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GDIについて

はじめに

前回に引き続き、SVFに関連した話題として今回はGDIについて取り上げます。SVFでは、Windows上での帳票描画や、ドライバー経由での印刷処理においてGDI技術を活用しています。

GDIとは

GDIGraphics Device Interface)は、Windowsの初期から採用されている描画技術で、線の描画、塗りつぶし、ビットマップ操作、フォントのレンダリングなどをAPIを通じて実現します。Windows XP以降では、アンチエイリアスや透過処理、グラデーション描画をサポートするGDI+が導入され、より高度なグラフィック機能が追加されました。

GDIおよびGDI+は、Microsoftが提供する描画仕様であり、C/C++や.NET
Framework向けのAPIが用意されています。これを使用することで、画面やプリンターのデバイスドライバーにアクセスし、描画を実行できます。
詳しい仕様については、以下のリンクをご参照ください。
 GDI仕様
 ・
GDI+仕様


EMFについて

GDIを説明する上で、EMFEnhanced Metafile Format)についても触れておきます。EMFは、Windowsの画像ファイルフォーマットの一つであり、GDIのAPIを記述したベクター形式のファイルです。この形式は、描画の中間データとしてプリンターへのスプールファイル形式(印刷データを一時的に保存する形式)としても利用され、効率的な印刷データ処理を可能にします。

EMFは、その名前の通り「エンハンスされた(拡張された)メタファイル」であり、WMF(Windows Metafile Format)を基に強化されています。また、GDIに対するGDI+と同様に、描画機能がさらに拡張されたEMF+というフォーマットも存在します。EMF+は、GDI+の描画命令をサポートしており、描画内容を高精度に再現できます。

EMFおよびEMF+の仕様も、Microsoftにより公開されています。詳しい仕様については、以下のリンクをご参照ください。
 EMF仕様
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EMF+仕様

ファイル形式の進化と関係性を整理すると、以下のようになります。


SVFにおけるEMFについて

EMFは、SVFのWindows環境における印刷機能で重要な役割を果たしています。SVFでは、帳票データを直接PDL(Page Description Language)に変換し、プリンタードライバーとして処理するのが主な機能です。しかし、帳票をWindowsが理解できるEMF形式に変換することで、プリンターや画面表示の双方で効率よく描画することが可能になります。

帳票を特定のプリンターのみに印刷するのでしたら、そのプリンター向けのPDLを選択することで、高速に印刷が可能です。一方、Windows上で帳票をプレビュー後に、複数存在するメーカーのプリンターに印刷する場合は、一旦EMFの形式に出力し、プレビュー後にプリンタードライバーを経由して印刷することで、効率的な印刷処理を実現することができます。

SVFには、EMF機種とEMFPLUS機種が存在し、それぞれWindowsのEMFおよびEMF+に対応しています。ただし、これらは完全なWindows標準形式ではなく、一部に独自仕様が採用されています。たとえば、WindowsのEMF仕様では、1ファイルが1ページに対応しますが、SVFでは独自の拡張により、複数ページの帳票を1ファイルで管理する形式を実現しています。


まとめ

GDIやEMFは、Windowsの描画および印刷処理における中核技術であり、最新のテクノロジーが登場しても、その信頼性と互換性の高さから、現在も広く利用されています。SVFでは、これらの技術を活用し、Windowsプラットフォーム上での描画や印刷処理を効率化しています。

SVFは主に帳票をプリンターで印刷するために用いられますが、EMFや前回紹介したSVG、PDFなど、多様な形式で帳票を出力できる柔軟性を備えています。用途に応じて最適な形式を選択することで、さまざまな業務シーンにおいて効率的な帳票処理を実現しています。

SVFが皆様の業務の効率化に貢献できることを願っています。

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