佐賀県のキーワードが「可住地比率」って、どーゆーこと?
こんにちは、ラジオと地理です。
毎回、ラジオ(電波)の観点でみた意外な?日本各地を紹介していますが、
前回の山口放送と同じく、AM(中波)を全て停止した佐賀県を今回は取り上げてみましょう。
繰り返しになってしまうのですが・・・
ラジオの地上波の種類は大きく分けると2つあって(AMとFM)
全国の民放AM各社は、送信所の運営コストが大幅に低いFMへの転換を目指している旨、前回の山口放送の記事で触れました。
実は既に民放AM全47社が、いわゆる「ワイドFM」(FM補完放送)と称してFM送信を開始済。
ただし、二重の維持管理コストがかかっていますから、本音を言えば、とっととAMは止めてFMだけにしたいのが正直な所です。
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html
FMはAMと比較すると、電波の直進性が高まり光の性質に近くなって、より高い所に送信アンテナを設置すれば、カバー範囲を広く取れます。
つまり、大都市が幅広く見渡せる高い山とか、高いタワーの先端などにアンテナを設置出来れば、送信所を減らすことが出来るのですね。
ちなみに、ラジオ界をリードし強い影響力を持つ在京3局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)のFM送信所はスカイツリーに有るのです。
ニッポン放送のワイドFM紹介ページ
https://www.1242.com/information/243317/
このスカイツリーからの電波は結構遠くまで飛んでおり、静岡県西部・能登半島・宮城県などでも(条件さえ良ければ)小型ラジオだけで聞こえます。
その辺は、また別途書こうと思います。
さて今回話題の佐賀県ですが、同県を拠点とする民放AMは無くて、お隣り長崎県の長崎放送(NBCラジオ)の守備範囲となります。
以前は「NBCラジオ佐賀」として独自の番組が編成されていたのですが、2022年頃にサイトは統合され、番組も一本化されてしまいました。
(ただしFMはFM佐賀が独自にオンエア中)
では、なぜ佐賀県内だけAM停止の対象となったのか?
地理屋?である私の勝手な意見ですが、佐賀県が九州各県の中で可住地比率(湖や川や山間部を除いた面積の比率)が、福岡県と共に極めて高いことが一番の背景だと思うのです。
県内は佐賀市を中心に平野が広がり、北側に背振(せふり)山地が横たわるのですが、中には標高が1000mを超える山もあって結構高い。
高い所にアンテナを設置して、広い平地を見渡せればカバー範囲が広くなりますので、この状況を上手く利用して置局したワイドFM(FM補完放送)のカバー率が95.9%に達したこと・・・これがAM送信を停止する直接の理由です。
ところが、私はもう一つ理由があると勝手に思っています。
昔は佐賀県と長崎県は旧国名では同じ、肥前(ひぜん)の国。
ところが、今は実際どうでしょう?
長崎県より福岡県との結びつきが強くなっていて、距離的にも近いし、
九州新幹線も通る鳥栖(とす)市などの県東部や、唐津市などの玄界灘側は福岡への通勤圏にもなってます。
あくまでも想像ですけど、長崎放送では佐賀県内のスポンサーがつきにくい点があるのかも?
福岡の民放AM2局(RKBラジオ・KBCラジオ)が県内の大半で聞こえるので、福岡県と佐賀県に営業展開するスポンサー企業であれば、こっちの方が好都合?になってしまうかも・・・です。
福岡県と長崎県に挟まれた佐賀県独自の事情が、ラジオでも垣間見れる気がしますね。