半数が辞めたパワハラ会社
アイデンティティを殺しても、
感情までは殺せない。
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僕が勤める会社は、
今年度だけで5人が辞めた。
つまりこの3ヶ月程度で5人。
大企業で1000人居ての5人では無く、
そもそも10人程度の小さい会社。
つまり会社の半数近くが辞めた。
その内の数名はご丁寧に
退職代行で辞めていった。
僕は新しい時代だなと思う程度。
飛ぶよりはよっぽど良いと思う。
会社の社長は一丁前に落ち込んでいる。
「理由はあなたですよ」と言いかけて、
グッと心のずっと奥底に押し込む。
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退職代行で辞めた人の内の2人は、
憶測ではあるが板挟みで辞めたと思う。
ウチの会社の社長と広告代理店営業との板挟み。
その子が担当していた案件に対して、
社長が色々と意見を述べる。
でも広告代理店営業は違う意見。
その2人の意見を聞いていくだけで、
提出期限だけが迫ってくる。
結果良いモノが作れない。
営業はクライアント打ち合わせに出ている。
ウチの会社の社長やデザイナーは、
打ち合わせには参加していない。
つまり営業は答えに最も近い人である。
その営業の話が全て正しくはないが、
最もクライアントに近い場所にいる。
と、僕は思う。
僕も何度も同様の経験をしたことがある。
その度に何度も辞めようと思ったし、
それがキッカケで鬱病にもなったと思う。
この場合の対応は慣れるか、
或いは反逆するしか無いと思っている。
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僕も最初のうちは慣れを選んだ。
逆らわず2人の意見を集約し、
それぞれの意見を汲んで制作する。
すると、チグハグなモノができる。
それは分かっている。
でも、それで作る。
自身のアイデンティティを殺し、
2人の意見を汲むAIと化していた。
僕は人類初のChatGPTだ。
それもかなりノロマな。
そのせいで自分を壊してしまった。
アイデンティティを殺しただけで、
感情を押し殺すことはできなかった。
ただ鬱病になってからの僕は、
ある対策を取るようになった。
それは営業と密に連絡を取り合い、
先々と制作を進めるということだった。
そして、最終決定を社長にしてもらう。
「営業と先に制作進めてました」と伝え、
社長が気になったところだけを、
営業に先持って伝える。
「社内で気になった部分を修正します」
その時の判断は営業に委ねる。
「このままが良い」
なのか、
「時間がかからないなら修正して」
なのか二択に絞られる。
面倒な行動ではあるけれど、
かなりストレスは減った。
どこの会社の上司も同様で、
皆同じような境遇かも知れない。
そう思うと、心も穏やかになる。
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ウチの社長は時が止まっていて、
前進していない古いデザイナーだ。
感覚的な意見がしばしばで、
間違っていることも多い。
そのクセ、高圧的な態度を示す。
別に嫌なら辞めれば良いのだけれど、
僕は惰性で今もなお続けている。
また人間関係で辞めた人は、
次の場所でも人間関係で躓く気がする。
あくまでも気がするだけ。
そして僕は以前とは心持ちも異なり、
そんな狂った日々を面白おかしく思えている。
そう心を騙しながら、
辞めた5人に思いを馳せる。
メガッパ