがあればいい、そんな情熱持って仕事(もはや仕事ではなくその人そこものになってますが)を生き甲斐とできるのは羨ましいと感じました。

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