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奥信濃への道 第13走:何故にお前は

迂闊であった。そう気づいた時、既に違和感は自認していたのだろう、何故お前は辞められなかったのかと自問自答するが、あの時のお前に伝えてもきっと聞く耳は持たない。

膝が痛い

それだけで今の状況説明は十分だろう。走り出してしまえば夜風の気持ちよさが勝ってしまい、トレーニングなんて気持ちは毛頭ないが、そこにあるのは気持ちよく走りたいという肉体的要求に従順なまでに従った男の末路である。
少なからずサイクリスト心肺能力に素人脚が着いてこなかっただけの話で、私の脚に4:30sec/kmなんてペースを走る脚を持ち合わせていなかった。

やむを得ず、誤魔化すためサポートタイツがどこかにあったという記憶を掘り出し、見つけるや否や膝を支え走り出す。おぉ、膝がとても安定している。安定感は安心感に代わった。以前ランニングを始めた際は探検に出かける前の如く準備は用意周到、脚には万全を期していたものだが、下手な経験値は感覚を鈍くし横着を招く。初めからタイツを着用していればよかった。

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夜桜の中、6kmを5:30ペースでのんびりと走る。うん、悪くない。これなら続けられそうだと手ごたえならぬ脚ごたえを感じつつ、走り方の改善も視野に入れるため思考を巡らせるランニングも悪くない、故障によって見えてくるものがある。

ここまでならないと気づかない自分も大概だ。

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