『Tick, tick... BOOM! 』
2021年公開。同名ミュージカルを生み出した作家ジョナサン・ラーソンの伝記映画。
リン=マニュエル・ミランダ監督『Tick, tick... BOOM!』
★実在したんだ、、、★
私は舞台でやっているようなミュージカルや演劇に興味はあるものの全く知識がない。私はこの作品を単なるフィクションミュージカル映画として楽しんでいた。
そして、エンドロールや視聴後調べていく中で、
この作品は実在する"ジョナサン・ラーソン"という偉大な作曲家の人生を描いた伝記映画だということを知り驚嘆した。
ジョナサン・ラーソンは本作と同名の『Tick, tick… BOOM!』や『RENT』といった作品を創り、さまざまな賞を受賞した。
彼は作品の中で同性愛や多文化主義などの社会問題を描いていたそうだ。
調べていくうちに舞台のミュージカルが観たくなってきた。
★構成うっま★
伝記映画としても、ミュージカル映画としても完成度がとても高い作品だと感じる。曲や歌声の美しさはもちろん、アンドリュー・ガーフィールドたち俳優の演技、映像の作り方、ストーリーの構成、そして何より様々調べていく中で感じた"ジョナサン・ラーソン"へのリスペクト。すべてに魅入られた。
特に作品の入り方と終わり方が美しく、始まった瞬間からぐっと世界観に引き込まれた。そして終わり方もとても好きだ。初めから終わりまでずっと魅了された作品だ。
途中でだれることもなく、端折りすぎることもなく、わかりやすく描かれていた。ミュージカル映画にありがちなこととして、曲の部分に力が入りすぎていてストーリーの部分が入ってこなかったり、反対に曲の部分がよくわからずストーリーが長々と説明的に進んでいくものなどがある。
この作品はテンポよくそして綺麗に描ききれていた。その要因の一つとして
曲とダイジェストを一緒にしていることだと思う。
★曲が良い★
魅力的な楽曲が多い。サントラで何度も聴き直したくなる。
アンドリュー・ガーフィールド歌めちゃ上手いなぁ。
コーラスで歌っているひとたちみんなうっまい。
音の強弱がミュージカルっぽい。
魅力的な楽曲の数々がこの作品を彩っている。
ちなみに、この作品にはミュージカルや演劇の著名人が多く出演しているようだ。「Sunday」のお客さんたちは絶対そうだろうと感じていた。ミュージカルや演劇をよく知っているひとだったらより面白いのだろうなぁと感じた。
★夢に生きるということ★
ミュージカル作曲家を目指す"ジョナサン・ラーソン"を描くこの作品。
夢に生きる人ってかっこいいな、、、と。
私には夢がない。小学生のころはもちろん夢を持っていた。
私は「イルカの調教師」になりたかったのだ。なぜそんな夢をもっていたのか今では理由も思い出せない。いつか見た彼らにあこがれていたのだろう。
今、私はジョナサン・ラーソンや小さいころの私のように
「こうなりたい」「こうしたい」というような大きな夢が見つからない。
そんな自分を卑下することもよくある。平凡でちっぽけな自分は変わることはできないし、変わろうと行動することすらもできないのだと。
SNSやテレビ番組では大成功した人のことが多く流れ、その人たちは皆言っていた。「なぜ行動しないのか」「がむしゃらに行動した結果だ」と。だが私は思う。行動したとしても大成功するのはほんの一握りの選ばれた人たちだけじゃないか、、、と。
そう思っていた。だが果たしてそれだけが幸せなのだろうか?
溢れるほどのお金を持つ億万長者だけが、テレビで人気のあのアイドルだけが、メジャーリーグで活躍する野球選手だけが幸せなのか、、、
大成功をしないと幸せになることはできないのか?
ただ、最近大事な人との時間を過ごしていく中で、この”平凡さ”こそが自分の夢なのではないかということを想い始めてきた。
何気ない日常こそ私が幸せを感じ求めていたものなのだ。
大事な人と過ごし、何気ない会話に花を咲かせ、ふかふかのソファに座って映画でも観る。休日は一日中ごろごろとして過ごしたり、思い付きでどこかに出かけてみたり気まぐれに過ごす。
これが私の「 夢 」であり「 幸せ 」なのだ。
そう言い切れる人生を送りたい。
この世には様々な幸せがあふれている。私はそう信じている。